ワインに合う料理を選ぶコツは?マリアージュの基本を一挙ご紹介
ワインを飲みたいと思っても、どんな料理を合わせていいかわからず、困ってしまうことはないでしょうか。ワインは種類が無数にあり、原材料となるブドウの品種や産地によって個性も多種多様なため、難しく感じてしまうことがあっても不思議ではありません。
しかし、ワインに合う料理を選ぶためにはいくつかコツがあります。コツを押さえ、少しずつ試していくうちに自分の好みを知ることで、ワイン選びが楽しくなるでしょう。
ここでは、赤・白・ロゼ・スパークリングワインや近年世界的に話題のオレンジワインにおすすめの料理を紹介します。ワインや料理選びに困ったときのヒントとして取り入れてみてください。
目次
ワインに合う料理を選ぶコツ
一般的なワインの種類として、炭酸の入っているものをスパークリング、炭酸の入っていないものをスティルワインと呼びます。スティルワインは赤、白、ロゼが主流で、最近はオレンジワインも人気を博しています。
ワインと料理がお互いを引き立て、相性が良いことを「マリアージュ」と呼びます。ここでは、マリアージュの基本法則に加え、色や香り、重さや格、産地などを合わせ、ワインと料理をペアとして楽しむための選び方を紹介します。
マリアージュの法則
「マリアージュ」は、フランス語で「結婚」の意味から派生し、お酒と料理の相性が抜群に良いことを示します。マリアージュとなるワインと料理の間には、何かしら共通点があるものです。反対に、共通するポイントを重視するよりも、あからさまに相性が悪いパターンを避けるだけで、あとは組み合わせ自由な側面もあります。
特に初心者の人はワインから選ぶのではなく、まず料理を決めてから調和するワインを選ぶのがおすすめです。このとき、共通点があるものとは反対に、相性が悪い組み合わせから考えてみるのも良いでしょう。自分好みのマリアージュ法則を持っておくことで、ワインと料理選びの幅が広がるはずです。
色、風味を合わせる
わかりやすい共通点の見つけ方として、料理とワインが同系色になるように意識して組み合わせるとよいでしょう。
例えば、赤ワインにはビーフシチューやステーキ、トマト系の料理、白ワインには白身魚のソテーやカルパッチョ、クリームソースという具合です。
また、柑橘系かハーブ系かスパイスの有無などやワインと料理の「風味」を合わせるのもよいでしょう。同じタイプのものを合わせるのも良いですし、少し足りない風味をどちらか片方で補うような組み合わせに挑戦しても楽しめるかもしれません。
味の重さ、格を合わせる
「重さ」を合わせるというマリアージュのコツもあります。ここでいう「重さ」とは、同じ食材を使っていても、さっぱりした味わいの料理は軽めのワイン、濃い目のソースを使用する料理には重めのワインが合うというニュアンスです。家庭料理を楽しむのなら、手元に用意したワインの重さに合わせて、ソースの濃さを変えるなどの工夫もしてみるとよいでしょう。
重さと類似した感覚に「格」を合わせる方法もあります。好みの影響もあるので、値段を合わせれば合うというわけではありませんが、家庭料理にはリーズナブルなワイン、格付けの高いワインには高級食材や高級レストランの料理が合うパターンもよくあります。料理とワインに格差をつけすぎないことも意識してみましょう。
産地を合わせる
ワインと料理の「産地」を合わせる方法も、絶妙なマリアージュになります。フレンチはフランス産のワインと相性がよく感じるという具合に、ワインが作られている地域とその地の郷土料理はお互いを引き立て合う組み合わせになることでしょう。
産地は、ボトルの記載やブドウの品種から特定できます。「水が合う」という言葉もあるように、ある地域で作られる料理やワインはベースとなる水が同じのため、相性が合いやすいです。
ワインの味も土地の気候によって左右されるため、その地で美味しいとされる食事とワインがよく合います。気候と類似して、季節感を意識することも美味しく感じるコツです。夏はさっぱりした料理と約7度~14度に冷やした白ワイン、冬は温かい煮込み料理と12〜15度程度の赤ワインを合わせるなども工夫の1つです。
赤ワインに合う料理
赤ワインは、重さと風味を重視する表現が使われることが多いため、コクや濃厚さを表す「ボディ」に注目するとイメージしやすいでしょう。
赤ワインはフルボディ、ミディアムボディ、ライトボディの3種類に分けられ、アルコール度数がボディの重さと相関関係にあります。
【ボディの重さとワインのアルコール度数】
フルボディ:14%前後
ミィディアム:13%前後
ライト:12%前後
ただし、アルコール度数の高さだけで決まるわけではなく、アルコール度数が低くてもボディがしっかりしていればフルボディに分類されるケースもあります。
ここではフルボディ、ミディアムボディ、ライトボディの3種類から、おすすめのマリアージュと銘柄をご紹介します。
フルボディに合う料理
濃厚な味わいと、強めのタンニンが特徴のフルボディ。ブドウの個性を感じやすく赤ワインらしい味わいです。
フルボディには、ステーキ、ビーフシチューなどの脂多めで濃いめの料理が合います。煮込み料理にワインが使われることもあるように、ワインの香りで肉脂の旨味が引き立ちます。また、フルボディに負けないよう濃厚で、コクのある味付けと相性が良いでしょう。
こってりしたビターなチョコレート系や抹茶の苦味を感じるケーキなどもフルボディと絶妙なマリアージュになります。チョコレート、抹茶、赤ワインはどれもポリフェノールが含まれているためです。特に、サンジョベーゼのような果実味とタンニンの強さが特徴のワインは、前述のチョコレートなどのデザートとよく合うでしょう。
Agostina Pieri アゴスティーナ ピエリ ロッソ ディ モンタルチーノ 2019
アゴスティーナ ピエリは元々小さなブドウ農家であった造り手です。常に畑の様子を観察するのはもちろん、コンピュータによる温度管理など現代技術も駆使し、酸やタンニンのよく効いたイタリアワインが特徴です。
ロッソ ディ モンタルチーノに使われるサンジョベーゼは、晩熟の品種のため、暑い年は果実のフレッシュさを思わせる香り、寒い年は酸とタンニンが強めの味わいになります。イタリアン全般に合うまとまった味わいになっているので、フルボディ初心者の人にもおすすめです。
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ミディアムボディに合う料理
フルボディとライトボディの中間を意味するミディアムボディ。コクと酸味がほどよいバランスのワインが多いので、合わせる料理の味付けも濃すぎたり薄すぎたりすると、ワインか料理のどちらかが強く主張しすぎてしまいます。反対に、和食・洋食・中華のどの料理にも合わせやすい種類でもあります。
基本的に何にでも合わせやすいミディアムボディには、鶏肉や魚の照り焼き・トマト煮、オイスターソースで味つけする中華料理などが最適です。また、おつまみとして定番の生ハムやフランスパンも食が進むでしょう。
ライトボディに合う料理
穏やかな渋みで軽めの赤ワイン、ライトボディ。さらっとした印象のライトボディには、白ワインにも合うおでんや焼き鳥のように軽めに味付けした和食や、同じようにポリフェノールを多く含むゴボウ料理とも相性が良さそうです。
白ワインに合う料理
白ワインはボディだけでなく、辛口・甘口という表現をされることもあります。冷やして飲むことで、辛甘度とともにそのワインの個性を感じられます。
白ワインと肉料理の組み合わせはワインの味が負けてしまい相性がよくないという説がありますが、実際は酸のよく効いた重みある白ワインと脂ののったお肉は相性抜群です。
また、クリームソースを使った料理やチーズ、バター、カスタードやバニラは、辛口・甘口ともに重めの白によく合う組み合わせです。軽めの白には、魚介や野菜、柑橘を使ったさっぱりとした料理がより好まれるでしょう。
これを踏まえ、本章では辛口ワインと甘口ワインの2種類から、おすすめのマリアージュと銘柄を紹介します。
辛口ワインに合う料理
辛口ワインのなかでも、樽熟成の辛口白ワイン、ステンレスなどのタンクで熟成した辛口白ワインがあります。
さっぱりとした飲み口の辛口ワインは、あっさりした味付けの料理と相性抜群です。果実味と樽の風味が控えめで酸味がしっかりある白には野菜のさっぱりしたサラダ、海鮮類の刺身やカルパッチョ、アクアパッツァやお寿司などがおすすめです。中でも、レモンをかけた牡蠣と辛口ワインは酸が絶妙にマッチする組み合わせで最高のマリアージュとなります。
果実味が強めで、樽の風味はしっかり、酸味がやわらかい白は、鶏肉・豚肉のソテーやクリームソースのパスタなどが合います。も、合わせやすいでしょう。またチーズも定番のマリアージュです。
Ronco del Gnemiz ロンコ デル ニエミツ ソーヴィニヨン イリス 2020
ロンコ デル ニエミツは、イタリアの有名雑誌でも取り上げられるカリスマ生産者です。
そこで造られるワイン、ソーヴィニヨン イリスは、ソーヴィニヨンブラン100%のおすすめ白ワインで、重みがあり、繊細なアロマが漂います。
オリーブを使用したカルパッチョやハーブ、レモンで味付けした魚や鶏肉料理にもよく合う、香りと飲みごたえのある白ワインです。
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甘口ワインに合う料理
デザートワインと呼ばれることもある甘口ワイン。その名の通り、デザート代わりに楽しんだり、チョコレートと合わせたりすることが多いです。また、身近にある甘味と塩分をかけ合わせた料理やおかしを見倣うと、意外な美味しさを発見できるかもしれません。
特に、チーズと甘口ワインは多くの人がリピートしたくなるマリアージュ。ブルーチーズとのペアリングにやみつきになる人も多いようです。
ほかにも、フルーツ、塩系のスナック菓子、チョコレート、ケーキ、タルトなどデザートと掛け合わせるのもおすすめです。ドライフルーツとの相性も美味。安価のチョコレートも意外と高級でなめらかな味わいになるので一度試してみてはいかがでしょうか。
Friedrich Becker フリードリッヒ ベッカー ピノ ノワール アイスワイン 2018
ドイツの有名ワイン誌で連続受賞中の代表的生産者の1人です。
印象に残りやすいデザートワインとして人気の超甘口、アイスワイン。真冬に凍結したブドウから作られるアイスワインとして、甘みと酸味のハーモニーが最高級のデザートとして最適でしょう。
フルーツや塩っけのあるスナック、夏はアイスやシャーベットにもよく合います。
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どのような料理にも合わせやすいワイン
どのような料理にも合わせやすいワインにロゼワイン、オレンジワイン、スパークリングワインが挙げられます。しっかり冷やすことでクセを感じにくく、食前、食中、食後いつでも楽しめるお酒です。
ここでは各ワインに合う料理と、おすすめの銘柄をご紹介します。
ロゼワインに合う料理
どのような料理とも相性がよいロゼワインは、黒ブドウを使って白ワインのように作られており、赤と白の特徴を兼ね備えているワインです。
ロゼワインはどのような料理にも合わせやすく、特におすすめのマリアージュは鍋料理とのペアリングです。ロゼは種類によって異なる色味をもつので、ワインの色の濃さに合わせて料理を選ぶと、よりバランスの良い組み合わせになるでしょう。
また煮物、エビ・サーモンを使った料理などいろいろな料理に合いそうです。
オレンジワインに合う料理
近年人気のオレンジワインは、アンバーワインとも呼ばれ、白ブドウを使用し赤ワインの製造法で造られているワインです。破砕した白ブドウの果実や皮を果汁と一緒に発酵させることで、果皮に含まれる黄色系色素がオレンジの色調になります。
アプリコットやオレンジピールなど白ワインのアロマを感じるような香りと、赤ワインの渋さと苦みを同時に感じる飲みごたえあるワインで、ワインと相性が良くないように思われる料理ともマリアージュを発揮できると話題になっています。
特に、辛味のある韓国料理やインド料理には白だとワインが負け、赤だとワインの渋みが辛さと競い合って、マッチしません。オレンジワインのブドウ皮の渋みとスパイス感ががほどよく合うのです。パクチーや八角、豆、魚卵、発酵調味料を使用したつけ焼きなどの和食にも相性良好です。
ドライフルーツやナッツなどを使用した地中海料理、わらびもちやチーズケーキなど甘すぎないデザートも互いを引き立て合う組み合わせでしょう。
Schuchmann Wines シュフマン ワインズ ヴィノテッラ キシィ 2020
シュフマン ワインズは、オレンジワイン発祥の地と言われるジョージアのワイナリー。旅行とワイン好きの創設者により、土着品種を豊富に揃え、独自の製造技法によって品質にこだわってきました。
ヴィノテッラ キシィは、ジョージアで主要なキシという白品種を使用。白い花、桃とりんごなどの果実味とこしょうの香りが印象に残ります。タンニンと酸味も十分、長い余韻を楽しめるワインです。
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スパークリングワインに合う料理
食前酒として乾杯の際に重宝されるスパークリングワイン。食後酒にデザートと一緒に楽しまれることも多いでしょう。またスパークリングワインの中でも、シャンパーニュ地方で造られ一定基準を満たしたワインであるシャンパンも食事の前後や最中、あらゆる場面で重宝される人気ワインです。
食事のどのようなシーンでも合わせやすいスパークリングワインは、冷やすことで美味しさを発揮します。特に白ワインに合うものはなんでも合うことが多く、辛いもの、揚げ物も最適です。燻製系や魚介料理、グラタンなどもマリアージュとしておすすめです。
Patrick Soutiran パトリック スティラン シャンパーニュ プレシューズ ダルジャン グラン クリュ 2012
パトリック スティランは、シャンパーニュ地方の伝統的木製のプレス機を使用した唯一無二の自家栽培・自家醸造の小規模生産者。フランス・シャンパーニュ地方で良年のみ生産されるシャルドネ100%のシャンパンです。
シャンパーニュ プレシューズ ダルジャン グラン クリュは、ブドウの酸度を高く保ち、シャンパーニュの新鮮さをより長く維持する工夫がされています。食前、食中、食後いつのタイミングにも合うおすすめワインです。フランスでは「シャンパンの最後を注いでもらった女性は幸せになる」という言い伝えもあり、お祝いの席で最後女性に注ぐロマンチックな楽しみ方もあります。
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まとめ
赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワイン、そしてスパークリングワインという分類で、それぞれのワインに合う料理を紹介しました。
種類豊富なワインは、一概に法則通りに考えられるものではなく、好みの香りや重さ、温度によっても味わいは変わります。また、飲んでいくうちにマリアージュによって、ワインの味が変わったように感じることも少なくありません。
だからこそ、よりワインを知るために、法則と自分を知ることも欠かせないでしょう。外食先でソムリエに相談するほか、本記事の内容をヒントにして、自分の中で最高のマリアージュと言えるワインと料理のゴールデンルールを探すのが近道です。