ワインに賞味期限はある?ワインの飲み頃と保管方法を解説
ワインを購入した際に、賞味期限や消費期限の記載がないことに気付く人も多いのではないでしょうか。賞味期限の記載がないため、いつまでに飲めば良いのか迷ってしまうかもしれません。
この記事では、ワインの賞味期限や、いつまでに飲めば良いかを詳しく解説しています。
ワインを購入したけれど飲むタイミングに悩まれている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ワインには賞味期限は設定されていない
ワインに消費期限・賞味期限は設定されていません。消費期限と賞味期限の定義は、次のとおりです。
- 消費期限:定められた方法によって保存された場合に「安全に食べられる期限」を指す。
- 賞味期限:定められた方法によって保存された場合に「品質が変わらずおいしく食べられる期限」を指す。
ワインにはアルコール分が入っているため「腐る」ということが基本的になく、消費期限や賞味期限という概念がありません。
ワインは瓶詰めされた後、瓶内で熟成する特徴を持っています。たとえばフルボディの赤ワインや濃厚な白ワインでは、保存することでさらに味わいの向上が見込めるため、消費期限や賞味期限を設定してもあまり意味をなさないという面もあります。
そのため、法律上(食品衛生法上)でも消費期限・賞味期限の表示が不要とされているのです。
熟成によっておいしくなるかどうかは、保存状況にもよるので一概には言えません。ワインの品質や保存条件によってかなり左右されてしまうことは、頭に入れておくとよいでしょう。
おいしく飲める時期の目安はある
ワインには消費期限や賞味期限はありませんので、開封前であればいつ飲んでも問題はありません。ただし、それぞれのワインによっておいしく飲める時期は異なります。
個人的な嗜好もあるため、判断が難しく「これ」という答えはありません。しかし、似たようなタイプのワインであれば、飲み頃のピークを迎える時期の傾向は共通しています。
飲み頃時期の目安をあらかじめ知っておくことで、ワインの持つポテンシャルを最大限に楽しめます。飲み頃の目安はのちほど解説します。
保存方法によっておいしく飲める期間が変わる
飲み頃時期のワインであっても、保存方法が悪ければよい状態で飲めるとは限りません。
保存の状況によって熟成や劣化の進み方が変わり、同じ年に造られた同じ商品でも、味わいが違うケースは多くみられるものです。
ワインの保存に適した温度は10~18度程度と言われており、高すぎても低すぎても劣化が進みます。直射日光や振動、湿度やにおいなども品質を左右する要因となるため、購入に至るまでどのような状況下で保存されていたかもポイントとなります。
飲み頃の時期の見極めと同じように、保存方法への配慮もおいしく飲むためには重要です。
未開封のワインはいつまでに飲めば良いか
未開封のワインの、飲み頃のピークとある程度の期限はどのくらいでしょうか。
下記ワインについて、それぞれの傾向を説明します。
- 早飲みタイプの白ワイン
- 熟成タイプの白ワイン
- 早飲みタイプの赤ワイン
- 熟成タイプの赤ワイン
- ロゼワイン
- スパークリングワイン
- その他のワイン
詳しく見ていきましょう。
早飲みタイプの白ワイン
テーブルワインやデイリーワインなど、フレッシュさや爽やかさを特徴としたワインは、なるべく早めに飲むのがおすすめです。
早く飲むことでワインの特徴のフレッシュさが味わえるため、長く置くとワインのよい部分が徐々に減少してしまいます。また、熟成させない白ワインは透明や色の薄い瓶に入れられていることもよくあるため、紫外線の影響で劣化が早く進むことも考えられます。
製造年から1~2年、長くても3年以内を目安として飲むようにしましょう。
熟成タイプの白ワイン
特級畑のブルゴーニュワインや極甘口の貴腐ワインなど、熟成に耐える白ワインは、少し寝かせることで味わいが落ちつきます。
若いヴィンテージでもそれなりにおいしく飲めますが、3~5年熟成させることで特徴が際立ち、香りや味わいの複雑さや奥深さをさらに感じられるようになるでしょう。中には20年以上の熟成に耐えるものもあり、うまく熟成したものは何とも言えない枯れた味わいとなります。
自宅での長期熟成は、ワインセラーなどの設備がない場合は非常に難しいため、購入してからは早めに飲むようにしましょう。
早飲みタイプの赤ワイン
多くの日本産ワインやボジョレーに代表される早飲みタイプの赤ワインは、早めに飲むとおいしくいただけます。
渋みが控えめで果実味の多い赤ワインは、渋みの元となるタンニン分(ポリフェノールの一種)が少なめです。タンニンの多いワインは基本的に長持ちするため、熟成に向くといわれます。タンニンだけではなく、酸味やアルコール量も熟成に関連するので一概に言いきれませんが、渋みの少ないワインは早めに飲むとより楽しめるしょう。
ボジョレーヌーヴォーなどフレッシュさを楽しむワインは、熟成には不向きなので出来るだけ早く飲みます。その他でも目安としては3年程度、長くても5年までに飲み切ってしまいましょう。
熟成タイプの赤ワイン
ボルドーの格付けワインやイタリアのバローロなど、タンニンや酸、エキス分の濃いワインは熟成させることでその良さが引き出されます。
熟成タイプのワインを若いうちに飲むと、渋みや酸が前に出すぎて角のある飲みにくい味わいとなることが多いです。数年の熟成を経ることで角が取れて丸くなり、柔らかく滑らかな味わいへと変化します。
一般的なもので5年~10年程度、出来のよいヴィンテージであれば、50年以上の熟成に耐えられるワインも存在します。ただし、あまりにもオールドヴィンテージのものは開けてみるまで状態がわからないため、当たりはずれが大きくなるリスクを頭に入れておく必要はあるでしょう。
家庭でうまく熟成させたい場合は、ワインセラーや地下倉庫といった、それなりの設備と環境が必須となります。
ロゼワイン
きれいなピンク色が特徴のロゼワインは、基本的には早飲み白ワインと同様の考え方で問題ありません。
ロゼワインはきれいなピンク色を見せるため、透明の瓶に入れられていることが多いです。透明な瓶は紫外線を通すためワインの劣化が早く、長く置いておくと徐々に茶色っぽい色へと変化していきます。
もともと熟成させることを考えて造られているロゼワインは少ないので、品質劣化を防ぐ意味でも3年以内には飲んでしまうのがおすすめです。
スパークリングワイン
スパークリングワインは、基本的に熟成に向くものは少ないため、早めに飲むことを心がけましょう。
シャンパーニュの高級ラインなど、熟成に耐えられるスパークリングワインも、一部には見られます。しかし、熟成の度合いを見極めるのが難しいこと、炭酸が抜ける可能性があること、基本的には早く飲むことを目的につくられていることなどから、購入後は早めに飲むのがおすすめです。
その他のワイン
シェリーやポートなどのフォーティファイドワイン(アルコールを足して度数をあげているもの)は、長期保存が可能です。そもそも長期保存を目的としてアルコールを添加しているため、10年以上持つものも多く見られます。
アロマタイズドワイン(ワインにハーブやフルーツなどを添加して造られるもの)やフルーツワイン(ブドウ以外の果物を原料として造られているもの)などは、熟成を目的として造られていないため、早めに飲むようにしましょう。
開封後のワインはいつまでに飲めば良いか
ワインは空気に触れると酸化して、劣化が進みます。開封後のワインは、基本的には早く飲み切りましょう。
白ワイン・ロゼワイン
白ワインやロゼワインは、開栓後できるだけ早めに飲み切るのがおすすめです。
熟成タイプの白ワインでは、1日程度置くと味の変化を楽しめるものもありますが、長くても3日以内には飲み切ってしまいましょう。
なお、辛口ワインより甘口ワインの方が味の変化が少なく、開栓後も長めに保存可能です。
赤ワイン
赤ワインも同じく早めに飲むことを推奨します。しかし、白ワインと異なり開栓後の変化を楽しめるといった一面もあります。
早飲みタイプではそれほど大きな変化は見られないため、3日程度で飲み切るのがおすすめです。熟成タイプは、日々の変化を時系列で楽しめるため、1週間ほどかけてゆっくり飲むのも面白いものです。
スパークリングワイン
スパークリングワインは開栓すると炭酸が抜けるため、基本的には開けたその日に飲み切ることを推奨します。
「シャンパンストッパー」という専用のふたを使えば、炭酸抜けは多少防げるため3日程度は保存可能です。それでも炭酸の抜けは完全になくならないため、早めに飲んでしまうようにしましょう。
その他のワイン
シェリーやポートなどのフォーティファイドワインは、開栓後の変化が比較的少ないため、1カ月程度保存に耐えられます。ただし、風味の変化は多少ありますので、避けたい場合は早めに飲み切るようにします。
アロマタイズドワインやフルーツワインは、白ワインと同様で早めに飲み切るようにするとよいでしょう。
ワインの保存方法
ワインの品質を保ちつつ長く飲むためには、ワインの保存方法が重要です。長持ちさせるためには、ワインにとって良い環境をできるだけ整えてあげるようにしましょう。
未開封のワイン
未開封のワインを良い状態で保存するには、次にあげる条件に気を付けます。
温度
13~15度、難しい場合でも10~18度で保存し、温度変化があまりないような場所で保存します。高温・低温で長期間保存すると品質の劣化を進めるため避けましょう。
湿度
60~70%と高湿度の環境が理想であり、少なくとも40%以上は必要です。湿度が低いとコルクが乾燥して縮んでしまい、瓶内に空気が入ってワインが酸化する可能性があります。逆に湿度が高すぎると、コルクにカビが生える原因となるので気を付けましょう。
光
できるだけ暗い場所で保存しましょう。直射日光や蛍光灯の光はワインを大きく劣化させます。
におい
においの強いものの近くで保存しないようにします。コルク栓を通してワインににおいがつくと風味が落ちるためです。
場所
ワインは振動に弱いため、振動のない静かな場所で保存します。コルク栓のものはコルクの乾燥を防ぐため、瓶は寝かせておきましょう。
自宅にワインセラーがあれば、飲む寸前まではセラー内で保存するのがよい保存方法です。
ワインセラーがなければ自宅での長期保存は避け、床下収納や押し入れ内など、温度や湿度の変化が少ない冷暗所で保存しましょう。
開封後のワイン
開封したワインはできれば冷蔵保存、難しいならばできるだけ温度の低く光の当たらない場所で瓶を立てて保存します。
開封後のワインは、できるだけ空気に触れないようにするのが劣化を防ぐポイントです。次にあげるような方法を取ると、さらに長持ちさせられるでしょう。
ワインストッパーを使う
ワインボトルを密閉できるワインストッパーを使うと、抜いたコルクで栓をするよりも長持ちします。ポンプで瓶内の空気を吸いだす「バキュバン」を使えば、1週間程度は保存が可能です。
シャンパンストッパーを使う
開栓したスパークリングワインは、コルクが再利用できないため、専用のシャンパンストッパーで栓をするとよいでしょう。
小さい瓶に入れ替える
ワインが空気に触れる面積を少なくするため、密閉できる小さな瓶に入れ替えるのも有効です。
窒素充填させる
費用は高めですが、空気をほぼ遮断できるため長期保存が可能です。
味の落ちたワインはどうすればよいか
いくら保存に気を使っても、味の落ちてしまうことはどうしても避けられません。
そういった場合には、次にあげる方法でワインを再利用するのがおすすめです。
- アレンジして飲む
- 料理に使う
アレンジして飲む
ワインとして飲むと酸化が進んで劣化を感じるけれど、飲用に耐えられる程度であれば、アレンジして飲むのもよい方法です。一例として、次のようなアレンジを試してみるのはいかがでしょうか。
【サングリア】
酒販店や飲食店でよく見られるサングリアは、自宅でも比較的簡単に作れます。好きなフルーツを買ってきてワインで漬け込むと、簡単においしいサングリアができます。生のフルーツではなく、缶詰を使ってもおいしくできますので、ぜひ試してみてください。
【ホットワイン】
寒い季節であれば、ホットワインにして飲むのもおすすめです。シナモンやショウガ、クローブなどのスパイスとはちみつや砂糖を入れて作るため、劣化の酸味を感じにくくなります。
料理に使う
飲むのにも少し厳しいという場合は、料理酒として使うのがおすすめです。
白ワインであれば魚介料理によく合いますし、赤ワインは肉料理に程よいコクを与えてくれます。蒸し料理や煮込みなどかなり幅広く利用できますし、市販のパスタソースやデミグラスソースに少し加えるだけでも奥行きのある味わいに変化します。
なお、明らかにおかしいにおいや味となっているワインは、迷わず廃棄するようにしましょう。
まとめ
ワインには賞味期限はありませんが、おいしく飲めるタイミングはあります。
飲み頃はワインのタイプによって異なりますので、よくわからなければ購入時に聞いてみるのも一つの方法です。
また、ワインの品質は保存方法によって大きく左右されます。購入時に飲み頃となっているワインが多いので、保存に不安のある方は早めに飲むとよいでしょう。
ワインの飲み頃を知ると、ワインの世界はさらに大きく広がります。この記事を参考にして、ワイン選びを楽しんでください。