ワインのコルクが抜けない!状況別の対処方法を詳しく解説
「ワインのコルクがうまく抜けない」
ワインを飲まれる人であれば、一度はこのような経験をしたことがあるのではないでしょうか。どのように対処すればよいかわからず、あせってしまうものです。
この記事では「コルクが途中で折れた、砕けた」「コルクが固くてびくともしない」「ワインオープナーが手元にない」といったシチュエーション別での対処法を詳しく説明します。
目次
ワインのコルクが抜けないシチュエーション
ワインのコルクが抜けないシチュエーションで考えられるのは、次のとおりです。
- コルクが折れた
- コルクが固くて抜けない
- ワインオープナーがない
また、ワインに使われるコルク栓にはいくつか種類があり、上記のような状況となった場合の対処法が多少異なります。
種類 | 特徴 |
天然コルク | 天然のコルク樫の樹皮を円筒形に打ち抜いたコルク栓。高級ワインには木目が細かく長めのものが使われる。 |
圧搾コルク (テクニカルコルク) | コルク樫の樹皮を細かく砕いて接着剤などで固めたコルク栓。天然コルクを打ち抜いた残りから作られる。天然コルクよりもろいが密閉性は高い。 |
一部天然・一部圧搾コルク | 両端は天然コルク、中心部を圧搾コルクで作ったコルク栓。端に天然コルクを使うことで強度・耐久性を高めている。 |
樹脂コルク (合成コルク) | シリコンなどの樹脂から作られるコルク栓。ブショネ(ワインにコルクのにおいがついてしまうこと)が発生しない。高級ワインにはほとんど使われず、カジュアルなワインに使用される。 |
スパークリングワイン用コルク | 炭酸ガスが抜けないように、密度が非常に高いコルク栓。抜栓するとキノコのような形になる。 |
それぞれの材質と抜けない状況によっては、間違った方法をとると瓶が破損するといった事故も考えられます。そのようなことのないように、材質と状況に合わせた適切な対処方法を知っておくことが大切です。
コルクが折れた場合の対処法
ワインを抜栓する際に多いトラブルとして、コルクが折れてしまうことがあげられます。「途中でコルクが折れてしまった」「コルクの上部が砕けて短くなった」などの場合、次の対処法をとるとよいでしょう。
- 斜めにスクリューを刺しなおす
- はさみ型のオープナーを使う
- ボトル内に押し込む
それぞれを詳しく説明します。
斜めにスクリューを差しなおす
コルク栓が半分以上瓶内に残っている場合は、コルク抜きのスクリューを刺しなおすとうまく抜けることがあります。
刺しなおす際にコルクスクリューを斜めに刺し込んで、瓶口に沿わせるように引き上げると、抜ける可能性が高くなるでしょう。
T字型のコルクスクリューを使うと力加減が難しく、残っているコルクをさらに折ったり砕いたりする可能性があります。できればソムリエナイフを使い、ゆっくりと引き上げていくのが折れたコルクを抜くコツです。
はさみ型のオープナーを使う
古いヴィンテージワインのコルクには、乾燥や湿気で劣化してぼろぼろになっているものが見られます。
そのような場合、2枚の刃でコルク栓を挟み込んで抜く「はさみ型(ブロングタイプ)」のコルク抜きを使ってみるのも1つの方法です。
2枚の刃をコルク栓の両端から奥まで揺すりながら刺しこみ、ゆっくりと回転させながら引っ張ると、コルク栓が刃に挟まれて徐々に抜けてきます。もろくなっている天然コルクには有効な抜栓方法なので、オールドヴィンテージワインを飲む機会がある場合は準備しておくと重宝します。
ただし、樹脂コルクや圧搾コルクなどの硬いコルク栓に使うと瓶が割れてしまう危険性があるため、天然コルクの場合のみで使用するように注意しましょう。
ボトル内に押し込む
いずれの方法でもうまくいかなかった場合、思い切ってボトル内にコルク栓を押し込んでしまうという方法もあります。
箸やスプーンの柄などを使って、瓶口に残ったコルク栓を上から押して、ワインの中に落とし込みます。そのままグラスに注ぐとコルクの破片がワインに入ってしまうため、茶こしやコーヒーフィルターなどを通してグラスやデカンタに移すとよいでしょう。
コルクが固くて抜けない場合の対処法
いくら力を込めて引っ張っても、瓶に貼りついているかのように固いコルク栓もよく見られます。そういった場合には、次の方法をとると抜ける可能性が高くなるでしょう。
- 寝かせて1~2日置く
- スクリューを貫通させる
- コルク抜きを変えてみる
それぞれを詳しく説明します。
寝かせて1~2日置く
ワインを立てて保管していたり、湿気の少ない場所で保存していたりすると、コルクが乾燥して固くなります。そこで試してみたいのが「寝かせる(ボトルを横に置く)」という方法です。
1~2日程度ボトルを横に寝かせることで、コルク栓にワインが染みこんで柔らかくなり、コルクが抜ける可能性が高くなります。
ただし、この方法をとったからといって確実に抜けるとは限りません。あくまで1つの方法として、試してみるとよいでしょう。
なお、樹脂コルクにはワインが染みこまないため、この方法は使えません。
スクリューを貫通させる
樹脂コルクは密閉度が高いため、コルク栓を引き抜く際に瓶内が負圧(外気より内部の気圧が低くなる)となり、中の気圧に引っ張られて抜けない状態となるケースがあります。
そのような場合に試したいのが、コルクに穴を開けて空気の通り道を作る方法です。ソムリエナイフ(ワインオープナー)のスクリューでコルクの端部分を貫通させることで、コルクに穴を開けられます。
ただし、樹脂コルク以外では穴を開けてもふさがってしまう上、何度もスクリューを刺すとコルクが割れてしまう可能性があるため、別の方法を試すのがおすすめです。
コルク抜きを変えてみる
T型のコルクスクリューを使っている場合、別のワインオープナーを試してみると抜けることがあります。
ソムリエナイフやウイング式のワインオープナーは「てこの原理」を利用するため、T型のコルクスクリューより弱い力で強く抜栓することが可能です。
他にも、ボトルにセットしてハンドルを回すだけでコルクが持ち上がるスクリュープル式や、少し高価ですが電動のワインオープナーもあります。これらを使うことで、力をあまり加えなくてもコルクの抜ける可能性が高くなります。
ただし、はさみ型やエアーポンプ式(空気を瓶内に入れて気圧で抜栓するもの)は、瓶が破損する可能性があるので使わないように注意しましょう。
ワインオープナーがない場合の対処法
せっかくワインを飲もうと思っても、ワインオープナーが手元にないケースもあるでしょう。そういった場合の対処法としては、次の方法があります。
- ボトル内に押し込む
- ネジを刺し込む
ただし、この方法はどうしても抜栓しなければならない状況になった場合の応急措置として記載しています。いずれの方法も瓶の破損してケガをするおそれがあるため、本来は推奨はできません。
※できればワインオープナーを手配する方法で対処してください。
※この方法でやる際は自己責任で行ってください。
ボトル内に押し込む
コルクが折れた時と同様に、ボトル内にコルクを押し込む方法があります。
ボトルが折れている状況とは異なり、コルク栓全体を瓶内へ押し込む必要があるため、少し力が必要です。
無理に押し込んでしまうと瓶の破損も考えられるため、くれぐれも無理のない範囲で実施しましょう。
ネジを差し込む
コルクスクリューの代わりに木工用のネジを刺し込み、ペンチやくぎ抜き、フォークに引っかけて引き抜く方法もあります。
できるだけ長いネジを使うと、コルクの破損も抑えられます。無理にネジを刺し込んだり、力任せに引っ張ったりすると、コルクや瓶が破損する恐れもありますので注意しましょう。
コルクをうまく抜くためのポイント
「何度挑戦してもコルク栓がうまく抜けない」「ワインの開栓に毎回苦労している」という人は、以下のポイントに注目してみると上手くいくかもしれません。
- ソムリエナイフを使って正しい方法で開ける
- コルクの状態をチェックする
- 無理に開けようとしない
ソムリエナイフを使って正しい方法で開ける
コルク栓をうまく開けられない人ソムリエナイフを使うとうまく開けられる可能性が高くなります。
T型のコルクスクリューは、コルクに刺し込んで力任せに引き抜くタイプなので力が必要となり、意外とうまく抜くのが難しいものです。またその他のタイプのワインオープナーは、高価であったり取り扱いが特殊であったりと、初心者に向いているとはいえません。
その点、ソムリエナイフは取り扱いが比較的簡単で、てこの原理を利用しているため力のない人でもそれほど力をかけずに開けられます。また、サイズがそれほど大きくないため、持ち運びに気を遣わなくてよい点も魅力です。
慣れると簡単に開けられますので、ぜひ一度ソムリエナイフを使ってみることをおすすめします。
ソムリエナイフの使い方
ソムリエナイフを使ってワインを開ける手順について、簡単に説明します。
- ナイフでキャップシール(瓶口に巻いてあるビニールや金属でできたキャップ)を切る
- スクリューをコルクの中心に刺し、2巻程度残してゆっくりとねじ込む
- 瓶口にフックを当てて固定し、本体を引き上げる
- 引き上げきったら残り2巻分をねじ込み、再び引き上げる
- コルクが瓶口まで上がってきたら、コルク本体を手でゆっくり引き抜く
コルク栓にまっすぐ刺して、ゆっくり引き上げるコツさえ覚えてしまえば、取り扱いはさほど難しくありません。ぜひ一度挑戦してみましょう。
コルクの状態をチェックする
抜栓する前にコルクの状態をチェックするのも、うまく抜くためのコツの1つです。
オールドヴィンテージのワインでは、熟成時にコルクが劣化している可能性は高く、抜栓中に折れてしまうことも考えられます。一方で、若いヴィンテージのワインはコルクも新しく、乾燥して固くなっていることもよく見られます。
キャップシールを外した時点で、コルクの状態はある程度わかるものです。ソムリエナイフはどのような状況でも幅広く対応できますが、どうしても難しそうに見える場合は、適切な方法と道具を使って抜栓することが大切です。
無理に開けようとしない
失敗しないようにとあせるあまり、無理やり抜こうとしてはいけません。
たとえばコルクが固く抜けにくくなっている場合、力任せに抜こうとするとワインをこぼしてしまったり、瓶が破損してしまったりすることが考えられます。
無理に抜こうとして事故になってしまうと、せっかくのワインを楽しむ場が台無しになってしまいます。決して無理せず、落ち着いた対応を心がけましょう。
まとめ
ワインのコルクを抜くのは、ベテランのソムリエでも失敗することがあります。無理にこじ開けようとすると、うまく抜けない可能性も高くなるものです。あせらず落ち着いて対応するのが、ワインのコルクをうまく抜く秘訣ともいえます。
また、コルクをうまく抜くには慣れも必要です。自分の気に入った道具を探してみて、抜栓にたくさんチャレンジしてみると、抜栓の上達も早くなるでしょう。
※この記事は2023年2月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。