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グラッパ

グラッパとはどんなお酒?特徴やおすすめの飲み方・銘柄を一斉紹介!

2022.11.09
2種類のグラッパ

「グラッパ」というお酒を耳にしたことはありますか?イタリアでは食後酒として愛飲されているグラッパ。最近は、日本のイタリアンレストランやバル、酒屋さんの洋酒コーナー等で見かける機会もあるかもしれません。

とはいえ、日本ではまだそこまで浸透しておらず、グラッパに馴染みのない方も多いようです。一見難しそうに感じてしまうグラッパですが、特徴や飲み方を知っていけば、どんなシーンにも合い、リーズナブルで親しみやすいお酒だとわかるでしょう。

本記事では、グラッパとはどのようなお酒かその特徴とおすすめの飲み方、さらにおすすめグラッパの銘柄をいくつかご紹介します。イタリアで定番のグラッパの楽しみ方を知り、ぜひ普段の食事に取り入れてみてください。

グラッパってどんなお酒?

グラッパグラスに注がれるグラッパ

さっそくグラッパとはどのようなお酒か見ていきましょう。グラッパはイタリアで造られる蒸留酒の一種です。

本章では、グラッパの製造方法や特徴、ブランデーとの違いを解説します。グラッパを知る方にとってはより深く幅広く楽しめるきっかけに、知らない方にとってもついグラッパを身の回りで探してみたくなるような情報となるかもしれません。

グラッパとは

ブドウを原料としたイタリアの蒸留酒グラッパですが、実際使われるのはブドウの果実や果汁ではなく、ワインを造り終わった後の搾りかすの部分です。

グラッパは、元々ワインの代用品として親しまれ、10世紀頃にはヨーロッパで流通していたといわれます。起源の一説は、ブドウを原料とした醸造酒のワインが高級品で一部の富裕層しか飲めなかったため、庶民の工夫によりワインの搾りかすに水を加えた蒸留酒「ヴィネッロ」がグラッパの原型という歴史があるようです。

蒸留酒はアルコール分のみが抽出されるため、一般的に醸造酒よりアルコール度数が高くなります。したがってグラッパのアルコール度数も30〜60度と高めです。度数に幅があるのは、赤ワインと白ワインの搾りかすで、もともと含まれるアルコールの相当量に差があるためです。

イタリアで造られたお酒「グラッパ」

イタリアで誕生、やがてヨーロッパに広まり本場イタリアでは「グラッパ」と名乗るための決まりがあります。

一つは、「原料が100%搾りかすのみ」という点です。水や糖分、ワインやフルーツなどを加えると別名で呼ばれ、グラッパとは表記できません。

二つめは、EUの法律により、イタリア産以外は「グラッパ」と表記できない規制があります。そのため、同じ蒸溜方法でもフランス産では「マール」、スペイン産では「オルホ」、ドイツ産では「トレスターブランド」と呼び方が異なるのです。

ブランデーとの違い

同じ蒸留酒であるブランデーとの違いについても触れておきましょう。ブランデーは、果物を原材料とした蒸留酒全般のことを指します。つまり、グラッパはブランデーの一種であると言えます。

前述のようにぶどうの「果実」ではなく「搾りかす」から造られるという特徴から「かすとりブランデー」とも呼ばれることもあるようです。

また、ブランデーは白ブドウの果汁のみを主な原料として、木樽で長期熟成するのに対し、グラッパは白ブドウだけでなく黒ブドウも使われ、ブドウの果汁とその搾りかすに含まれる皮や種も原料となっています。このように、蒸留方法が一定であるブランデーとは異なり、グラッパは造り手による個性が表れやすいお酒とも言えるでしょう。

グラッパの種類

グラッパグラスに注がれたグラッパ

さて、グラッパがどのようなお酒かご理解いただけたところで、見た目の違いに目を向けてみましょう。グラッパには大きく二種類ありますが、派生して原料となるブドウの品種・熟成期間・香りで細かく分類されています。

まずは度数や熟成度による種類の違いを知り、選ぶ際の参考にしてみるとよいでしょう。また、種類と特徴を理解した上で、飲むシーンに応じてどのグラッパが最適か検討してもよいかもしれません。

無色透明な若いグラッパ

本場イタリアでも定番でよく目にするグラッパは、無色透明な若いグラッパです。蒸留した後にステンレスタンクやガラスで熟成させているのみなので、特に色付きのないことが特徴です。それぞれの原料であるブドウのほのかな香りと、アルコールの力強さもあわさってフレッシュですっきりした味わいを感じられるでしょう。

ただし、初めての場合は、低めの度数から試してみるのがおすすめです。ストレートで飲むことが一般的なグラッパは、アルコールの荒々しさが気になることもしばしばあります。低いとは言っても、他のお酒よりも度数が高く、市販のグラッパは40〜50度のものが多いのです。味わいや飲み方に慣れるまでは、グラッパベースのリキュールから始めてみるのも良いでしょう。

琥珀色の熟成グラッパ

同じく初心者の方におすすめなのは、琥珀色のグラッパ。蒸留した後に木樽で熟成させるため、口の中に香りが広がり、まろやかで深みのある味わいに仕上がります。アルコール度数は強いままですが、食後酒としてストレートで少量を味わうには、飲みやすいでしょう。

熟成期間によって、呼び名も若干異なる熟成グラッパですが、18ヶ月以上熟成したものは「グラッパ・リゼルヴァ」または「ストラヴェッキア」と呼ばれています。中には10〜20年熟成されたものもあり、ラベルの記載から見つけられるはずです。美しい色合いの見た目と、果実感あふれる味わいはブランデーを連想させるかもしれません。

グラッパのおいしい飲み方

グラッパと木の実

アルコール度数の強さに気が引ける方も多いかもしれませんが、グラッパはストレート以外にも飲み方が幅広くあり、汎用性の高いお酒です。実はいろいろなものとかけ合わせが可能な点も、甲類の焼酎などに類似しているのではないでしょうか。

本章では、グラッパそのものを味わう基本の飲み方とカクテルにした飲み方の二種に分けて、どのように味を変化させて楽しむことができるかをご紹介していきます。普段から自分の好みの飲み方があれば、そこにグラッパをかけ合わせてもよさそうです。

基本の飲み方

すでにご紹介の通り、グラッパそのものを味わう方法は一般的な「ストレート」以外にも多数あります。「ロック」「ハーフロック」「水割り」「ソーダ割り」など、ウイスキーやブランデーと同様の馴染みある飲み方ですが、グラッパの香りが花開く瞬間を楽しめることでしょう。

以下で、ストレート(ロック)とストレート以外に分類し、ご紹介します。美味しく飲むための注意点も併せて解説するので、飲み方がよくわからない場合は試してみてください。

ストレート

「ストレート」は多くの方に馴染みがある通り、お酒をグラスに注ぐ飲み方で、お酒の味をそのまま感じられる方法です。食後酒としても、ストレートで飲まれることがメジャーで、グラッパのお酒としての魅力をもっとも感じられる飲み方と言えるでしょう。

前述のように、初心者でグラッパの魅力を味わいたい人は、熟成タイプのグラッパをストレートで飲むのがおすすめ。ストレートだとパンチが効きすぎると感じる場合は、氷とお酒で飲む「ロック」でもよいでしょう。氷が少しずつ溶けることで、グラッパの香りと味が少しずつ開花するような変化を楽しめます。

ストレート以外

ストレートやロックが苦手な人は、水や炭酸で薄めて飲む方法も豊富に楽しめるでしょう。この時、温度にも注意するとより一層グラッパの美味しさが引き立ちます。

グラッパと同量の水を入れて味わう「トワイスアップ」は常温がおすすめです。冷やしてしまうと、加水によって香りが開かず、魅力が半減してしまいます。冷やして飲む方法のおすすめは、冷えたグラスに大きな純氷1つとグラッパを入れた「オンザロック」。家庭用の氷は雑味を感じやすいため、できるだけ純氷を使いましょう。

トワイスアップに氷を加える「ハーフロック」や、グラッパ1に水やソーダ3で割る「水割り」「ソーダ割り」もアルコールを緩和してくれる飲み方です。グラッパやグラスなどをしっかり冷やし、混ぜすぎずにマドラーで半円描く程度に留めることも美味しく味わうコツです。

グラッパを使ったカクテル

グラッパは汎用性が高く、カクテルとしての飲み方も多数あります。「イタリアン・スティンガー」「バックスフィズ」「ティー・カクテル」など、パターンはさまざまです。

ウイスキーやブランデー、そのほかの洋酒と類似した方法でもあるので、普段から馴染みがあり、取り入れやすいものから挑戦してみてはいかがでしょうか。

イタリアン・スティンガー

「スティンガー」とは、ブランデーにミントを加えるカクテルの作り方を指します。ここから派生して、ブランデーをグラッパに変えてミントと合わせた飲み方は「イタリアン・スティンガー」と呼ばれています。

おすすめの割合は、グラッパ2に対し、アマレット(またはミントリキュール)1。ミントの爽快感を強めに感じたいときは、ミントリキュールを入れた状態で、ミントの葉を軽くつぶしましょう。そこにグラッパを加えると、ミントの香りの中にほのかにグラッパの香りが漂い、飲みやすい味わいに仕上がります。

ただし、飲みやすさのあまり、飲み過ぎに注意しましょう。スティンガーのカクテル言葉は「危険な香り」とも言われるほど、飲みやすさとアルコールの強さが絶妙な組み合わせだと言われています。

バックスフィズ

「バックスフィズ」は、ロンドン発祥のシャンパンベースのカクテルで、シャンパンにオレンジジュースを加えたカクテルを指します。微差はありますが、レストランやバーで見かける「ミモザ」と同じお酒です。

アルコールの強さに目が行きがちですが、もともと柑橘系と相性のいいグラッパ。シャンパンをグラッパベースに変調させて、飲みやすく仕上げることができます。グラッパと同じ量のオレンジジュースを入れて、よく冷やしたグラスとたっぷりの氷で飲みましょう。

可能であれば、タンブラーグラスを使用したり、オレンジジュースは100%果汁を使用したりすると本格的な味わいとなります。情熱的な色合いがヴェネチアの夕暮れの海を想わせると言われ、「ヴェネチアン・サンセット」と呼ばれることもあるお洒落なカクテルです。

レゼンティン

イタリアでは、エスプレッソにたっぷりの砂糖を入れて飲む文化があります。飲み終わってから溶け残った砂糖にグラッパを入れるのが「レゼンティン」という飲み方です。砂糖の甘みとほのかに残るコーヒーの味がグラッパと絶妙に調和します。

グラッパはコーヒーとも相性抜群のため、エスプレッソに少量のグラッパを混ぜて飲む「カフェ・コレット」も人気。砂糖で甘さを調整したり、ホイップクリームを乗せたりとアレンジも自由に楽しめます。元々「カフェ・コレット」はエスプレッソに好みのお酒を組み合わせる飲み方を意味するので、注文時はベースのお酒も指定するとスムーズです。

中にはショットグラスに少量のグラッパとコーヒー豆を3粒ほど入れ、豆に30秒ほど着火し消してから飲む「グラッパ・コン・モスカ」という変わった飲み方もあります。火傷には注意が必要ですが、遊び心あるユニークな飲み方です。

ティー・カクテル

「ティー・カクテル」は名前の通り、グラッパに紅茶を組み合わせたカクテルです。作り方や紅茶の種類は自由にアレンジできますが、アールグレイなどの香りが強めの紅茶を使用するのがおすすめです。休日の午後など、アフタヌーンティーのお供に重宝される飲み方です。

一度お試しいただきたい作り方は、まずグラスにミントとグラッパを入れ、ほどよく潰します。そこに氷を入れ、少々濃いめのアイスティーを混ぜて最後に炭酸水を入れたら完成です。

ミントのすっきり感、紅茶とグラッパの香り全てをバランスよく楽しめるでしょう。グラッパが少量な分、アルコール度も低くなるのでグラッパ初心者の方も試しやすいカクテルです。

おすすめのグラッパ

3種類のグラッパ

グラッパというお酒の特徴や飲み方を一通り理解した上で、実際にどのようなグラッパを選ぶと良いか迷ってしまう方も多いでしょう。そこで本章では、具体的におすすめグラッパの銘柄をいくつかご紹介します。

グラッパは普段からカクテルベースが好きな方や少し変わったお酒を飲んでみたいという方、友人にお酒好きの方がいれば、贈り物としても最適です。お酒に強くない方でも、前述の中から飲みやすい方法も合わせて検討してみてください。

NARDINI(ナルディーニ)エクストラフィーナ

NARDINI(ナルディーニ)は、グラッパを初めて製造し、販売した元祖の蒸留所です。2世紀以上に渡り、伝統を守りつつ、蒸留技術の進化に努めています。独特な見た目の近未来をイメージした研究センターを持つことでも有名です。

そこで造られた高品質なグラッパ「エクストラフィーナ」は、フルーツや薔薇などのフローラルなアロマの香りが感じられ、グラッパらしい魅力を凝縮した銘柄。無色透明のグラッパを定番の飲み方で試してみたい方にもおすすめです。

値段は、紙箱入りか木箱入りかによって変わります。蒸留時の泡をイメージしてデザインされているボトルもお洒落です。ホームパーティで気軽に楽しむにもよいですし、結婚や長寿などの特別なお祝いに木箱入りのものをプレゼントすれば、雰囲気もよく見えるでしょう。

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Marzadro(マルザドロ)アッフィーナ チリエージョ

Marzadro(マルザドロ)は、1949年創業以来、国際的に評価の高い家族経営で高品質を保つ、日本初上陸の蒸留所です。

そこで造られた「アッフィーナ チリエージョ」というグラッパは、芳醇で繊細という個性的な味を醸しだす、独特な香りのブレンド酒。ラグレインやピノノワールなどの黒葡萄をプレス蒸し、チェリー樽で10年寝かせているという深みのある味わいのグラッパです。

高価ですが、ウイスキーやブランデー同様、熟成期間が長いお酒は希少価値が上がります。おしゃれな箱とボトルの形からも、こだわりを感じる商品です。洋酒好き、お酒のボトルにもこだわりがある方はぜひ一度お試しになってはいかがでしょうか。

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Berta(ベルタ) エリージ グラッパ ディ バルベーラ/カベルネ/ネッビオーロ

Berta(ベルタ)は、有名なイタリアンレストランでは必ずオンリストしているメジャーな蒸留所です。戦後創設されてから根気強くぶどう農家と連携し、品質の高い搾りかすを手に入れられるよう力を注いできました。

伝統ある蒸留器で作られた「エリージ グラッパ ディ バルベーラ/カベルネ/ネッビオーロ」はバルベーラ・ダスティを10年、ネッビオーロを5年、カベルネソーヴィニョンを3年間という3種類のブドウをたっぷり木樽で熟成させて最後にブレンドしたグラッパ。エレガントで複雑なアロマの香りが漂います。

綺麗な琥珀色で、ボトルや包装の見た目も華やかでおしゃれ。値段が比較的リーズナブルなので、ちょっとしたプレゼントにも最適です。

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NONINO(ノニーノ)グラッパ モノヴィティーニョ シャルドネ バリック

NONINO(ノニーノ)は、グラッパの洗練された蒸留酒というイメージを確立した、まさに 「グラッパの革命児」ともいえる蒸留所。かつては原料である搾りかすの産地や品種は混合され製造されていたグラッパですが、イタリアで初めて単一品種かつ高品質な搾りかすを丁寧に蒸留し、美しいボトルで販売し始めました。それが「グラッパ・モノヴィティーニョ」です。

おすすめの「グラッパ モノヴィティーニョ シャルドネ バリック」は厳選されたシャルドネの搾りかすのみを蒸留し、12ヶ月しっかり樽熟成されたグラッパです。バニラやペーストリー生地などの洗練された香りとチョコレートやアーモンドを連想させる味わいに仕上がっています。リーズナブルな値段に淡い琥珀色の見た目、話題性もある感慨深いお酒と言えるでしょう。

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まとめ

自由で楽しい洋酒、グラッパ。本場イタリアではワインの代用品から始まり、多くのブドウ農家、蒸留所のこだわりと工夫によって、現在の人気に至りました。洋風レストランやヨーロッパ旅行での話題にもなる面白いお酒です。

汎用性の高いお酒としてグルメな人やお酒好きな人への贈り物にも最適でしょう。これを機に、自分に合う飲み方も探してみていただき、グラッパとともにお洒落に食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。