タイヤの皮むきとは?慣らし走行の必要性と正しい方法、注意点を解説

新品タイヤに交換した直後、店舗のスタッフから「タイヤの皮むきをしてください」と言われたことがある人もいるでしょう。実は、新品タイヤの表面にはタイヤの製造段階で使用される離型剤が残っており、滑りやすい状態になっています。
新品タイヤに交換した後は、タイヤ本来の性能を引き出すために離型剤を除去する「皮むき」と呼ばれる慣らし走行が必要です。
本記事では、タイヤの皮むきの必要性や正しい方法に加え、注意点についても解説します。安全で快適なドライブを楽しむためにも、ぜひ参考にしてください。
目次
タイヤの皮むき(慣らし走行)とは?
タイヤの皮むきとは、新品タイヤを装着したあとに行う「慣らし走行」のことです。
新品タイヤの表面には、製造工程で使われたオイルやワックスなどの離型剤が残っており、ゴムもまだ路面に十分馴染んでいません。
離型剤は、タイヤを金型からスムーズに剥がすために使われるもので、同時にタイヤ表面の酸化を防ぐ保護剤としての役割も担っています。しかし、離型剤が残った状態のまま走行すると、グリップ力が発揮されにくく、滑りやすくなります。
そのため、タイヤ本来の性能を引き出す、皮むき(慣らし走行)を行う必要があります。
皮むきの必要性
タイヤの皮むきの必要性は主に以下の3つです。ここでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
- タイヤの性能を最大限に引き出せる
- タイヤの寿命を延ばせる
- 新しいタイヤに慣れる
タイヤの性能を最大限に引き出せる
タイヤの表面に付着している離型剤や化学物質を取り除いた後に、はじめて本来の性能が発揮されます。つまり、どれだけ高性能なタイヤを装着したとしても、十分に皮むきをおこなわなければ、性能を発揮できません。
新品タイヤを装着した直後は、安全に車を走行させるためにも入念に皮むき(慣らし走行)をおこないましょう。
タイヤの寿命を延ばせる
皮むきを行うことで、タイヤの内部構造が馴染んでタイヤの寿命を延ばすことができます。
皮むきにより、タイヤが膨張してタイヤとリムの接着力が向上する現象が起きます。この現象は、「寸度成長」と呼ばれるものであり、故障耐久性が向上してタイヤの寿命が延びます。
新しいタイヤに慣れる
新しいタイヤに慣れるためにも、皮むき(慣らし走行)は重要な作業です。メーカーやブランド、商品によってタイヤの特性が異なります。たとえば、コンフォートタイヤからスポーツタイヤに履き替えたときや、逆のパターンのときも、ハンドリングや乗り心地の違いを感じるでしょう。
皮むき(慣らし走行)を行うことで、新しいタイヤの特性に慣れることができます。結果的に安全な運転につながります。
タイヤの皮むきの方法と注意点
タイヤの皮むきを行う際は、走行距離や速度、走行場所などに注意が必要です。無理な走行や急な操作を避け、タイヤに負担をかけないようにすることで、長持ちしやすくなります。
走行距離と速度の目安
タイヤの皮むきを行う際は、単に走行すれば良いわけではなく、走行距離や速度に注意が必要です。サマータイヤの場合、一般的には時速60〜80km/hで100km以上の走行が推奨されています。
一方、スタッドレスタイヤの場合は、60km/h以下の速度で200km以上の走行が目安となります。スタッドレスタイヤの皮むきには、低速で長距離を走行することがポイントです。
走行場所
皮むき時の慣らし走行を行う際は、走行する場所にも注意が必要です。皮むきを行う際は、低速で走行するのが一般的です。離型剤が付着している状態ではタイヤが滑りやすくなるため、スリップのリスクを避けるためにも、走行スピードを抑えやすい場所を選びましょう。
高速道路や自動車専用道路など、スピードが出やすい場所はできるだけ避けましょう。信号が少なく、一定の速度で走行できる直線的な道路が理想です。
皮むき中の運転時の注意点
慣らし走行中は、急発進や急ハンドル、急ブレーキといった「急」がつく操作を避けてスムーズな運転を心がけましょう。皮むきが終わっていない段階で、「急」がつく操作をすると、タイヤに負荷がかかって異常に発熱し、タイヤが損傷してしまう可能性があります。
また、離型剤によって滑りやすくなっているので、雨天時の走行や濡れた路面での走行も避けることが大切です。
皮むき完了後は定期的に点検を行う
安全に走行するには、皮むきが完了した後も、タイヤの点検を定期的に行うことが大切です。
とくに装着からしばらくの間は、製造不良、走行中の異物踏みなどによる初期トラブルが起こる可能性があります。振動や異音、走行中の違和感がないかを確認しましょう。なお、こうしたトラブルは使用時期にかかわらず発生し得るものではありますが、装着直後は状態の変化に気づきやすいため、点検を行うことを推奨します。
また、適正な空気圧になっているかも確認してください。
万が一、タイヤに異常が発生していたり、空気圧に過不足があったりする場合は、速やかにタイヤ専門店などに相談し、プロによる点検を受けましょう。
まとめ
タイヤの皮むきを行うことで、寿命を延ばし、性能を十分に発揮させることができます。皮むきが不十分な状態で急ハンドルや急発進すると、スリップしてしまうことがあり、非常に危険です。安全に走行するためにもタイヤの皮むきはできるだけ行うことが重要です。
サマータイヤは時速60〜80km/hで100km以上の走行、スタッドレスタイヤは60km/h以下の速度で200km以上の距離を走行することが推奨されています。皮むきが終わっていない状態だと滑りやすくなっているので、安全を考慮して雨天時の走行(濡れた路面の走行)は極力避けましょう。
なお、皮むきが終わった後も、安全に運転するためにも定期的にタイヤの点検を行うことが大切です。
※この記事は2025年6月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。