【画像でわかる】スリップサインとプラットホームの見方!残溝についても解説
車の点検時に、「スリップサインが出ている(出そう)」と言われた経験がある人もいるかもしれません。しかし、スリップサインが具体的にどのようなものか、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。
本記事では、スリップサインがどのようなものかを詳しく説明し、スリップサインの確認方法を画像付きで解説します。また、スリップサインを見逃さないためのポイントや、よくある質問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
スリップサインはタイヤ交換のサイン
スリップサインとは、タイヤの摩耗の限界を示す目印です。タイヤの残溝が1.6mm未満になると、タイヤのトレッド面にスリップサインが現れます。
スリップサインはタイヤのトレッド面に4〜9か所ほど設置されています。タイヤが摩耗し、残り溝が1.6mmになると、溝に設置されたスリップサインと同じ高さになり、スリップサインが露出する仕組みです。
スリップサインの露出は、安全に運転できる限界に達していることを意味しており、早急なタイヤ交換が必要です。
スリップサインの位置と見方
スリップサインはタイヤの寿命を示す重要な目安であり、日常的に意識してチェックすることが大切です。そのためには、まずスリップサインの位置と、確認方法を知っておく必要があります。
一般的に、タイヤのサイドウォール(側面)には「△」マークやメーカーのロゴが刻印されており、それがスリップサインの位置を示しています。この「△」マークやロゴの刻印を探し、その位置に対応するトレッド面を確認すると、スリップサインを見つけることができます。
【スリップサインと△マークのイメージ】
タイヤのサイドウォールを見て「△マーク」を探し、その延長線上にスリップサインがあります。
【スリップサインの比較】
タイヤがすり減っていない状態では、スリップサインが溝の中に隠れています。一方、タイヤが摩耗すると、スリップサインがトレッド面とほぼ同じ高さになっているのが確認できます。
スタッドレスタイヤにあるプラットホームの位置と見方
サマータイヤの場合、スリップサインを基準にタイヤの寿命を確認します。一方、スタッドレスタイヤには「プラットホーム」という目印が設置されており、これがタイヤ交換の目安となります。
プラットホームはスリップサインと同様の役割を果たし、プラットホームがトレッド面と同じ高さになった時点で、タイヤの交換が必要です。
詳しくは以下で解説しています。
スタッドレスタイヤの交換時期はいつ?履き替え費用・時間の目安
スタッドレスタイヤの寿命年数は?寿命の判断方法と正しい保管方法
スタッドレスタイヤは100円玉でも確認できる
スタッドレスタイヤの場合、100円玉を使ってスリップサインの確認が可能です。タイヤの溝に硬貨を差し込み、「1」が見えなくなるかどうかを確認します。もし「1」が見えなくなる場合、タイヤの残溝はまだ十分であることを示しています。一方、「1」が見える場合は、タイヤの残溝が半分以下になっており、交換時期が来ている可能性が高いです。
ただし、タイヤのサイズによって溝の深さは多少異なります。正確に確認するには、自動車整備工場やタイヤ販売店で定期的にタイヤ点検を受けることをおすすめします。
スリップサインが出たらどうなるの?
スリップサインの見方や確認方法は理解できたものの、「スリップサインが出た状態では走行できないの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
ここでは、スリップサインが出た場合に起こるリスクや影響について詳しく解説します。
雨の日にスリップしやすくなる
スリップサインが出ているということは、タイヤの残り溝が1.6mm未満になっており、タイヤ本来の性能を発揮できなくなっている状態です。
タイヤの溝が浅くなると、排水機能が低下し、雨天時にタイヤと路面の間に水膜ができてしまうケースも少なくありません。水膜ができると、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作が効かなくなる「ハイドロプレーニング現象」が発生し、車がスリップするリスクが高まります。
制動距離が長くなる
タイヤメーカーの公式発表によると、タイヤの残溝が4mm以下になると、「排水性能」「駆動力・制動力」「操縦安定性、放熱性」が低下するといわれています。
タイヤの溝が浅くなると、雨天時だけでなく、ドライ路面でも制動力が低下し、その結果、制動距離が長くなります。つまり、ブレーキをかけ始めてから完全に停止するまでの距離が伸びてしまい、思わぬ事故や衝突のリスクが高まるのです。
パンクやバーストのリスク
前述の通り、タイヤの残り溝が4mm以下になると、タイヤの性能が低下します。また、タイヤ自体の劣化が進んでいるため、パンクやバーストのリスクも高まります。
特にバーストは重大な事故につながる可能性があるため、注意が必要です。
車検に通らない
タイヤの溝が1.6mm未満になると、トレッド面にスリップサインが露出します。スリップサインが出ている状態では車検に通らず、そのまま公道を走行すると道路交通法違反となります。
車検に通過するためには、スリップサインが出ていない新品タイヤなどへの交換が必要です。
スリップサインを見逃さないためのポイント
スリップサインが出ている状態での走行リスクは理解できたものの、スリップサインを見逃さないためにはどうすればよいのか、わからない人もいるかもしれません。
ここでは、スリップサインを見逃さないためのポイントとして、「日常点検を行う」「異常摩耗に注意する」「専門家の点検を受ける」の3つの方法について詳しく解説します。
日常点検をおこなう
重大な事故を避けるためにも、スリップサインを見逃さないように日頃から意識することが大切です。
運転前にタイヤのトレッド面を確認し、スリップサインが出ていないかをチェックしましょう。また、スリップサインの確認と併せて、タイヤの空気圧が適切かどうかも確認することがポイントです。
異常摩耗に注意する
タイヤの一部だけが偏って摩耗する「偏摩耗」は、スリップサインが早く露出する原因となります。通常、タイヤのトレッド面は均等に摩耗し、すべてのスリップサインが同時に露出するのが一般的です。
しかし、偏摩耗などの異常摩耗が発生している場合、特定の箇所のみがスリップサインに達していることがあります。そのため、タイヤ点検時にスリップサインを見落とす可能性が生じます。
偏摩耗などの異常摩耗を見つけた場合は、タイヤのトレッド面全周を確認し、スリップサインが出ていないかチェックしましょう。また、スリップサインが出ていなかったとしても、アライメント調整やタイヤのローテーションを行うことが重要です。
専門家の点検を受ける
スリップサインを確認すれば、タイヤの交換時期を自分で判断できます。しかし、スリップサインを見落としたり、スリップサインでは確認できないタイヤトラブルが発生していたりすることも少なくありません。
そのため、自身での日常的な点検に加え、定期的に専門家による点検を受けることが大切です。専門家による定期点検により、タイヤのトラブルを早期に発見し、重大な事故を未然に防ぐことが可能となります。
スリップサインに関してよくある質問
スリップサインの見方や、放置した場合のリスクを解説してきました。ここでは、スリップサインに関するよくある質問と回答を紹介します。
スリップサインの出現を遅らせるにはどうしたらいい?
- 適切な空気圧を維持する
- タイヤのローテーションを行う
- 安全運転を心がける(急ハンドル・急ブレーキを避ける)
スリップサインの出現を遅らせるためには、適切な空気圧の維持が大切です。空気圧が基準より低いと、タイヤがたわんで偏摩耗が発生しやすくなり、路面との摩擦抵抗が増加するため、燃費の悪化にもつながります。
また、タイヤのローテーションや安全運転もスリップサインの出現を遅らせる方法です。タイヤローテーションは5,000kmごとに行うことが目安とされており、これにより4本のタイヤが均等に摩耗し、偏摩耗によるスリップサインの早期露出を防げます。さらに急ハンドルや急ブレーキもタイヤ摩耗の原因となるため、安全運転を心がけることでタイヤの寿命を延ばし、結果としてタイヤ交換の頻度を抑えることが可能です。
タイヤの寿命については以下で詳しく解説しています。
タイヤの寿命は何年くらい?製造年や走行距離から交換時期を徹底解説
スリップサインを放置してもいい?ギリギリまで走行OK?
スリップサインが出ていてもタイヤにはまだ溝が残っているため、そのまま運転できると考える人もいるかもしれません。しかし、スリップサインを無視することは非常に危険です。
スリップサインが出ている状態では、排水性や制動力、駆動力など、タイヤの性能が大幅に低下しており、重大な事故に直結する可能性があります。また、パンクやバーストのリスクも高まるため、スリップサインが出た際は早急にタイヤを交換しましょう。
なお、スリップサインが出た状態で公道を走行すると、道路交通法違反となり、罰則の対象となります。
スリップサインは高速走行に関係する?
トラックやバスが高速道路を走行する際には、スリップサインとは別途規定が設けられています。小型トラック用タイヤを装着して高速道路を走行する場合、残溝が2.4mm未満、トラックおよびバス用タイヤの場合は3.2mm未満になると、高速道路を走行してはならないと規定されています。
スリップサインの見方をマスターして寿命を把握しよう
タイヤのサイドウォールには「△」マークやメーカーのロゴが刻印されており、これらの目印からスリップサインの位置を確認できます。タイヤの残り溝が1.6mm未満になるとスリップサインが露出し、これがタイヤ交換の目安です。
スリップサインを無視して運転を続けると、パンクやバーストのリスクが高まるだけでなく、整備不良となり道路交通法違反に該当します。
そのため、スリップサインが確認できた場合は、速やかにタイヤ専門店などに相談し、タイヤ交換を検討することが重要です。
※この記事は2024年9月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。