タイヤの空気圧|点検・充填方法を初心者にも分かりやすく解説!
タイヤは、メーカーが定めた適正な空気圧にすることが大切です。定期的な点検をおこない、適正空気圧に調整していれば車の性能を最大限に発揮できます。
エンジンオイルやラジエーター液の確認はしていても、タイヤはあまり点検しないという人も多いのではないでしょうか。タイヤの空気圧の過不足は、パンクや事故を引き起こす原因となるだけでなく、燃費やタイヤの寿命にも大きく影響します。
本記事では、タイヤの空気圧が適正でない場合に起こるトラブル例や空気圧の点検方法、正しい空気圧の充填方法とあわせて、手順や点検ポイントなどをわかりやすく解説します。
目次
タイヤの空気圧が適正でないとどうなる?
タイヤの空気圧が適正でない場合のトラブルを、空気圧が不足している場合と空気圧過多の場合にわけて見ていきましょう。
空気圧が不足している場合
タイヤの空気圧が不足している場合に予想されるトラブルは次の通りです。
- タイヤの両ショルダー部の偏摩耗
- ライフ性能の低下
- 操縦の安定性の低下
- 燃費が悪くなる
- バーストを起こす危険
タイヤの偏摩耗、ライフ性能低下
タイヤの空気圧が不足すると、通常以上にカーブ時の負担が掛かりやすくなり、タイヤのショルダー部分のみが偏って摩耗が進みます。偏摩擦は、排水性などのタイヤ本来の性能を悪化させる可能性があり、ライフ性能の低下(タイヤ寿命の短期化)につながります。
操縦の安定性の低下
また、空気圧が不足していると操縦の安定性が失われる場合があります。これは空気圧不足によってタイヤの回転中にたわみが発生するためです。特に、高速道路の走行時に影響が現れやすいですが、一般道でも空気圧が不足しているタイヤの方向にハンドルが取られてしまうなど、操縦に影響を及ぼします。
燃費が悪くなる
空気圧不足は、燃費にも大きく影響します。空気圧不足のタイヤで車両の重さを支えていると、タイヤが変形しやすくなるからです。変形したタイヤは接地面が広がっているため、タイヤを転がすメカ二ズムに対して多くのエネルギーが必要となり、通常時より燃費が悪くなります。
バーストを起こす危険
最終的にバーストを引き起こすスタンディングウェーブ現象のリスクもありますスタンディングウェーブ現象とは、タイヤの空気圧が不足した状態で高速走行をしたときに、横から見るとたるんで波を打つように変形する現象のことです。
ある時点までは運転に違和感を覚えないため、ドライバーが気づきにくく、
変形している状態のまま走行し続ければタイヤに大きな負担がかかります。タイヤの溝やサイドウォールにひび割れが生じたり、異常発熱を起こしたりして、タイヤがバーストする原因にもなります。
空気圧が過多になっている場合
タイヤの空気圧が過多になっている場合に予想されるトラブルは次の通りです。
- タイヤの偏摩耗
- 摩耗スピードの加速
- 乗り心地が悪い
- 損傷しやすい
タイヤの偏摩耗、摩擦スピードの加速
タイヤの空気圧が過多になっていると、タイヤの接地面が膨らんで丸みをおびるため、地面とタイヤの接地面が中央部分に集中します。そのまま走行し続けると中央部分のみが偏って摩耗し、通常より摩耗スピードが早まるため注意が必要です。
乗り心地が悪い
本来、地面からの振動を吸収する役目も果たすタイヤですが、空気圧過多の場合、振動がダイレクトに伝わりやすくなります。これは、空気圧過多のタイヤは空気を目一杯入れた風船のように、ゴムのしなやかさが減少するため地面からの振動を吸収しづらくなるからです。
走行中の振動が乗車している人にも伝わるため、乗り心地が悪くなります。
損傷しやすい
また、空気圧過多の状態は、道路にある段差や縁石などによるちょっとした外部からの衝撃でサイド部分の薄いコードに切断やほころびが生じ、タイヤが損傷しやすくなります。
タイヤの空気圧を点検するには
空気圧の点検は、次の順番でおこないます。
- タイヤの適正な空気圧を確認する
- エアゲージで空気圧を測定
順番に空気圧の点検方法を見ていきましょう。
1.タイヤの適正な空気圧を確認する
メーカーが車ごとに最適な空気圧を決めており、「車両指定空気圧」と呼ばれています。
なお、タイヤの適正な空気圧は、車によって違うため、車の車両指定空気圧を調べるには、運転席のドアの開口部に記載されている表示を確認しましょう。
記載されている内容は、新車時のタイヤサイズやメーカーオプションで注文したタイヤサイズと、前後それぞれの車両指定空気圧です。
新車時のタイヤからインチアップしている場合は、タイヤを購入したタイヤ販売店に相談し、購入したタイヤにあった空気圧に調整してもらいましょう。インチアップしたタイヤは、車両を支える空気量が減少するため、高めに空気圧を設定する必要があります。
2.エアゲージで空気圧を測定
タイヤの空気圧を計測するには、エアゲージと呼ばれる空気圧計を利用すると簡単に測定できます。エアゲージで測定する場合は、ホイールのバルブキャップを外し、バルブに装着して計測します。
エアゲージを持っていない場合は、ガソリンスタンドやカーショップでエアゲージを貸してもらったり、スタッフに計測してもらいましょう。
フジ・コーポレーションでは、店舗で空気圧の計測をおこなっています。
タイヤの空気の調整方法
タイヤに空気を充填するには、正しい手順でおこなう必要があります。ここでは、エアタンク式と据え置き型、それぞれの手順を見ていきましょう。
エアタンク式で充填する手順
エアタンクは、ガソリンスタンドのガソリン補充ブースやカーショップの一角に設置してあります。形状は金属製の丸いタンクで、上部に取っ手が搭載され、持ち運びが簡単です。
エアタンク式で充填する手順は以下の通りです。
- バルブキャップを外し、充填機のホースの先端をバルブに押し当てる
- タンクに表示される空気圧を確認する
- 既定の空気圧までタンクを操作し空気を充填する(タンクの種類により、充填方法は異なります)
- 既定の空気圧に調整できたらホースを外してバルブキャップを閉める
据置型で充填する手順
据置型の充填機の場合も、エアタンク同様にガソリンスタンドやカーショップの一角に設置してあることが多く、デジタルタイプとダイヤルタイプがあります。
据置型で充填する手順は、以下の通りです。
- 車を充填機の近くまで移動する
- デジタルの場合は既定の数値を入力し、ダイヤルの場合は既定の数値にダイヤルを合わせる
- バルブキャップを外し充填機のホースをバルブに押し当てて空気圧を自動調整する
- 充填機の音が鳴りやむかデジタル画面にENDと表示されたらホースを外す
- バルブキャップを閉める
タイヤの空気圧を点検するポイント
ここからは、タイヤの空気圧を点検するポイントを説明します。それぞれのポイントに注意しながら正確に空気圧を点検しましょう。
空気圧は1か月に1度は点検する
タイヤの主成分であるゴムの特性上、タイヤの空気は利用頻度に限らず1か月に5%程度自然に減少します。たとえば220kPaが規定値のタイヤの場合、1か月後には209kPaとなり、3か月後には187kPaほどにまで減少します。
空気圧の自然低下を考慮した場合、車両指定空気圧を基準に0~+20kPaの範囲内で調整するのがおすすめです。
タイヤを良いコンディションで使用するためには、定期的なタイヤの空気圧管理が必要です。点検の頻度は1ヵ月に1回程度がよいでしょう。
空気圧はタイヤが冷めている時に点検する
高速走行後や長時間走行後などのタイヤが暖まっている状態では、タイヤ内部の空気が暖まって膨張するため、空気圧が高く計測される場合があります。
タイヤの正確な空気圧を点検するには、必ずタイヤが冷えた状態でおこないましょう。
スペアタイヤも点検する
スペアタイヤが車載されている場合は、スペアタイヤの空気圧もあわせて点検するのがおすすめです。スペアタイヤも自然低下現象で空気が抜けるため、いざというときには空気が抜けていて使用できないケースも考えられます。
スペアタイヤの適正空気圧は、運転席のドア側面に記載されているか、スペアタイヤ本体に記載されています。いざというときに使えるよう、スペアタイヤも定期的に点検しておきましょう。
点検時は空気圧以外もチェックする
タイヤの空気圧の点検時には、次に挙げる項目もあわせて点検すると安心です。
- タイヤの溝、傷
- ホイールの状態
- バルブの劣化具合
タイヤの溝、傷
新品のタイヤの溝の深さはサマータイヤで約8mm、スタッドレスタイヤで約10mmです。タイヤが擦り減ると、スリップサインとよばれるマークが溝部分に現れます。タイヤの点検時には、このマークが現れていないか確認しましょう。スリップサインの位置は、タイヤのショルダー部分に△などのマークがあるので見つけられます。
スリップサインが現れている場合は、タイヤの溝が使用限度の1.6mm未満になっていることを示しています。スリップサインの出ているタイヤを使用すると、整備不良とされ道路交通法の違反になります。
もちろん、整備不良車は公道を走行できませんし車検も通せなくなるので、新しいタイヤへの交換を検討しましょう。
また、タイヤの溝が浅くなるということは、それだけ雨天時のタイヤの排水性能が低下していることも見逃せません。
タイヤの溝を確認するときには、溝が均等に摩耗しているか、キズが無いかをチェックしましょう。また、タイヤに小石や釘やガラスなどの異物が無いかも確認してください。異物が刺さったり溝にかみこんだりしたままでは、タイヤのバーストや損傷につながります。なお、異物が刺さっている場合、ゆっくりと空気が抜けていく「スローパンクチャー」のおそれもあります。
ホイールの状態
また、ホイールが変形していないか、縁石に接触してホイールにキズが入る「ガリキズ」がないかも確認しましょう。傷が大きかったり深かったり、ホイールに気になる変形が見られる場合は、タイヤショップで状態を確認してもらいましょう。
バルブの劣化具合
ホイールのバルブも確認が必要です。バルブもタイヤ同様にゴム素材でできていることが多く、経年劣化により空気漏れの原因につながります。
バルブの具合を確認するには、石鹸水を利用すると簡単です。バルブを石鹸水につけて泡が発生するようなら、バルブ劣化による空気漏れの疑いがあります。
タイヤの空気充填に窒素ガスを使うのは良い?
ガソリンスタンドやタイヤショップで、窒素ガスの充填を勧められた経験がある人もいるのではないでしょうか。
窒素ガスは、タイヤのゴム素材を通り抜けにくい性質があるため、空気が抜けにくいメリットがあります。
また、窒素ガスの場合は温度差によっておこる膨張が少ないため、タイヤの空気圧変化による変形を抑えることができます。そのため、空気圧を追加で充填する頻度を減らす効果が期待できます。
窒素ガスは、通常の空気と比べ酸素量・水分量が極めて少ないため、タイヤゴムの劣化や腐食の進行を抑えると言われています。そのため、タイヤやアルミホイールの寿命を長持ちさせやすくなります。
フジ・コーポレーションでは窒素ガスの充填サービスをおこなっております。詳しくはこちらで紹介しています。
まとめ
タイヤの空気圧は、メーカー規定の車両指定空気圧にあわせて定期的に点検しましょう。タイヤはゴムの特性により、使用頻度に関わらず空気圧が自然に減少します。
定期的に空気圧を計測して、タイヤのコンディションをよい状態で維持すれば、タイヤの寿命を伸ばすだけでなく、燃費もよくなり走行性能もアップします。
空気圧点検に慣れていない人でも、エアゲージを利用すれば簡単に空気圧を点検できます。点検方法が不安な場合は、ガソリンスタンドやカーショップでタイヤの空気圧を点検、調整してもらいましょう。