タイヤの自宅保管に役立つ!正しい保管方法と便利グッズを紹介
夏用タイヤ・冬用タイヤを履き替える時期になると、履き替えたタイヤの保管場所や保管方法に困る人も少なくないでしょう。ガソリンスタンドやタイヤショップの保管サービスも利用できますが、場所が確保できれば自宅で保管できます。
タイヤは、主材料となるゴムの特性により、使用していない間に自然劣化します。保管方法次第では劣化スピードを加速させてしまう場合もありますが、適切にタイヤを保管すればタイヤの寿命を伸ばすことも可能です。
本記事では、自宅でタイヤを保管する際に実践したい適切な保管方法を解説します。
目次
タイヤを自宅で保管するための準備
タイヤを自宅で保管する前に、適切な準備をおこなうかおこなわないかでは、タイヤの寿命に大きな差が生じます。
少しでも長くコンディションの良い状態でタイヤを保管するために、必要な準備は次のとおりです。
- 保管する場所の確保
- タイヤの汚れの洗浄
- タイヤの空気を抜いて保管
それぞれを詳しく見ていきましょう。
保管する場所を確保しよう
タイヤを車に装着しているときにはあまり感じることがありませんが、外してみると予想外の大きさや重さにびっくりした人も多いのではないでしょうか。
自宅で保管するには、大きなタイヤを保管できるスペースの確保が必要になります。
たとえば、軽自動車(155/65R13)のタイヤの場合、タイヤの外径は約530mm~533mm、タイヤ幅が約155mmです。4本横置きに重ねた場合、最低でも幅533mm×奥行533mm×高さ620mm以上のスペースが必要となります。
小型自動車や普通自動車は軽自動車よりもタイヤが大きいため、タイヤを履き替える前に愛車のタイヤサイズから外径や幅を計測して、保管スペースに必要なサイズを計算しておくとよいでしょう。
戸建ての場合
戸建住宅の場合はガレージや庭、犬走りや建物の裏など、敷地内に余裕がある場合が多く、保管場所の確保をしやすいです。
部屋や納戸などの室内が空いている場合、タイヤの保管をする際に最適な場所となります。
集合住宅の場合
アパートやマンションなど集合住宅の場合は、大きなタイヤを保管する場所を確保するために悩む人も多いのではないでしょうか。
ベランダでの保管も考えられますが、ベランダは特に定めがない場合、共有部分にあたり「専用使用権」が与えられているだけのケースが多いです。
ベランダにものを置くのは禁止されている可能性があるのでマンション規約を確認しましょう。なるべく押入れやロフトなど、室内で保管できないか考えてみてください。
室内で保管するときのコツ
臭いや汚れ対策には、真空パックのタイヤカバーを利用しましょう。
また、タイヤの重みでフローリングや畳にタイヤの跡を残さないために、すのこや段ボールで底上げしておくのがおすすめです。
その際、キャスター付きの台座を利用すれば移動させやすくなります。
タイヤの汚れを洗浄する
使用していたタイヤには、泥や砂、埃や油汚れ、化学物質やブレーキダストなどのさまざまな汚れが付着しています。
タイヤに有害な成分も含まれている汚れを放置したままでは、保管中のタイヤを傷めてしまう原因につながります。
まずは、タイヤについた汚れの洗浄から始めましょう。タイヤの汚れを落とすには水洗いで汚れをしっかり落とします。
洗剤は使用しない
タイヤを洗浄する際には、なるべく洗剤は使用しないようにしましょう。
洗剤で洗うと、タイヤに浸透している油性保護成分まで洗剤で除去してしまい、保護成分が除去された状態で保管すればタイヤの劣化が早まるからです。
洗車のたびにタイヤもボディーと同じように洗剤で洗っている場合も同様に、タイヤの寿命を縮めている原因となります。
強力な洗剤の場合、タイヤのゴム成分を溶かしてしまうこともあります。
タイヤ洗浄は極力洗剤を使用せず水洗いのみで洗浄し、水で落ちないホイールの油汚れは、薄めた洗浄剤で汚れを落として、最後に水でしっかり洗剤を洗い流しましょう。
溝に挟まっている異物を取り除く
溝に小石などが挟まったままにしておくと、溝の変形やひび割れの原因につながります。目立つ小石や異物は洗浄の際に極力取り除いておきましょう。
タイヤの溝に入り込んだ小石を除去するときは、マイナスドライバーなど先端が細いものでタイヤを傷つけないように慎重に取り除くことがポイントです。力任せに溝をほじくるとタイヤが傷付き、バーストの原因になります。
しっかり乾燥させる
洗浄後は、しっかり乾燥させることが重要です。水洗い後にしっかり水分を布などで拭き取り、風通しの良い場所で完全に乾かしましょう。
タイヤが水で濡れたままでは、タイヤの内部構造にあるスチールコードが水分で錆びて劣化してしまうからです。
また、乾燥させていないタイヤをそのまま保管すれば、水分から湿気が発生しタイヤにカビが繁殖してタイヤの劣化を進行させる恐れもあります。
タイヤの空気は抜いて保管する
基準通りの空気圧のままでは、空気の内圧で保管中にゴムへ負担がかかり続けてひび割れやタイヤの変形など劣化を早めます。
タイヤを保管する前には、タイヤの空気圧を使用時の1/2より50%程度に下げて保管しましょう。
使用時の空気圧の規定は、運転席のドア側面に表記を見れば簡単に確認できます。たとえば、規定圧力が220kPa{2.2kg/㎠}だとしたら110kPa{1.1kg/㎠}程度まで空気を減圧しましょう。
空気圧を下げる簡単な方法は、エアゲージに搭載されている減圧機能を利用すれば簡単に下げられます。
エアゲージを持っていない場合は、ガソリンスタンドにタイヤを持ち込んで減圧できますが、エアゲージは数百円から数千円で購入できるので、1つ購入しておくとタイヤの圧力チェックがいつでもおこなえて便利です。
減圧するときは、ゲージの数値を見ながら抜きすぎないように注意しましょう。空気の抜きすぎは、保管中のタイヤ重量によりサイドウォールの変形やひび割れの原因につながります。
保管場所の条件
タイヤ本体の扱い方だけでなく、保管中のタイヤの寿命を大きく左右するのがタイヤの保管場所選びです。不向きな場所に保管すれば、準備は完璧でも劣化スピードが加速してしまいます。
タイヤを自宅で保管する際に最も重要なポイントは、タイヤの保管場所に適した条件をクリアすることです。保管場所の条件にはいくつかあるのでそれぞれ見ていきましょう。
雨が当たらない場所
屋外で雨が当たるような場所では、タイヤの内部構造にあるスチールコードが錆びて、タイヤがひび割れてしまい劣化を加速化させる原因になります。
そのため、直接タイヤに雨がかからない場所での保管が望ましいです。
しかし、どうしても雨に当たってしまう場所でしかスペースを確保できない場合には、防水効果の高いタイヤカバーを利用しましょう。
撥水、防水効果に優れているカバーを利用すれば、直接タイヤに雨水がかからないため水分によるタイヤの劣化を回避できます。
直射日光が当たらない場所
タイヤは高温や紫外線に弱く、直射日光に当たり続けるような場所に保管すると、ひび割れや変形、変色などタイヤの劣化が急スピードで進みます。
直射日光を避けた日陰の場所や風通しが良い場所での保管が理想的です。
もしも、日が当たる場所しか保管場所を確保できない場合には、UVカット効果に優れたタイヤカバーを利用してタイヤに直接日光が当たらないような工夫をしましょう。
ただし、タイヤカバーをすることで内部が蒸れてタイヤにカビが繁殖しやすくなるので、期間を決めて、カバーを外して風を通すなどの湿気対策も必要になります。
エアコンの室外機の近くには置かない
タイヤに使用されているゴムは、電気機器のモーターから排出されるオゾンに触れ続けると、腐食性が高まり劣化しやすくなります。
一般家庭では、エアコンの室外機や充電器などからオゾンが発生するため、室外機の付近にはタイヤを保管しないことが鉄則です。
室外機はベランダに設置されていることが多いので、ベランダで保存する際は、なるべく室外機から排出されるオゾンを含んだ風が直接的にタイヤに当たらない場所を選ぶことがポイントです。
ガレージや倉庫など車の部品や機械を保管している場所の場合は、バッテリー充電器や災害用充電器などからも避けてタイヤを保管しましょう。
保管時のタイヤの置き方
タイヤの保管時の置き方には、ホイール付きとホイールなしの場合により違いがあります。それぞれの場合の置き方に注意して保管すれば、タイヤの劣化を最小限に抑えられます。
ホイール付きのタイヤの置き方
ホイール付きのタイヤの置き方は、横置きが理想的です。横置きなら、ホイールの重さによるタイヤの負担が最小限になるのでタイヤの劣化対策につながります。
ただし、一番下に置いたタイヤに重さが集中するため、期間を決めてローテーションする作業でタイヤの寿命を長くしましょう。
ホイール付きのタイヤを縦置きに置くことも可能ですが、ホイールの重さによる負担が接地面に集中するため、接地面のタイヤ表面に「フラットスポット」と呼ばれる部分変形がおこる場合があります。
月に一度程度、タイヤを回転させて接地面を替えれば劣化を最小限に食い止められます。
ホイールなしのタイヤの置き方
ホイールなしのタイヤの置き方は、縦置きが理想的です。サイドウォールやタイヤの変形を回避するために有効です。
保管場所などの関係上、横置きでしか保管できない場合は、保管期間を6ヵ月程度にすればコンディションの良い状態を維持できます。
縦置きのホイールなしのタイヤの保管の場合にも、定期的に接地面のローテーションをおこない、タイヤの平面化を防ぎましょう。
タイヤを保管する際の注意点
タイヤを保管する際は、洗浄方法や置き方のほかに注意点がいくつかあります。間違いやすい注意点ばかりなので、保管する際に気を付けましょう。
タイヤワックスは塗らない
保管前のタイヤにタイヤワックスを塗ると、タイヤワックスに含まれる化学物質が保管中のタイヤに浸透し、劣化の原因につながります。
また、タイヤの溝にワックスが入って固まればタイヤの性能低下の原因になったり、タイヤを再度利用するときに、ワックスが固まってこびりついて落としにくくなったりします。
タイヤを地面や床に直接置かない
タイヤを保管する際には、タイヤを地面や床に直接置くとタイヤの変色・変形の原因になります。
雨水や直射日光の当たる場所では、直接地面に置いてしまうと雨水でタイヤが水浸しになり、ひび割れが発生したり、直射日光による高温で接地面のタイヤが変形したり、劣化を進行させる原因になります。
タイヤを地面や床に直接置くときは、厚手の段ボールやすのこ、専用のタイヤラックなどで地面とタイヤが直接触れないようにし、風通しの良い環境を整えましょう。
タイヤを設置したまま移動できるキャスター付きのタイヤラックなどを使用すると便利です。
定期的に空気を入れ替えないと湿気が溜まる
タイヤを保管する場所として、物置を選ぶ人も少なくないでしょう。しかし、物置は通気性が悪く、物置の内部温度は高温になり湿度も上昇しやすいです。
結果、タイヤが熱で変形したり湿度でカビが繁殖したりする場合があります。カビが繁殖すればタイヤの劣化スピードは急速に高まります。
物置や倉庫など風通しの悪い空間にタイヤを保管する場合は、適度に空気の入れ替えをおこない、湿気や熱気が溜まらないようにしましょう。
同じようにタイヤカバーの場合も、内部は密封された空間で湿度が高くなりやすいです。
定期的にカバーの蓋を開けたりカバーを外して空気を入れ替えたり、湿気・高温対策をすればカビの繁殖や変形の対策になります。
タイヤ保管時にあると便利なグッズ
タイヤを自宅で保管する際に便利なグッズが豊富にあります。設置場所の環境に合わせた利便性の高いグッズを取り入れて、自宅でタイヤを適切に保管しましょう。
タイヤカバー
タイヤを個別に収納するタイプと、4本のタイヤを1つのタイヤカバーで収納できるタイプがあります。
個別に保管するタイプの場合、取っ手が搭載されていて持ち運びしやすいものがおすすめです。
4本セットで収納できるタイプには、内部の湿気対策のため真空パックのようにタイヤを保管できるタイプ、直射日光や雨から守れるUVカットや防水効果に優れたタイプなど、さまざまな種類があるので目的に応じて購入を検討してください。
タイヤラック
タイヤラックは、タイヤをしっかり固定して設置できるだけでなく、地面から高さがある位置にタイヤを収納できます。そのため、地面に流れる雨水でタイヤが濡れることを回避する防水対策や、風通しにも優れているので湿気対策にも有効です。
タイヤラックのなかには、ベランダやガレージでも邪魔にならないコンパクトなタイヤラックもあります。
1段式で4本のタイヤを縦置きに並べる高さの低いタイプや、2段式でタイヤを2本ずつ上下に縦置き収納する高さのあるスリムタイプ、タイヤの軸に通してズレることなく横置き収納できるタイヤラックなど、利便性に優れたさまざまなタイプの商品があるので、自宅の環境に合わせた商品を選んで利用しましょう。
タイヤのチェーンロック
屋外にタイヤを保管するときは、タイヤ単体の場合やホイールが付いている場合のどちらでも、盗難対策を考えなくてはなりません。
タイヤの盗難防止には、鎖や鉄製のチェーンをタイヤに巻き付けて鍵をかけておけば、簡単に持ち出されることはありません。
鎖や鉄製のチェーンが無くても、自転車用のワイヤーロックでも代用できます。自転車用のワイヤーロックの場合、短くて長さが足りないこともありますが、同じ商品を複数本を繋ぎ合わせれば、タイヤの盗難防止チェーンロックとして代用できます。
オールシーズンタイヤなら履き替え、保管が不要
一般的に利用するタイヤは、夏用タイヤと冬用タイヤでシーズン毎に履き替える必要があるため、使用しないタイヤの保管が必要です。しかし、オールシーズン対応のタイヤであれば、基本的に履き替えが不要になります。
オールシーズンタイヤは、夏の暑い日差しにも冬の寒い天候にも全天候に対応できるタイヤです。
MARSHAL/ マーシャル MH22 オールシーズン(限定)
韓国で1960年に創業したアジアンタイヤメーカーのクムホタイヤが取り扱うタイヤブランドのマーシャルMH22は、雪道でも走行できる夏タイヤとして人気のオールシーズンタイヤです。
専用コンパウンドを採用し寒い冬の低温下でも柔軟性を維持することで優れた走行性能を維持できるタイヤです。ハニカム3Dサイプ設計によりブロック剛性確保できるため、年間通して安定した走行性能を発揮します。
全天候オールシーズンタイプだから、履き替えの面倒な作業も必要ありません。小型車から大型車まで、さまざまな車両に合わせたサイズ展開も人気の理由のひとつです。
購入はこちら
交換したタイヤを自宅で保管するメリット・デメリット
自宅でタイヤを保管するには、準備や場所など適切な保管方法でおこなうことがポイントです。
自宅でタイヤを保管するメリットやデメリットも考慮して、適切な方法でタイヤを自宅保管してみましょう。
タイヤの自宅保管メリット
タイヤを自宅以外で保管する場合は、保管費用が発生します。一般的に6カ月から1シーズン単位での保管期間となり、料金は車種やタイヤサイズによりことなります。しかし自宅保管なら保管費用が一切必要ありません。
また適切な保管方法を実践すれば、タイヤを良いコンディションのまま保てます。
タイヤの自宅保管デメリット
自宅内に保管する十分なスペースがあれば問題ありませんが、ガレージや物置での保管を考えている場合は、ほかに置いているモノも考慮しないとスペースが狭くなってしまう可能性があります。
また、タイヤの適切なケアと保管を自分で管理できなければ、次のシーズンにタイヤを履き換えたときには、劣化が進んで履き換えたとたんにバーストする事態も考えられます。
さらに、自分でタイヤ交換ができない場合は、シーズンごとにタイヤを履き替えるため、工場や専門店などにタイヤを持ち込む手間がかかります。
まとめ
タイヤの保管は、高額な保管費用を支払ってタイヤショップやガソリンスタンドでの保管が一般的と思っていた人も少なくないのではないでしょうか。自宅でタイヤを保管するポイントや注意を実践すれば、保管費用がかからず自宅でタイヤを保管できます。
適切な方法で保管すればタイヤの劣化を最小限に食い止められるので、自宅で適切にタイヤを保管するためにも本記事を参考にしてタイヤを良いコンディションで維持できるようにしましょう。
また、スペースの節約ができるタイヤラックや、室外でも保管できるタイヤカバーなどのグッズを利用すると便利です。