タイヤの寿命は何年くらい?製造年や走行距離から交換時期を徹底解説
タイヤは消耗品のため寿命があります。たとえ、使用せず保管していたとしても、一定の年月によるタイヤの劣化は避けられません。また、雑に扱うと寿命は短くなります。そこで本記事ではタイヤの寿命と寿命を延ばす方法を紹介します。
目次
タイヤの寿命は何年くらい?
タイヤは車のなかでも重要なパーツです。タイヤの寿命を知っておくことは命を守ることにもつながります。ここでは、タイヤの寿命の目安となるポイントを紹介します。
メーカーでは5年以上経過で交換が推奨されている
サマータイヤの場合、タイヤの寿命は使用開始から5年程度です。多くのタイヤメーカーでは5年以上経つタイヤは、タイヤ販売店などでプロによる点検を受けることが望ましいとしています。また、製造から10年以上経つタイヤは、たとえ見た目に問題がなくとも交換を推奨しています。
ただしタイヤの寿命は、タイヤの保管方法や運転の仕方などで変動するため、上記の年数はすべてのタイヤに当てはまるわけではありません。
タイヤの製造時期はタイヤの側面に表記で確認できる
タイヤの側面に刻印されている4桁の数字の表記があり、この4桁の数字は、製造年と週を表しています。最初の2桁が製造週で、次の2桁は製造年の西暦下2桁です。たとえば、「3118」との表記があれば、2018年の31週目となり、製造時期は2018年の7月29日~8月4日頃となります。
タイヤ交換時期の目安
タイヤの交換時期の目安は、製造年週以外にもさまざまな要素があります。装着しているタイヤだけでなく、保管しているタイヤでも、状態を確認することで交換が必要か判断可能です。ここでは、交換時期の目安を解説します。
スリップサインが出ていたらすぐに交換が必要
タイヤにはスリップサインと呼ばれる摩耗の進み具合を示すマークが付けられています。タイヤがすり減り、溝の深さが1.6mmに到達すると、スリップサインとタイヤの表面の高さが同一になります。
スリップサインが出たタイヤで公道を走行することは、道路交通法で禁止されており、即時タイヤの交換が必要です。万が一走行した場合は整備不良車両になり、制動装置等の整備不良として交通違反で2点の加点と6,000円〜12,000円(2022年10月24日時点)の反則金が科せられます。
※日常点検でスリップサインが出ていないか、しっかりと確認しておくようにしましょう。タイヤのスリップサインは、側面にある△印から延長線上のタイヤの溝にある盛り上がった部分にあります。
※出典:国土交通省「道路運送車両に関する保安基準」(第89条 4の二)
警視庁「交通違反の点数一覧表」(整備不良:制動装置等)
「反則行為の種別及び反則金一覧表」(整備不良制動装置等違反)
スタッドレスタイヤはプラットホームでチェック
スタッドレスタイヤにはスリップサインのほかに、50%摩耗したことを知らせる「プラットホーム」と呼ばれる突起があります。場所は、タイヤの側面にある矢印の延長線上にあるブロックの間です。
スタッドレスタイヤはタイヤの溝が新品時から50%の摩耗で、グリップ性能が大きく低下してしまい、冬用タイヤとして使用できません。
スリップサインと同様に、このプラットホームの高さがブロックと同じ高さとなる時点が、タイヤ交換の目安となります。
タイヤの溝が4mmになったら
タイヤが路面と接地する部分のことをトレッド部と呼び、そこにある切れこみや溝はトレッドパタンと呼ばれます。このトレッドパタンがあることにより、タイヤと路面の間の水分を排水し、駆動力や制御力の確保、運転の安定性の担保などが実現できるのです。
ほとんどのタイヤメーカーでは、サマータイヤのトレッドパターンにおける切れ込みや溝が4mm以下になれば交換を推奨しています。理由として、4mm以下になると制動距離(ブレーキをかけてから車が停止するまでに走行する距離)が急激に大きくなってしまうことが挙げられます。
ただし、この4mmという数値はあくまで平均値であり、使用状況や保管状況などで変動することに留意しておきましょう。
偏ったすり減りやひび割れ、変形が見つかったら
タイヤの偏摩耗とは、タイヤのトレッドが部分的に異常に摩耗してしまう現象です。偏摩耗は振動や騒音などの乗り心地だけでなく、地面と接地する面積が減りブレーキ性能やグリップ性能を従来通り発揮できなくなることも。偏摩耗を発見したらすぐに交換しましょう。
また、タイヤの側面やトレッド部にひび割れが起きることがあります。これは、タイヤが紫外線や熱の影響を受け劣化することや内部のワイヤーが切れていることが主な原因です。
深いひび割れとなるとタイヤの強度が低下し、負荷がかかることで走行中にバースト(破裂)してしまう危険性もあります。
さらにピンチカットと呼ばれるタイヤの変形も、バーストを引き起こす要因となります。変形の原因として、縁石に乗り上げたり、サイドウォールに強い衝撃を受けて、タイヤ内部のカーカスコードが切れてしまうことが挙げられます。
ひび割れ、ピンチカットはいずれも修理や改善が難しい場合が多いので、発見次第タイヤ交換をしましょう。
走行距離が32,000kmになったら
サマータイヤのゴムは、走行距離約5,000kmにつき1mm摩耗すると言われています。一般的に、新品のタイヤの溝の高さは約8mm(スタッドレスタイヤは約10mm)です。これにより、単純計算でスリップサインが出る1.6㎜に到達する走行距離は約32,000kmとなります。
当然ながら、車の使用状況や路面状況により摩耗具合は変動するので、走行距離による計算はあくまで目安として考えておきましょう。
走行中の感覚に異常を感じたら
運転中、以前より走行音が大きかったり、何か違和感を覚えたりするようであれば、タイヤの異常かもしれません。
また、走行音以外にも、ブレーキが効きづらくなったり、走行時に車が安定しない感じがしたりするようであれば、タイヤの点検を行っている店舗で見てもらいましょう。
タイヤ交換を自分でおこなう際の注意点
カー用品店やネットショップなどで工具が販売されているため、タイヤ交換は自分でやろうと思えば可能な作業です。しかし、タイヤ交換を自分でおこなうことはできるだけ避けましょう。初心者や専門知識もなく慣れていない人はなおさらです。
交換作業自体には危険がともないます。たとえば、ジャッキアップ(車を持ち上げる作業)時に設置方法が甘いと、車体が落下して身体が車と地面に挟まれてしまうケースが挙げられます。
また、作業後の空気圧の管理ミスやホイールナットの締め付け不足でバーストや脱輪などが起きてしまえば、重大事故につながりかねません。
タイヤ交換は無理せずプロに頼むことが望ましいでしょう。フジ・コーポレーションでは、フジネットショッピングで購入したタイヤとホイールを取り付け協力店で交換できる「タイヤ取付WEB予約サービス」をご用意しています。
タイヤは直接取り付け協力店に配送されるので、取付希望日を予約して当日取付をする車で向かうだけでタイヤ交換が可能です。
タイヤの寿命を延ばすためには
タイヤの寿命は使用開始から5年程度ですが、使用や保管の仕方によっては寿命が短くなってしまうケースもあります。寿命を少しでも延ばすために、以下の行動を心がけましょう。
日常的な点検
道路上には、小石や金属片、釘など、タイヤにダメージを与えるものが落ちている可能性があります。これらを踏んだり溝に挟まったまま走行したりすれば、タイヤの劣化が早まります。
日常点検をしっかりとおこなうことで、早期にタイヤの異常を見つけられるので、乗車や降車のタイミングで欠かさずおこなうようにしましょう。
また、日常点検による異常の発見には、タイヤの偏った摩耗も含まれます。タイヤは、前後左右それぞれで摩耗していく箇所が異なります。偏った摩耗は、タイヤの位置交換(ローテーション)により均一に近づけることができるので、結果的に寿命を延ばせます。
位置交換をするには
タイヤの位置交換の方法は、駆動方式がFRおよび4WDかFFかで異なります。また、タイヤによっては回転方向が指定されているものもあり、位置交換には注意が必要です。
位置交換は駆動方式やタイヤに合わせておこないますが、判断や作業は難易度が高いため専門業者に依頼しましょう。
月に一度の空気圧点検
タイヤに入っている空気は、何もしていなくても自然と抜けていきます。空気圧は適正となる値が定められています。多くの場合、ドアの内側下部か給油口の蓋の裏側に指定タイヤの空気圧の適正値を示すシールが貼ってあります。自分の車はどこにシールがあるのか確認しておきましょう。
空気圧は、適正値よりも高すぎるとガタついた走行となり、接地面の真ん中が早く摩耗します。反対に、低すぎると接地面の外側ばかりが摩耗していきます。
空気圧のチェックは、ガソリンスタンドで基本的には無料で作業してもらえます。また、自分でチェックできる空気圧計も販売されています。 月に一度は点検するようにしましょう。
保管方法に気を付ける
タイヤはゴム製品であり、直射日光、雨風、熱などに弱いため、当たると劣化が早まります。保管場所としては、これらの影響を受けにくい冷暗所が適しています。さらに、タイヤを立て掛けておけるタイヤラックと、専用のタイヤカバーも用意して保管しておくと万全です。
使用済みのタイヤを保管するのであれば、タイヤに付着した汚れが劣化を早める原因になるため、保管前にタイヤを洗浄することも大切になります。
また、タイヤを油類や熱源のそばに置いておくと、急激な変質や発火を起こすおそれがあり、非常に危険です。保管するまわりに危険なものがないかにも留意し、安全に保管するように努めましょう。
なお、タイヤとホイールをセットで保管する場合は、冷暗所で横にして置くことで接地箇所の変形や劣化を抑えられます。また、タイヤの空気を半分程度抜いてから保管すると、経年劣化やひび割れの進行を緩和できます。
丁寧で安全な運転
急発進、急ブレーキ、急ハンドルなどはタイヤにダメージを与える走行で、タイヤの劣化が早まります。安全運転を心がけましょう。
また、段差を乗り越えたり、どうしても悪路を走行したりしなければならないといった場合でも、スピードを落とし丁寧に通過することでタイヤへのダメージを減らせます。タイヤをいたわった運転が大切です。
まとめ
タイヤの寿命は、平均して4~5年とされています。ただし、使用状況や保管方法、点検、整備、管理の仕方で変動します。実際に、自分のタイヤがどれくらい摩耗や劣化しているかは、スリップサインを確認したり、ひび割れを発見したりと日々の点検に努めましょう。
また、タイヤを長持ちさせるためには、位置交換を適度に行い、安全運転を心がけることが大切です。寿命を迎えてしまったタイヤは、プロに依頼しタイヤ交換を実施するようにしましょう。