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アマローネ

アマローネとは?特徴や製造方法などを徹底解説

2022.10.18
赤ワインとグラス

「アマローネ」とはイタリアワインの中でも最高級クラスのワインです。イタリアワインの代表格として他に「バローロ」「キャンティ・クラシコ」などが知られています。

この記事では、イタリアワインの「アマローネ」について次の内容を解説しています。

  • アマローネとはどんなワインなのか
  • アマローネの製造方法
  • 味わいの特徴やアマローネに合う料理

イタリアワインを知るうえでアマローネを外すことはできません。アマローネワインの知見を深めていきましょう。

アマローネとはどんなワイン?

赤ワインとグラス

アマローネの正式名称は「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」。
アマローネとは苦味を表す「アマーロ」からきており、ヴァルポリチェッラとはヴェネト州のヴァルポリチェッラ地域を指します。
日本語訳で「ヴァルポリチェッラの(で造られた)アマローネ(苦味が特徴的な)ワイン」という意味です。
ここではアマローネの基準や味わいの特徴をわかりやすくご紹介していきます。

アマローネは最高級のイタリアワイン

アマローネとはイタリアワインの中でも最高級クラスの銘柄です。イタリアを代表するワインは赤ワインの王様と言われる「バローロ」や女王「バルバレスコ」、歴史のある「キャンティ・クラシコ」があります。

アマローネはバローロやバルバレスコと同じ高級ワインであり、キャンティ・クラシコのような歴史と伝統を秘めた赤ワインです。
アマローネはイタリアの東北に位置するヴェネト州のヴェローナ地区「ヴァルポリチェッラ」という限られた地域で醸造されています。そのため生産量が少なく、過去には貴族しか味わうことのできない希少なワインとされていました。
バローロやキャンティ・クラシコなどと比べると、認定された時期は遅めです。

伝統的なアマローネワインは生産工程(陰干しの期間や樽熟成の期間など)に違いがあり、品質にばらつきがあったため、D.O.C.Gに認定されるには各工程に一定の基準を決める必要がありました。
そのため生産工程を統一し、2010年に最高格付けとなりました。
現在では、イタリアワインの格付けで最高級のD.O.C.Gに認定されています。

アマローネがワインの品質区分として最高峰のD.O.C.Gになったのは2010年。価格帯は年代や醸造ワイナリーによりますが、¥8,000~¥20,000前後が多く、熟成期間の長いものや希少価値が高くなると、¥150,000ほどの価格帯のものもあります。

アマローネの基準や味わい

アマローネの味わいは、重厚感のあるフルボディとビターチョコレートのような苦味が特徴的です。アマローネという名前はイタリア語の「アマーロ(苦味)」から来ています。
アマローネワインと呼称できるワインには基準があります。

  • 樽内熟成期間が最低2年以上(アマローネ・リゼルヴァは4年以上)
  • 瓶内熟成が6ヶ月以上
  • アルコール度数14%以上
  • アパッシメント(陰干し)を3ヶ月~4ヶ月
  • ヴェネト州のヴァルポリチェッラ地域で生産している
  • ヴァルパンテーナ(アマローネ生産地の中でも特別地区)で生産しているもの

上記のような厳しい基準をクリアすることで、最高格付けD.O.C.Gの「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」と呼ぶことができるのです。

アマローネの品種と製造方法

アパッシメントをするブドウ

長い歴史の中で培った伝統的な醸造手法と、アマローネ造りに欠かせないこだわりのぶどうの品種をご紹介します。

アマローネの品種

アマローネを醸造するには以下のぶどうが主な品種となっています。

  1. コルヴィーナ種
  2. コルヴィノーネ種
  3. ロンディネッラ種

コルヴィーナ/コルヴィノーネは、ヴェネト州の限られた地域で栽培される黒ぶどうで、アマローネの主原料です。
果実の特徴は、しっかりとした酸味で果実味が豊富なぶどう。早期に造られるワインにも長期熟成のワインにも向いています。
ロンディネッラは渋みを形成するタンニンが控えめのぶどうで、香り高く主にブレンド用の品種です。
アマローネにはコルヴィーナ・ヴェネローゼ、コルヴィノーネ・ロンディネッラといった3種の固有品種と25%までのその他品種の使用が認められています。

アマローネこだわりの製造方法「アパッシメント」

「アパッシメント」とは、ぶどうを陰干しして水分をとばし、凝縮させる製法のこと。

カビを発生させないよう、温度や湿度の調整をしながら、約3ヶ月~4ヶ月間、屋内で陰干しをします。

通常の赤ワインは、収穫したぶどうを破砕・除梗し、発酵タンクで果皮や種ごと発酵後に搾汁しますが、「アマローネ」は「アパッシメント」により水分量を減らしたブドウを使用。使用するブドウに対し、得られる果汁量が少ない為、一般的なワインと比べると醸造量は少なくなります。

アパッシメントにこだわる理由は味わいの深さ。
水分を40%~45%抜くことで、ぶどうの糖分やポリフェノールが凝縮されます。そのため醸造したワインは濃厚な味わいと旨味のあるワインになるのです。

おすすめのアマローネ

アマローネの中でもとくにおすすめの3銘柄をご紹介します。

アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・セルジオ・ゼナート・レゼルヴ2015

アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・セルジオ・ゼナート・レゼルヴ2015
生産者名:Zenato(ゼナート)

ゼナートの「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・セルジオ・ゼナート・レゼルヴ2015」は、「クラッシコ」地区内のサンタンブロージョにある樹齢最古のぶどうから作られたワインです。
使っているぶどうは、コルヴィーナ・ヴェロネーゼ、ロンディネッラ、オゼレータ、クロアティーナの5品種。
アマローネの基本となる品種だけでなく、赤ワイン独特の渋みの肝となるタンニンを強く感じるオゼレータやクロアティーナを使用しています。
そのため、しっかりとした飲み口だけでなく、複数の品種を合わせた複雑で繊細な味わいも感じられる逸品です。

また、コルヴィーナとロンディネッラは、樹齢約30年の樹で栽培しています。その中でも、出来のよい年に栽培されたぶどうのみを使用し、4年間以上もの間オーク樽での熟成を行っているのが特徴です。

また、瓶詰め後も1年以上熟成して出荷されるアマローネは、長期間保持して楽しむこともできます。

パンチのある飲み口なので、赤身肉や熟成されたチーズだけでなく、ジビエなどの香りの強い食事にもよく合います。子どもの成人祝いや結婚記念日など、特別な日に開栓するのにおすすめです。

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デ・ブリス アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・リゼルヴァ2009

デ・ブリス アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・リゼルヴァ2009
生産者名:Tommasi(トンマージ)

トンマージの「デ・ブリス アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・リゼルヴァ2009」は、多くのワイン評価で90点以上を獲得しているワインです。
コルヴィーナ、コルヴィノーネ、ロンディネッラのほかにオゼレータという品種のぶどうを使用しています。
オゼレータは、赤ワインの飲みごたえを増加させるだけでなく、ワインに香りやスパイシーさを加える品種です。

また、ワインを熟成するために「マグニフィカ」と呼ばれる大樽を使用。樹齢200年以上のスラヴォニアンオークでできた樽は、世界一大きな木樽としてギネスブックにも認定されています。

2009年は、アマローネの当たり年だと言われています。当たり年というのは、良質なぶどうを作るのに適した気象条件が揃った年のことです。 よく熟したぶどうをワインに使えるので、同じ銘柄のワインの中でも濃厚で味わい深いワインが楽しめると言われています。

濃厚で果実味を感じる深い味わいの「デ・ブリス アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・リゼルヴァ2009」は、赤身肉を使ったローストビーフや濃厚な味わいのハードタイプのチーズと相性がいいです。

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アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ2012

アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ2012
生産者名:Corte Scaletta(コルテ・スカレッタ)

新進気鋭のアマローネ生産者コルテ・スカレッタが作るアマローネワイン。コルテ・スカレッタは、元々、1世紀以上の歴史あるぶどう農家でしたが、他社へのぶどう販売を止め、2011年からワイン醸造を開始しました。

「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ2012」は、アマローネの伝統的な製法を大切にしています。使っているぶどうの品種は、コルヴィーナ、ロンディネッラ、コルヴィノーネです。収穫や選別はすべて手作業。 アパッシメント作業による凝縮感やスパイシーさにこだわりを持っています。そして樽で2年半、さらに瓶に詰めた後も6カ月もの間熟成を行っているのも特徴です。

「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ2012」は、飲んだ瞬間から濃厚な果実味が感じられます。
チェリーやプルーンなどを連想させる果実味だけでなく、フルボディならではの奥深い渋みや飲みごたえが実感できるワインです。

基本に忠実な品質の高いアマローネなので、ジビエや煮込み料理、ハードタイプのチーズなどとよく合います。初めて飲む方にもおすすめの逸品です。

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アマローネの飲み方と合う料理

ジビエ料理

アマローネの美味しい飲み方と相性の良い料理をご紹介します。
ワインと料理との相性がよい組合せを「マリアージュ」と言います。アマローネと相性が良い代表的な料理は次の3つです。

  • ジビエ料理やヴェネト州の郷土料理である馬肉料理
  • 煮込み料理(ビーフシチュー/牛ほほ肉の赤ワイン煮込みなど)
  • ハードチーズ(パルメザンチーズ/グラナ・パダーノチーズなど)

アマローネの美味しい飲み方

アマローネは重厚な深みのあるフルボディタイプの赤ワインです。フルボディとは赤ワインの味わいを表現する言葉で、口に含んだ時に感じるコクや味の重厚感の高いものを指します。
フルボディの赤ワインは、常温に近い温度帯で飲むことで苦みやコクの深さ、甘味を感じやすくなります。

したがってアマローネの美味しさを最大現に引き出すには、16℃~18度の温度帯でボルドー型のグラスで飲むのがおすすめです。

ボルドー型のワイングラスはチューリップ型とも言われ、縦長の大ぶりなグラスで、ワインを注ぐと香りがふんわりと立ち昇ります。口径のやや広めなボルドーグラスで飲んでみると、ゆっくりと満遍なく舌の上を流れるようにワインは広がり、ゆるやかに味覚を刺激しながら、濃厚な味わいを堪能することができます。タンニンがまろやかに感じられ、渋みと酸味、甘みなどのバランスが整って感じられます。

ジビエ料理・煮込み料理が合う

アマローネには、ジビエ料理や赤ワインを使った味の濃厚な煮込み料理がおすすめです。

ワインと料理のマリアージュの基本的な考え方の1つとして、ワインの産地と同じ場所の郷土料理を合わせるのがよいとされています。ヴェネト州では馬肉を使った郷土料理が多いため、馬肉やカテゴリーとしてジビエ(野生鳥獣)を使った料理が合います。

また、フルボディのワインにはビーフシチューや牛ほほ肉の赤ワイン煮などの、ワインを使った濃厚な煮込み料理も相性が良くおすすめです。

チーズならハードチーズがおすすめ

アマローネと相性の良いチーズとしてハードチーズがおすすめです。ハードチーズとは、製造工程で水分を抜いて硬めに造られたチーズを指します。

日本人には馴染みのある「パルメザンチーズ」もハードチーズの一種。
ヴェネト州ではハードチーズの生産が盛んです。なかでも、粉チーズに利用される「グラナ・パダーノ」や、イタリアで代表的なテーブルチーズ「アジアーゴ」はアマローネとの相性が良くおすすめです。

同じ産地で造られたアマローネとハードチーズでヴェネト州の味を味わってみてはいかがでしょうか。

まとめ

煮込み料理

イタリアワインの最高格付け「D.O.C.G」に認定されているアマローネ。その重厚な味わいは肉を使った煮込み系の料理と相性が良く、ホームパーティーや記念日などにおすすめのワインです。

製造方法にとても手間をかけているため、製造から市場へ出荷するまでに3年以上はかかる希少な銘柄となります。伝統を重んじ、丁寧に造られた重厚なワインをぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。