正しいワインの開け方は?失敗しないコツや困ったときの対処法を解説
ワインを手にする機会があった時、「ワインの正しい開け方を知りたい」「人前でも上手に開けられるようになりたい」と思ったことはないでしょうか。
コルクワインの開栓に苦手意識を持つ人は多いかもしれませんが、正しい開け方を身につければ難しいことではありません。
本記事では、ワイン栓や道具の種類、上手にワインを抜栓するために知っておくべきコツや、途中でコルクが割れてしまったときの対処法を紹介します。
目次
ワインを開ける前に
ワインを開ける前にボトルの栓の種類と必要な道具を紹介します。
ワインの栓は主にコルクとスクリューキャップがある
コルクはコルク樫という樹皮を縦にくり抜いて造られる天然素材です。
軽くて柔軟な天然素材で、ほんのわずかに空気を通しますが、液体をほぼ通さないためワインの栓として重宝されています。たとえカビが発生していても、飲む前に拭き取れば害はないというのが一般的な認識です。
一方、スクリューキャップは金属製で、一般的にはアルミニウムのキャップです。ペットボトルと同じねじ込み形式の蓋をイメージするとよいでしょう。
近年では、天然コルク以外にも、合成コルクやスクリューキャップなどのボトルもよく見られるようになりました。また、王冠のワインもあります。
スクリューキャップや王冠は、天然コルクと比較すると空気を通しやすいという特徴はありますが、天然コルクがごくまれに纏うコルク臭(ブショネ)の心配がありません。最近では、高級ワインでもスクリューキャップや王冠を採用する生産者が増えてきています。
開栓の準備
ワインの栓を開けるためには、道具が必要です。また開栓時や開栓後にあると便利なものも併せて紹介します。
- ワインオープナー、ソムリエナイフ※コルク栓のボトル時
- デキャンタ or グラス
- トーション
- ワインストッパー、バキュバン
まず、ワインを開栓するための道具「ワインオープナー、ソムリエナイフ」を準備します。複数人でワインをいただく場合は、抜栓後ワインを注ぐための「デキャンタ」または「ワイングラス」を手元に用意しておきましょう。
またワインを注ぐときは、布巾やおしぼりもあると便利です。ソムリエがサービス中に使用している布巾(ナプキン)を「トーション」と呼びます。抜栓したてのワインボトルの注ぎ口の汚れを拭く、ワインの注ぎ口にたまる余分なワインを拭うことで液垂れを防ぐ、瓶の露結を拭う、といったことに使用します。
ワインを残した場合は、ワインストッパーのような保存用のキャップとバキュバンというワインボトル内の空気を抜く道具があると便利です。コルクをボトル口に戻すよりも簡単で、酸化して味や香りが変化するのを防ぐことができます。
ワインオープナーの種類
ワインオープナーにはいくつか種類があります。安価で手に入るものも多いので、色々と試してみて自分が使いやすいと感じる道具を愛用するのがよいでしょう。
ダブルコルクスクリューは、瓶口にスクリューを正確にあてて刃をねじこみ、上部の金具部分を回転させることで開栓できます。
レバー式コルクスクリューは、真ん中を探し当ててコルクスクリューを回し入れ、上部にある両側のウィングを2本同時に引き下げるアイテムです。
T字コルクスクリューはコルクに刃を挿し、ねじが見えなくなるギリギリまで差し込んでから力を入れてまっすぐ引き上げるタイプのオープナーです。
ダブコルクスクリューとレバー式コルクスクリューは、引き抜く際に大きな力は不要な一方、T字コルクスクリューは比較的、力が必要となります。
コルク栓のワインの開け方
ワインオープナーにはいくつか種類がありますが、ここでは、定番のソムリエナイフを使った抜栓方法を紹介します。
ソムリエナイフのオープナーは、コルクのボトルワインを開けるための機能が全て揃っているアイテムです。難しいイメージがあるソムリエナイフですが、一度慣れてしまえば使いやすく安全で、上手に開けられます。
フックが2つあるダブルアクションタイプと、フックが1つのシングルアクションタイプの二種類があり、使い方はほぼ同じですが、初心者はダブルアクションタイプのほうが扱いやすいのでおすすめです。
1.キャップシールに切り込みを入れる
まずはソムリエナイフの刃を使い、ボトルネックの出っ張り部分に沿って半周切り込みを入れます。次に刃を持ち替えて、もう半周に切り込みを入れましょう。ボトル先端の膨らみの下部分に刃を一周させるイメージです。
2.キャップシールをはがす
切り込みを入れた部分の差し込みやすい場所にナイフの刃を差し込み、上に引き上げてキャップシール(フィルム)を剥がします。
このとき、フィルムを持ち上げるのではなく、さらに縦方向に切り込みを入れるイメージです。刃先に注意し、指に向かって力が入るような向きにならないようしましょう。
3.コルクにスクリューを差し込む
ボトル先端のフィルムを剥がすと、コルクが見えてきます。ソムリエナイフのスクリュー部分の先端をコルクへ垂直に差し込み、螺旋部分にさしかかったら、コルクに対してスクリューをまっすぐに立てましょう。
そのままスクリューを回転させながら、螺旋部分の終わりあたりまで差し込んでいきます。途中、スクリューがだんだん斜めに刺さっていくような感覚に陥るかもしれませんが、螺旋に沿って回転を繰り返しているからです。
無理に真っ直ぐにしようとやり直したりスクリューの向きを修正したりせず、そのまま最後まで差し込んでいきましょう。
4.フックをボトルの口にかけ、引き上げる
3〜4回転してスクリューの差し込みが完了したら、ボトルの瓶口にフックをかけ、テコの原理でコルクを真上に引き上げます。先ほどシングルアクションタイプとダブルアクションタイプの2タイプがあることを紹介しましたが、ダブルアクションタイプは名前の通り、引き上げるためのフックが2つあるので、比較的簡単です。
5.コルクを抜く
コルクが3分の2ほど顔を出したら、手でコルクをもち、上に引き抜きましょう。ダブルアクションタイプ、シングルアクションタイプともに、コルクを半分以上引き上げることができれば、そのあとは直接手でコルクを持って引き抜くことができます。
コルクのワインを開栓する際のコツ
ソムリエナイフを使ったワインの開け方を解説しましたが、初めて開ける際やコルクが古くなっている場合、うまく開栓できないこともあるかもしれません。そこで、ソムリエナイフでワインを開けるときの失敗しないコツや注意点を紹介します。
コルクの真ん中にまっすぐスクリューを刺す
スクリューを誤って刺してしまうと、途中でコルクが割れてしまい、取り返しがつかなくなることがあるので注意しましょう。
スクリューを斜めに刺しこんでスクリューの先端が瓶口に当たってしまったり、差し込みが浅いと引き抜く時にうまくいかなかったりすることがあります。
スクリューを刺す時は、先端の針を垂直にまっすぐ差し込み、螺旋部分に差しかかったら瓶底に対して垂直に立てて刺しこんでいきます。
針を斜めから刺すことはもちろん、螺旋部分で差し込む時になんとなく回しやすい方向に刺していくのはNGです。コルクによって傷つきやすいものもありますが、針部分と螺旋部分の扱いを練習し、適切なスクリュー刺し込みの感覚を身につけましょう。
テコの原理で引くときに人差し指を添える
コルクを引き抜く時、自分の体に向かってではなく、真上に向かって引き上げることも失敗しないコツです。
ソムリエナイフを使うと、コルクにひび割れができてしまうこともありますが、テコの原理で上に引き上げやすい構造になっています。とにかく思い切り引き、必要以上に力を入れるよりも瓶口を軸としてテコの原理で引き抜くイメージを持つと、大して力を入れなくとも綺麗に抜栓できます。
ポイントは人差し指をうまく使い、刃元や瓶口に添えることです。そうすることで、コルクに負担がかかるのを防げます。おもに親指、人差し指、中指の力の入れ方で、コルクやナイフ、自分の手への負担も変わります。慣れるまでは窮屈に感じても、指の位置を意識して力の正しい加え方を練習しましょう。
スパークリングワインの開け方
これまで解説してきたワインオープナーは、いずれも発砲性のないスティルワインに使われるアイテムです。発泡性のあるワイン、いわゆる炭酸が入っているものはスパークリングワインと呼ばれ、「シャンパン」もその一種です。
スパークリングワインは、炭酸ガスの気圧数で若干呼び方が異なりますが、手で力を入れてコルク栓を抜栓するタイプと、栓抜きを使用する王冠タイプがあります。ここでは、スパークリングワインの開け方とそのコツを紹介します。
1.キャップシールをはがす
まずは栓に被せてあるキャップシール(フィルム)を外します。多くのスパークリングワインには開けやすいように切り込みが入っているケースが多いです。
2.ワイヤーをはずす
キャップシールを剥がすと、瓶口から丸みを帯びたコルク栓が出っ張ってはまっており、その上からワイヤーが装着されています。
ワイヤーは軽く固定されていますが、手で回せるので、片手で瓶を押さえながら緩め、コルクから剥がしていきましょう。道具は不要ですが、ワイヤーで手を切らないように注意してください。
3.ボトルをゆっくり回して開ける
スパークリングワインは、思いっきり引き抜くと勢いよくコルクが飛ぶこともあり危険です。
人前や狭い空間では怪我をしてしまう可能性があるため、コルク栓を抜くときは、コルクの頭部分を親指でしっかりと押さえましょう。
ボトルの底をゆっくり回していくとボトル内のガス圧によってコルクが少しずつ上がってきます。
コルクの底が瓶口近くまで上がったら、コルクを少し傾けて瓶口とコルクの底に隙間を作り、「シュ」と音が鳴ったらコルク栓を抜きます。
また、開ける瞬間に大きな音が鳴ることもあるため、耳元での開栓も危険です。このような危険性があるため、本来はナプキン(トーション)を被せて開栓を行います。
スクリューキャップのワインの開け方
最近ポピュラーになりつつあるスクリューキャップのボトルワインの開け方も紹介します。
スクリューキャップは開栓がとても簡単で、特別な道具は要りません。保存時は、そのままスクリューキャップをしておくだけという優れものです。
ここでは、怪我なくスクリューキャップを抜栓できるよう、コツを踏まえて開け方を解説します。
1.スクリューキャップのミシン目の下部と瓶の下部をもつ
スクリューキャップは、初心者でも簡単に開けることができます。構造としてはペットボトルと同様ですが、ペットボトルと同じようにひねって開けてしまうと、鋼(スクリュー)の部分で気づかないうちに指が切れていたというケースも考えられます。
安全に開栓するため、まずは栓の切れ込みを目視で確認し、片手でスクリューキャップの切れ込みのすぐ下、もう片手で瓶の下部分を持ちましょう。そのまま両手をそれぞれ反対方向に回し合い、ミシン目の切れ込みをずらします。
2.瓶をゆっくり時計回りに回す
キャップとボトルの境目を持ち、もう片方の手でボトルの底を持ちます。
スクリューキャップを持った手は固定しておき、瓶底のほうにある手を時計回りに回します。このとき、スクリュー部分の切り込みに手がかかっていないか確認してください。手がかかっていると手が切れて怪我をしてしまう恐れがあるため注意しましょう。
3.「カチッ」と音がなったらキャップを回して外す
ミシン目が切れるような音が鳴れば開栓できます。
開栓途中でコルクが折れた、割れたときの対処法
ワインを開栓している最中に困るケースの多くが「途中でコルクが折れたとき」です。そのまま正しい開け方を続ければ続けるほど、コルクがボロボロになって取り返しが付かなくなってしまった経験はないでしょうか。
大切なワインを諦めるのはもったいないため、開栓途中でコルクが折れたときの対処法を覚えておきましょう。
斜めに刺してやり直す
開栓途中でコルクが折れていることに気付いたら、何もせず動作を中断します。そして、そっとスクリューの螺旋部分を引き抜き、形が一番残っているコルクの一部へ斜めにスクリューを差し込みます。
コルクが途中で折れてしまった原因にもよりますが、差し込み方が悪いなどの人為的なケースならやりなおしが可能です。しかし、コルクが古くなっている場合、湿気を帯びている木材同様、力を加えることでどんどん劣化してしまうこともあります。
コルクの状態を観察しながら、適切な力を加えて引き上げていき、半分ほどまで持ち上がったら手でゆっくり引き上げましょう。重要なのは、形が残っている部分を活用し、コルクがワインに入らないよう十分注意することです。
2枚羽のワインオープナーを使用する
2枚刃式コルク抜きといった種類のワイオープナーがあり、「はさみ型」「プロングタイプ」と呼ばれています。
スクリューがなく、2枚の刃を瓶口に差し込みコルクを挟み込んで引き抜くけるため、ダメージがあるコルクを抜きたいときにおすすめです。
ただし、この方法は天然コルクにしか使用できません。合成コルクに使用すると瓶口が割れてしまう可能性があり危険です。使用前には天然コルクかどうか確認してください。
まとめ
ワインの開栓は、道具の特質とボトルの相性を知っておくことで、簡単かつ上手に開けられるようになります。
上達の一番の近道は、トライ&エラーを繰り返すことです。本記事を通して正しいワインの開け方を覚え、スマートにワインを開けられるようにしましょう。