スタッドレスタイヤで高速道路の走行は可能?規制の種類や注意点を解説
雪が積もった道や凍結した道など、冬の運転に欠かせないスタッドレスタイヤ。スタッドレスタイヤを装着した状態であれば、基本的に問題なく冬の高速道路を走行できます。
しかし、規制がかかるとスタッドレスタイヤを装着していても高速道路を走行できなくなることがあります。
本記事では、スタッドレスタイヤで高速道路を走行する際に知っておきたい規制の内容や対処方法などをわかりやすく解説します。
目次
スタッドレスタイヤで高速道路は走行できる?
冬場の高速道路では「冬用タイヤ規制」「チェーン規制」「通行止め」といった規制がかかることがあります。ここでは、規制の種類やスタッドレスタイヤで走行が可能かどうかを見ていきましょう。
「冬用タイヤ規制」はスタッドレスタイヤでの走行が可能
冬用タイヤ規制は、スタッドレスタイヤをはじめとした冬用タイヤ、またはタイヤチェーンなどの滑り止め装置を装着しなければ走行できないという規制です。
つまり、タイヤチェーンを装着しなくてもスタッドレスタイヤを履いていれば、高速道路を走行できます。
なお、1年を通して使用が可能なオールシーズンタイヤの場合でも、タイヤにスノーフレークマークが刻印されていないもので走行すると、冬用タイヤ規制に違反しますので注意しましょう。
「チェーン規制」の場合はタイヤチェーンの装着が必要
大雪に対する緊急発表や大雪特別警報が出るほどの雪が降ると、チェーン規制が実施されることがあります。
チェーン規制が実施された場合、タイヤチェーンの装着が必要です。
チェーン規制中に通行できるタイヤチェーンは、自動車用品店などで販売されているものであれば問題ありません。ただし、特殊な液剤をタイヤに塗布するスプレータイプのチェーンをタイヤに吹きかけても、チェーン規制実施区間は走行できないので注意してください。
チェーン規制が出ると、対象区間の手前で検査員によるタイヤチェーンの装着状況の確認が行われます。検査員の指示にしたがい、タイヤチェーンを装着したうえで、規制区間を走行しましょう。
「通行止め」の区間は走行できない
あまりにも積雪量が多いと、一定の区間が通行止めになることがあります。
通行止めに指定された区間は、たとえタイヤチェーンを装着したとしても通行できないため、一般道に下りて迂回する必要があります。
高速道路を走行中にチェーン規制が出たときの対処方法
高速道路を走行中に天候や雪の状態などでチェーン規制が出たときは、最寄りのサービスエリアやパーキングエリアまで運転し、到着後にタイヤチェーンを装着しましょう。
また、高速道路に設けられたチェーン着脱所で取り付け作業をすることも可能です。
タイヤチェーンは、車の駆動輪に装着をするのが基本となります。たとえば、FF車(前輪駆動の車)は前輪に、FR車(後輪駆動の車)の場合は後輪に、タイヤチェーンを装着しましょう。駆動輪は、車検証などで確認できます。
車にタイヤチェーンを積んでいない場合は、最寄りのインターチェンジで高速道路を降りて一般道を走行することになります。
スタッドレスタイヤで高速道路を走るときの注意点
スタッドレスタイヤで高速道路を走行するときは、以下の点に注意が必要です。
- 必ずタイヤチェーンを携行する
- 安全な速度で走行する
- こまめに情報を得る
1つずつ解説します。
必ずタイヤチェーンを携行する
すべての車輪がスタッドレスタイヤであったとしても、チェーン規制実施区間はタイヤチェーンを装着しないと走行できません。
チェーン規制の対象区間は、国土交通省のホームページで公開されています。過去に雪による立ち往生または通行止めが起こった場所や、急な登り下りのある峠などが、チェーン規制の対象区間に指定されています。
高速道路を走行するときは、チェーン規制の対象区間を通過するかどうかを事前に確認することが大切です。
また、チェーン規制が実施されていなくても、積雪量が多い場合はタイヤチェーンを装着したほうが安全に走行できます。チェーン規制の対象となる区間や想定される積雪量が多い区間を走行する場合は、車にタイヤチェーンを積んでおくと安心です。
安全な速度で走行する
雪が積もった道路や凍結した道路は、通常の路面よりも滑りやすいため、スタッドレスタイヤを履いていたとしても安全な速度で運転しましょう。
車を発進させるときは、ローギアでゆっくりとアクセルを踏むことで、タイヤの空転を防ぎやすくなります。コーナーを曲がるときは、手前で十分に減速をしてから慎重にハンドルを切り、スリップやスピンをしないように努めることが大切です。
また、乾燥した道路や濡れた道路ではノーマルタイヤより制動距離が延びます。雨の日、雪解けや凍結から氷が溶けた道路をスタッドレスタイヤで走行するときは、ノーマルタイヤの装着時よりも安全運転を意識しましょう。
加えて、規制がかかることも想定し、時間にゆとりのある運転計画を練ることも、冬場の高速道路を安全に走行するうえでのポイントです。
こまめに情報を集める
冬の高速道路を運転するときは、さまざまな手段で情報を集め、道路の状況や天候の変化、規制の有無などを把握しましょう。
高速道路の走行中に必要な情報は、以下のようなツールで集められます。
- 情報板
- ハイウェイラジオ
- ハイウェイ情報ターミナル
情報板は、道路状況や気象状況などの情報が、高速道路を走行している人に迅速かつ的確に提供されるように設置されています。設置箇所は、インターチェンジやジャンクション、気象が急変する箇所、料金所などの手前です。
ハイウェイラジオは、AMラジオ放送(1620kHz)で道路交通情報を聞けるサービスです。発信されている情報は、5分ごとに更新されます。
ハイウェイ情報ターミナルは、サービスエリアやパーキングエリアに設置されています。目的地までの交通情報と所要時間が表示されているため、サービスエリアやパーキングエリアを利用する際は、ハイウェイ情報ターミナルを確認しておくと良いでしょう。
タイヤチェーンの種類や選び方
車に積んでおくチェーンは、どのように選べば良いのでしょうか。ここでは、タイヤチェーンの種類や選び方、事前に確認すべきことを解説します。
タイヤチェーンを選ぶ前に確認すべきこと
タイヤチェーンを選ぶ際は、まず車のタイヤサイズとクリアランスを確認しましょう。
タイヤサイズやクリアランスを調べずにタイヤチェーンを購入すると「取り付けができない」「大きすぎて使用できない」などの事態が発生してしまうかもしれません。
タイヤのサイズは、タイヤ側面(サイドウォール)を見るとわかります。たとえば、装着されているタイヤのサイドウォールに「195/65R15」と表記されている場合、幅やインチ数などは以下のとおりです。
- 195:タイヤ幅が195mm
- 65:タイヤの扁平率(断面の高さ)が65%
- R:タイヤの構造がラジアルタイヤ
- 15:タイヤのインチ数が15インチ
クリアランスは、タイヤホイールと車体の隙間のことです。ハンドルを切らないときと、ハンドルを切ったときのクリアランスを計測することで、乗っている車に合ったタイヤチェーンを選びやすくなります。
タイヤチェーンの種類
タイヤチェーンの種類は金属製、ゴムやウレタンといった素材でできた非金属製、布製があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
特徴 | |
金属製 | 〇良い点 ・凍結した道路や圧雪されていない雪道で高い性能を発揮する ・耐久性が高い 〇注意点 ・錆が発生しやすく、ホイールをキズづける可能性がある ・走行時の騒音や振動が大きい |
非金属製 | 〇良い点 ・金属製に比べて乗り心地が静か ・凍結した道路と雪道のどちらでも性能を発揮する 〇注意点 ・収納スペースを取るものが多い ・価格が比較的高い |
布製 | 〇良い点 ・手軽に取り付けられる ・クリアランスが狭い車でも装着しやすい 〇注意点 ・金属製や非金属製と比較して耐久性やグリップ力が劣る ・装着したまま長時間駐車すると凍結することがある |
金属製には、はしご形と亀甲型の2種類があります。はしご形は、前後のグリップ性能に優れており、坂道の走行も得意です。一方の亀甲型は、縦方向だけでなく横方向にもグリップ力を発揮します。
タイヤチェーンの種類によって価格や収納性、取り付けやすさなどが異なるため、それぞれの特徴をよく理解したうえで車にあったものを選ぶことが大切です。
タイヤチェーンの選び方
タイヤチェーンを選ぶときに比較すると良いポイントは、以下のとおりです。
- 取り付けの難易度
- 使用場所・使用頻度
- 収納性
タイヤチェーンの中には、車両の移動やジャッキアップ(車を持ち上げる作業)をすることなく取り付けできるものがあります。取り付けに慣れていない人や作業の負担を軽くしたい人は、取り付けやすさを優先して選ぶと良いでしょう。
また、装着して走行する場所や想定される装着回数を考えることも、タイヤチェーンを選ぶうえでは重要です。たとえば、雪の坂道を走行することが多いのなら、はしご型の金属製タイヤチェーンがおすすめです。
タイヤチェーンを使用する機会が多い人は、JASAA(日本自動車交通安全用品協会)の認定がある非金属製のタイヤチェーンを選ぶ方法があります。JASAAの認定があるチェーンは、600km以上の走行に耐えられる耐久性を持っているためです。
収納性を重視して、タイヤチェーンを選ぶのも有効です。車の収納スペースにあまり余裕がない場合は、コンパクトに収納できるものを中心に検討すると良いでしょう。
おすすめのタイヤチェーン3選
どのタイヤチェーンを選べばよいかわからない場合は、以下の商品を検討してはいかがでしょうか。
- レアマイスターアイスカバー(布製)
- ベリーガSTOP &GOSUV(金属)
- イエティスノーネット(非金属製)
それぞれの特徴やおすすめできる理由をご紹介します。
レアマイスターアイスカバー(布製)
レアマイスター アイスカバーは、かぶせるだけで簡単に装着ができる布製のタイヤチェーンです。走行音が静かであるため、装着後も引き続き会話や音楽を楽しめるでしょう。
表面には10mmのスパイクピンが取り付けられており、雪が積もった路面を強力にとらえるため、布製ながらも雪道で優れた走行性能を発揮します。
また、繊維素材を用いて製造されているため、軽量かつコンパクトに収納できます。取り付け作業の負担を軽減したい人だけでなく、走行時の騒音を抑えたい人や収納スペースをあまり取りたくない人にも幅広くおすすめできる商品です。
ベリーガSTOP&GO SUV(金属)
ベリーガSTOP&GO SUVは、ジャッキアップを利用することなく簡単に装着ができる金属製のタイヤチェーンです。
製品を車輪に巻き付け、フックを掛けてロックボタンを押すと、チェーンが自動で締め付けられるため、腕力に自信がない方でも簡単に取り付けることが可能です。
また、チェーン部分には炭素を浸透させて表面を硬化させる「浸炭焼入」という処理が施されているため、金属製ながらも優れた耐久性を持っています。チェーンの幅は約13mmと太く製造されており、耐久性だけでなくグリップ力と制動力にも優れています。
取り付けの作業負担を軽減しつつも、雪が降り積もる道でスリップするリスクをできるだけ抑えたい人は、ベリーガSTOP&GO SUVを検討してはいかがでしょうか。
イエティスノーネット(非金属製)
イエティスノーネットは、静かで快適な乗り心地ながらも高い安定性を実現したゴム製タイヤチェーンです。
タイヤの全周をカバーするラバーネットにより、装着後の車内で揺れを感じることはなく静かです。また、トレッド面には超硬スパイクピンがくまなく配置されており、雪道の走行で高い安定性を発揮します。
装着をする際は、本体を伸ばしてタイヤに被せ、ロックするのみです。装着後に徐走をすると自動で締め付けられるため、雪が降る過酷な状況でも確実に取り付けが可能です。
快適性を損なうことなく雪道を安全に走行したい方や、取り付け作業時のストレスを軽減したい方などにおすすめできるタイヤチェーンといえます。
まとめ
スタッドレスタイヤを装着すると、高速道路は基本的に走行は可能です。しかし、チェーン規制実施区間については、タイヤチェーンを装着しなければ走行できません。
また、通行止めとなっている区間は、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを装着していたとしても一切の通行ができず、一般道を走行する必要があります。
冬場の高速道路を走行する際、チェーン規制の対象区間や多くの積雪が想定される区間を走行するときはタイヤチェーンを携行しましょう。また安全な速度で走行し、情報版やハイウェイラジオなどで、こまめに情報収集をするのも冬場の高速道路を走行するときのポイントです。
※この記事は2022年11月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。