ワインにはどんな種類があるの?4種類のワインをわかりやすく解説
「ワインの種類」と聞かれた際、多くの方は赤ワインや白ワインを想像されるのではないでしょうか。
実際には、製造法や原材料の違いによって、さらに大きな種類分けがあります。
この記事では、ワインの種類について詳しく解説します。「これからもっとワインを知っていきたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ワインの種類は4種類
ワインとは、ブドウ果汁を発酵させて造られた醸造酒です。ワインの種類は、次の4つに大きく分けられます。
- スティルワイン:炭酸ガスを含まないワイン
- スパークリングワイン:炭酸ガスの入った発泡性のワイン
- フォーティファイドワイン:醸造過程でアルコールを加えたワイン
- フレーヴァードワイン:スティルワインに薬草や果実などを加えたワイン
それぞれの種類の中でも色や製法などによって、さらに細かく分類されます。
スティルワイン
スティルワインは、炭酸ガスを含まない非発泡性のワインです。
一般的に「ワイン」と呼ばれるものはこのカテゴリーとなり、わずかに炭酸ガスを含む微発泡性のものもスティルワインに含まれます。
使用するブドウ品種や作り方によって、赤・白・ロゼといったワインになります。
赤ワイン
赤ワインとは、濃い紫色や透き通ったルビー色など、赤い色のついたワイン全般を指します。
赤ワインには、果皮が黒から紫色となる「黒ブドウ」を主原料として使用。醸造時に果皮や種などすべて一緒に漬け込むことで、果皮に含まれるアントシアニン(果皮の色素成分)がワインに浸出して赤く色づきます。
果皮や種に含まれるタンニン(ポリフェノールの1種)も同様に染み出し、赤ワイン独特の渋み成分となります。タンニンが多いほど渋みとエキス分の強い濃厚な味わいとなり、長期熟成に向くワインになる傾向です。
白ワイン
白ワインは、薄く緑がかったものから黄色身を帯びているものなど、色合いが薄く透き通ったワイン全般を指します。
基本的に醸造には果皮を取り除いた果汁のみを使用するため、果皮の色がつきません。そのため白ブドウ(果皮が緑色のもの)だけではなく、黒ブドウの果汁からも白ワインが造られます。
造られるワインの味わいは、甘みをほとんど感じないものから蜂蜜のような濃厚な甘みを感じられるものまで幅広くなっています。
極甘口ワインなど一部の白ワインは長期熟成もできますが、タンニン分が赤ワインより少ないため早めに飲むタイプが中心です。
ロゼワイン
ロゼワインは薄いピンク色やバラ色をしている、透明度のあるワインです。原材料として黒ブドウを使うのが特徴で、その製法もさまざまです。
【主な製法】
- 直接圧搾法:黒ブドウをプレスして搾った、薄く色づいた果汁を使用して醸造する
- セニエ法:黒ブドウを果皮ごと潰して発酵させ、色がついた段階で液体のみ取り出して醸造する
- マセラシオン法:果汁の発酵開始後に黒ブドウを投入し、色がついた段階で圧搾し固形物を取り除いて発酵させる
最近では、白ブドウを赤ワインと同じように果皮ごと発酵させるワインもみられ、その色合いから「オレンジワイン」と呼ばれています。
スパークリングワイン
スパークリングワインは、3気圧以上の炭酸ガスが入った発泡性のワインです。
1気圧から3気圧未満のワインもスパークリングワインと同様のカテゴリーですが、区別するためにセミスパークリングワイン(弱発泡性ワイン)と呼ばれます。1気圧以下のものは微発泡ワインとなり、スパークリングワインではなくスティルワインに分類されます。
ガス圧が強いため使用される瓶は分厚く、圧力で栓が飛ばないよう瓶に針金で留められているのが特徴です。
辛口から甘口まで幅広い味わいのものが世界各地で造られ、造られる多くは白ですがロゼや赤のスパークリングワインもあります。
スパークリングワインの製法は、大きく次の4種類に分けられます。
- 瓶内二次発酵方式
- シャルマ方式
- トランスファー方式
- 炭酸ガス注入方式
それぞれの製法を詳しく見ていきましょう。
瓶内二次発酵
トラディショナル方式(伝統的方式・古典的方式)とも呼ばれ、できあがったワインに酵母と糖を加えて瓶詰めし、瓶内で二次発酵させて炭酸ガスを閉じ込める製法です。
瓶内二次発酵方式で造ったスパークリングワインは泡が長時間続き、きめ細やかな泡立ちになるのが特徴。
瓶内二次発酵方式は手間と時間がかかるため、高額となる商品が多く、フランスのシャンパーニュやスペインのカヴァなどで使われています。
シャンパーニュ地方ではシャンパーニュ方式とも呼び、この製法で造らなければシャンパーニュを名乗れないと決められています。
シャルマ方式
シャルマ方式は、密閉されたタンクで二次発酵まで進めてから瓶詰めする製法です。
イタリアのスプマンテなど、フレッシュさと果実味を生かしたスパークリングワインによく使われます。
造るのに手間が少なく、熟成が短期間で済むため大量生産に向いている製法です。一方で、瓶内二次発酵方式で造られたものと比べて、泡立ちがやや大きくガスが抜けやすくなっています。
トランスファー方式
トランスファー方式は、瓶内二次発酵したものを再度タンクに戻して、新たに瓶詰めする製法です。
ドイツのゼクトの一部などで使われており、瓶内二次発酵方式とシャルマ方式の中間的な位置づけになります。
いったん製品をタンクに戻すため、品質の均一化が図れる上に瓶内二次発酵方式で造られるものと近い味わいとなるのが特徴です。
炭酸ガス注入方式
発酵が終了したスティルワインに、液化した二酸化炭素を加えて造る製法が炭酸ガス注入方式です。炭酸ガスの注入は、タンク内に注入する方式と瓶内に注入する方式があります。
泡立ちが大きくすぐにガス抜けしてしまうのは難点ですが、大量生産でき品質も安定するので、手頃な価格のスパークリングワイン造りに向いています。
フォーティファイドワイン
フォーティファイドワインは酒精強化ワインとも呼ばれ、製造段階でブランデーやアルコールを添加して度数を高め、保存性を高めたワインです。
アルコールを加えると発酵が止まるため、早いタイミングで添加するとアルコール発酵していない糖分が多く残り甘口に、発酵後に添加すると辛口となります。
シェリー・ポートワイン・マデイラワインが「世界3大フォーティファイドワイン」と呼ばれており、その他さまざまな場所でも特徴的なフォーティファイドワインが造られています。
シェリー
スペイン・アンダルシア地方のヘレス地域で造られるフォーティファイドワインがシェリーです。
シェリーに使われるブドウ品種は「パロミノ」「ペドロ・ヒメネス」「モスカテル」のみに限られており、それらを使わないとシェリーを名乗れません。
シェリーはすべて単一品種で、辛口から甘口・極甘口まで造られています。ペドロ・ヒメネスとモスカテルは、甘口のシェリーのみに使われます。
「ソレラ・システム」と呼ばれる、新しいシェリーを古いものに少しずつ順番に継ぎ足して品質を安定させるといった、独特な製法で造られるのが特徴です。
ポートワイン
ポルトガルのドウロ地方で造られるフォーティファイドワインが、ポートワインです。
発酵途中に度数77%のブランデーを添加して造られます。造られるのは甘口の赤が多く、白・ロゼも少量ですが造られます。
長期熟成された商品もあり、褐色の「トゥニー・ポート」は赤のポートワインを10年から40年以上の長期にわたって樽熟成させたものです。
また作柄が良い年のみに造られる「ヴィンテージ・ポート」は、瓶での長期熟成に耐えられる高級ポートワインとなります。
マデイラワイン
太平洋上にあるポルトガルのマデイラ島のみで造られるフォーティファイドワインが、マデイラワインです。
ブランデーによる酒精強化後、熟成させる前に加熱させるという独特の製法で造られ、それにより焦がしたキャラメルのような風味となるのが特徴です。
品質が非常に安定しているため長期保存が可能で、100年以上も管理されているものもあります。
その他のフォーティファイドワイン
世界三大フォーティファイドワインのほかにも、著名なものがいくつかあります。
- マルサラ:イタリア・シチリア島で造られる。飲用だけではなく料理やデザート作りにもよく使われる
- マラガ:スペインのマラガ地方で造られる甘口のフォーティファイドワイン。
- ヴァン・ドゥー・ナチュレル(V.D.N.):フランスで造られる甘口の酒精強化ワイン。発酵中のワインにアルコールを添加する。
- ヴァン・ドゥー・リキュール(V.D.L.):フランスで造られる。まだ発酵させていないブドウ果汁にアルコールを添加して造られる。
フォーティファイドワインは、甘口は食後のデザート、辛口は食前酒として飲まれることが多かったのですが、近年ではあまりこだわりなく自由に飲まれることも多くなっています。
フレーヴァードワイン
スティルワインをベースとして、果汁やハーブなどを加えて造られるワインが、フレーヴァードワインです(アロマタイズドワインとも呼ばれる)。
加えるものによって独特な風味を持つワインとなるため、一概に飲みやすいワインであるとは言い切れません。
そのまま飲まれるものやカクテルベースになるものなど、さまざまな種類が見られます。
ヴェルモット(ベルモット)
ヴェルモットは、ニガヨモギを中心とした15~40種類程度のハーブを漬け込み、さらにスピリッツ(蒸留酒)を加えて造られたフレーヴァードワインです。
フランスやイタリアが主産地で、そのまま飲まれる以外にもカクテルや料理に使われます。
白ワインをベースとして造られますが、カラメルによる色づけや漬ける内容によって、赤や白などさまざまな色となります。
サングリア
赤ワインや白ワインにフルーツや果汁を漬けたものが、サングリアです。スペインやポルトガルでよく飲まれており、飲みやすいものが多くなっています。
家庭でも簡単に作れますが、作り置きすると酒税法に違反しますので、飲む直前に混ぜ込んで飲める量だけ作るようにしましょう。
その他のワイン
ワインは「ブドウ酒」とも呼ばれるとおり、ブドウを原料とした醸造酒です。とくにEUのワイン法では、ブドウ以外の原料で造られたものはワインと呼ばないと定義され、厳しく法整備されています。
しかし、さまざまな原料を使ってワインと同様に醸造させて造られるものも多くみられます。
ブドウ以外の原料で造られるものとしては、リンゴから作られる「シードル」、ハチミツから造られる「ミード」が代表的です。その他、モモ・キウイフルーツ・チェリーなどから造られる醸造酒も広く「フルーツワイン」として扱われています。
まとめ
ワインと一言でまとめても、その種類はさまざまです。
大きく分ければ次の4種類となります。
- スティルワイン:炭酸ガスを含まないワイン
- スパークリングワイン:炭酸ガスの入った発泡性のワイン
- フォーティファイドワイン:醸造過程でアルコールを加えたワイン
- フレーヴァードワイン:スティルワインに薬草や果実などを加えたワイン
それぞれのカテゴリーの中でも、色や産地、製法やブドウ品種など、さらに細かい種類分けができます。
まずは4種類の違いを理解することから始めて、細かい種類分けを徐々に知っていくことで、ワインの世界がさらに大きく広がります。知識を得ることで広がるワインの世界を、ぜひ楽しんでみてください。
※この記事は2023年1月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。