ワインのおいしい飲み方は?ワインの味を左右する温度やグラスを解説
外食時にワインを飲む際、大人のたしなみとしてスマートな振る舞いをしたいものです。しかし、「よく分からない」「ワインのマナーは難しいのでは」と思っている人もいるでしょう。
そこでこの記事では、ワインをおいしく飲むための温度やグラス、外食時のマナーを説明しています。
少しの知識を得ることで、これまでとは違った楽しみ方ができます。自宅で楽しむコツも説明していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ワインのおおまかな種類
ワインとは、ブドウを原料とした醸造酒です。ワインの種類は、大きく次の4つに分けられます。
- スティルワイン:炭酸ガスを含まないワイン
- スパークリングワイン:炭酸ガスの入った発泡性のワイン
- フォーティファイドワイン:醸造過程でアルコールを加えたワイン
- フレーヴァードワイン:スティルワインに薬草や果実などを加えたワイン
ここでは、日常的によく飲まれる、スティルワインの赤と白、スパークリングワインの3種類を詳しく解説します。
赤ワイン
赤ワインは、黒ブドウ(果皮が紫色のもの)を主原料として造られる、炭酸を含まない赤色のワインです。醸造時に果皮や種をすべて漬け込むことで、ワインに色がつきます。使用するブドウ品種や醸造法の違いにより、フルーティで軽やかなものからコクのある重厚なものまで、さまざまな赤ワインが造られます。
赤ワインは「ボディ」という表現で区別されるのが特徴です。フルーティで渋みが少なく、色合いも透明感のある薄い赤色の赤ワインは「ライトボディ」、渋みや果実味が強く、黒に近いような濃い赤色のものは「フルボディ」と呼ばれます。また、その中間くらいのものは「ミディアムボディ」です。
一般的にライトボディの赤ワインはアルコール度数が低く、フルボディになるほど高くなります。
白ワイン
白ワインは、薄い緑色のものから濃い黄色のものなど、色が薄く透き通ったワインです。果皮を取り除いた果汁から造られるため、ワインに果皮の色がつきません。そのため、果皮が緑色の白ブドウからだけではなく、黒ブドウからも造られます。
白ワインには赤ワインのような「ボディ」という表現はあまり使われず、味わいの違いによって「甘口」「辛口」と分類されるのが一般的です。
ワインに含まれる糖分の量と発酵の度合いで味わいが決まり、甘さをほとんど感じない辛口から、ハチミツのような極甘口までさまざまな種類があります。
ワインに含まれる糖分が発酵してアルコールになるため、残糖度の低い辛口のワインは甘口のワインよりアルコール度数が高めのものが多く見られます。
スパークリングワイン
炭酸ガスの入った、発泡性のあるワインがスパークリングワインです。色は白が多いですが、ロゼや赤のスパークリングワインもあります。
スパークリングワインの製法は、大きく次の4種類に分けられます。
- 瓶内二次発酵方式:ワインに酵母と糖を加えて瓶詰めし、瓶内で二次発酵させて炭酸ガスを閉じ込める製法。時間と手間はかかるが、きめ細かな泡立ちの製品となる。
- シャルマ方式:密閉タンクで二次発酵まで進め手炭酸ガスを閉じ込め、瓶詰めする製法。熟成期間が短く済むため、大量生産に向いている。
- トランスファー方式:瓶内二次発酵させたものをタンクに戻して、再度瓶詰めする方法。タンクに戻すことで品質の均一化が図れる。
- 炭酸ガス注入方式:スティルワインに炭酸ガスを加えて作る製法。大量生産できて品質も安定する。手頃な価格の製品が多い。
産地や製法によって、スパークリングワインの呼称が異なります。たとえば「シャンパン」は、フランスのシャンパーニュ地方で瓶内二次発酵方式によって造られたスパークリングワインです。
味わいは甘口から辛口まであり、醸造時に添加する糖分の量で決められます。
ワインをおいしく飲むための温度
ワインの種類によって、おいしく飲める温度が異なります。同じ種類の中でも、ボディや味わいのタイプによって温度を変えると、さらにおいしくいただけるでしょう。
基本的に、ワインは冷やしすぎると香りが弱まり、渋みと酸味が前に出てきます。また、温度が高すぎると甘みとアルコール分が強く感じられ、全体のバランスが悪くなります。それぞれのタイプに合った適温で飲むことが、ワインをおいしく楽しむコツです。
赤ワインの飲み頃温度
よく「赤ワインは室温で飲むとよい」といわれますが、12~18度程度が飲み頃温度なので、夏場や気温の高いときは少し冷やすくらいが適温となります。また、赤ワインはボディのタイプによって飲み頃の温度が変化します。
ライトボディの赤ワインは、12~14度くらいが適温です。少し冷やすことでフルーティさが際立ち、キリッとした味わいが楽しめるでしょう。
フルボディのワインは、16~18度と高めの温度が合います。冷やしすぎるとワインの持つ香りは立たず、渋みが増えて飲みにくくなります。適温で飲めば渋みが抑えられて、ワインの持つコクを感じられるようになるでしょう。
ミディアムボディはライトボディとフルボディの間、14~16度が適温です。ミディアムボディのワインには、渋みと果実味のバランスが取れているものが多いため、温度の上下で味わいの変化を楽しめます。
白ワインの飲み頃温度
白ワインは、甘口も辛口も基本的に冷やして飲みます。
甘口の白ワインは、温度が高くなると、甘みが前面に出てきてバランスが悪くなります。5~8度くらいにキリッと冷やすと、甘みと酸味のバランスが取れてさっぱりといただけるでしょう。
辛口の白ワインは、甘口よりも少し高めの温度がおすすめです。さらっとした爽やかなタイプの辛口ワインは6~10度、コクのある濃厚なものは10~14度くらいが適温となります。なお、ロゼワインも白ワインと同じ考え方で問題ありません。
ワインは、冷蔵庫に長期間入れると劣化が進みます。冷蔵庫に入れっぱなしにしないで、飲む直前に冷やすようにしましょう。
スパークリングワインの飲み頃温度
スパークリングワインも、白ワインと同様に冷やして飲むのが基本です。
甘口のものは4~6度、辛口のものは6~8度くらいを目安にすると、口当たりよくさっぱりとした味わいが楽しめます。なお、あまり温度が高いと、ワインに含まれる炭酸が早く抜けてしまいます。開けたボトルはワインクーラーで冷やすなど、できるだけ冷たい状態にしておくことが大切です。
ワインをおいしく飲むためのグラス
ワインの味わいは温度だけではなく、ワイングラスによっても大きく変わります。ワインのタイプに合ったグラスを選ぶと、これまでとは違った楽しみ方ができます。
ワイングラスの種類
ワイングラスには、主に次の種類があります。ワインのタイプにあわせて、グラスも選んでみるとよいでしょう。
【主なワイングラスの種類】
グラスの名前 | グラスの特徴 | 効果 |
ボルドー型 | 大ぶりで、口の部分がすぼまっている。見た目がチューリップに似ているため、チューリップ型と呼ばれることもある | 香りが柔らかくなり、タンニン(渋み成分)がまろやかになる |
ブルゴーニュ型 | 大ぶりで口がすぼまっており、ボルドー型よりも横に広くなっている | 香りがよく立ち、口が狭いので香りを閉じ込められる |
フルート型 | 縦方向に細長い | 炭酸の泡立ちが綺麗・炭酸が抜けにくい |
モンラッシェ型 | ボウルのように大きく、ブルゴーニュ型に比べて飲み口が広い | 香りがよく立つ |
万能型 | チューリップ型でボルドー型より小ぶり | どのワインにもよく合う |
赤ワインに合うグラスは
赤ワインには、ボルドー型かブルゴーニュ型がよく合うでしょう。
ボルドー型のグラスは、渋みがまろやかになる特徴を持ちます。フランス・ボルドー地方の格付けワインやイタリアのバローロなど、タンニンの強いフルボディの赤ワインがよく合います。
ブルゴーニュ型のグラスは、ボウルのように広がっているため、香りがよく立つのが特徴です。ブルゴーニュの赤ワインに代表される、香り高い赤ワインにぴったりです。
ライトボディでフレッシュな赤ワインであれば、万能型のグラスを使ってもよいでしょう。
白ワインに合うグラスは
白ワインに合うのは、万能型かモンラッシェ型です。
香りが強く濃厚な木樽熟成された白ワインは、香りをより楽しむためにボウルも飲み口も広がったモンラッシェ型を使うと、ワインの持つ特徴がより引き出されます。それ以外のほとんどの白ワインやロゼワインを飲む際には、万能型のグラスで問題ありません。
なお、極甘口のデザートワインを飲む場合、デザートワイン用の小さなグラスが使われることもあります。
スパークリングワインに合うグラスは
スパークリングワインには、フルート型のグラスがおすすめです。炭酸が抜けにくく、泡が立ち上がっていく様子もあわせて楽しめます。
また、パーティー会場では横に広いクープ型のグラスを使うこともあります。口が広い分香りをより楽しめますが、炭酸の抜けが早いのが欠点です。
最近では、ヴィンテージ・シャンパーニュや、プレスティージュ・シャンパーニュなどの高級スパークリングワインを飲む際に、香りと味わいを楽しむために卵型のグラスを使うことも増えてきました。
レストランでワインを飲むときのマナー
外食時にワインを飲む際、特別に気取って飲む必要はありません。しかし、最低限のマナーを知っておくことで、よりスマートにワインを楽しめます。
注いでもらうときにグラスは持たない
ワインが注がれる際、グラスは手に持たず、テーブルに置いておくのがマナーです。
ワインがなくなった場合、ソムリエのいるレストランではソムリエに声をかけて注いでもらうようにします。
カジュアルなレストランの場合では、男女同席の場合は男性が注ぐのがマナーです。いずれの場合も注いでもらう時にはグラスに手をかけず、テーブルに置いたままにしておきます。
なお、ワインを注ぐ際はグラスの3分の1から4分の1くらいが適量です。面倒だからといって、なみなみと注いでしまわないように気をつけましょう。
グラスをあわせて乾杯しない
ワインで乾杯する際には、グラスを合わせないようにします。
ワイングラスは繊細で薄いため、少しの衝撃で割れてしまう可能性があります。自分の目の前でグラスを少しあげて乾杯すると、見た目にもスマートです。
なお、ワイングラスの持ち方には、正式な決まりはありません。ステム(ワイングラスの脚の部分)を持つと、手の熱がワインに伝わりにくいのでおすすめです。「グラスが大きくてステムを持ちにくい」「立食でグラスを持ち歩く」といった場合には、ボウル(ワイングラスの本体)を持ってもマナー違反にはなりません。
ゆっくり味わって飲む
ワインはゆっくりと味わって飲むようにします。
ワインが少し飲みにくい場合は、スワリングすることで酸化が進み、渋みが抑えられて飲みやすくなります。
スワリングとは、グラスを回してワインを空気に触れさせる動作を指します。グラスの底部分を持ち、テーブルにおいたまま2~3回ゆっくりと回すとスマートです。
何十回もワインをくるくると回している人をたまに見かけますが、回す数を増やしてもあまり意味がない上に、見た目もあまりよくないのでやめておきましょう。
コース料理では、一皿ごとの料理にあわせてワインを提供されることがあります(ペアリング)。そのようなときは、ワインと料理の相性を楽しみながら、ゆったりとしたペースで飲むようにしましょう。
いくらおいしいからといっても、飲み過ぎないように注意が必要です。おかわりをすすめられた際に断ってもマナー違反になりませんので、無理して飲むことのないようにしましょう。
自宅でワインをおいしく飲むコツ
少し気をつけるだけで、自宅でもおいしくワインを飲めるようになります。ワインを自宅で楽しむためのコツを3点紹介します。
保管に気をつける
ワインを購入したら、冷暗所へ保存するようにしましょう。
高温や直射日光はワインの劣化を進めます。また、コルク栓のワインには乾燥もよくありません。できればワインセラーへ保管するとよいですが、なければできるだけ涼しく日の当たらない場所で保管します。
また、冷蔵庫に入れっぱなしもワインの劣化を進めます。ワインを冷やしたい場合は、飲む直前にしましょう。
空気に触れさせる
渋みの強い赤ワインや濃厚な白ワインは、空気に触れさせるとまろやかで飲みやすくなります。
若いフルボディの赤ワインの多くは、開けても香りがあまり立たず、強い渋みが前面に出るものです。また、樽香の強い白ワインも味わいが強すぎて飲みにくいケースがあります。
ワインを空気に触れさせて酸化を進めることで渋みがやわらぎ、ワインの持つ香りが立ってきます。
大きめのグラスに注いでスワリングするのがおすすめですが、赤ワインであればデキャンタージュ(デカンタに移し替える)するのもよいでしょう。
好きな料理と合わせる
料理に合わせると、ワインもよりおいしくなります。
ワインに合わせるには、飲むワインとよく似た色や香りの料理を選ぶと、マリアージュ(ワインと料理の相性がよいこと)しやすいでしょう。
たとえば、さっぱりした白ワインには酸味のきいた白身魚のマリネ、濃厚なフルボディの赤ワインには煮込みハンバーグなどが考えられます。
しかし、自宅なのでそれほどマリアージュには気を遣わず、好きな料理にあわせてみるのも楽しいものです。
料理とのマリアージュについてはこちらで詳しく紹介しています。
まとめ
ワインの飲み方で気をつけたいのは、飲用温度です。ワインの種類によっておいしく飲める温度が違います。自宅などで同じワインをさまざまな温度で飲んでみて、違いを見てみるのもよいでしょう。
また、グラスを変えればさらにおいしい飲み方ができます。まずは1つマイグラスを手に入れて、これまでと味わいの違いを楽しむのも面白いものです。
外食時には、マナーを守ってワインをたしなむとスマートです。必要以上に気にすることはありませんが、マナーを知っておくといざという際に困らないでしょう。
ぜひこの記事を参考に、自分に合ったワインの飲み方を研究してみてください。
※この記事は2022年3月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。