スタッドレスタイヤにすると燃費はどうなる?燃費を良くする方法も解説
スタッドレスタイヤは、雪が積もった道路や凍結した道路で滑ることなく安全に走行するために開発されたタイヤのことです。
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤは、材質や溝の深さなどが異なるため、車種やドライバーが同じでもどちらのタイヤを履いているかで燃費に違いが生じます。
本記事では、スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの燃費の違いや、スタッドレスタイヤを装着して走行するときに燃費を良くする方法などをわかりやすく解説します。
目次
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの燃費の違い
結論を言えば、スタッドレスタイヤよりもノーマルタイヤのほうが燃費は優れている傾向にあります。これは、ノーマルタイヤのほうが転がり抵抗が小さく、スタッドレスタイヤよりも少ないエネルギーで進めるためです。
スタッドレスタイヤは、凍った路面の凹凸に密着してグリップ力を高められるように、柔らかい素材のゴムが用いられています。また、雪や氷に覆われた路面をしっかりと掴むために、深く太い溝や細かな切り込み(サイプ)があります。
雪道や凍結路における制御のしやすさが優先されている分、スタッドレスタイヤの転がり抵抗はノーマルタイヤよりも大きくなるのです。
また、スタッドレスタイヤと比較して本体が軽量であることも、ノーマルタイヤの燃費が優れている理由の1つです。
制動距離にも違いがある
制動距離とは、ブレーキが作動してから実際に車が止まるまでの距離のことを言います。雪道や凍結路では、深くて太い溝や細かいサイプがあるスタッドレスタイヤのほうが、制動距離は短い傾向にあります。
一方で、乾いた路面や濡れた路面では、ノーマルタイヤのほうが制動距離は短くなります。スタッドレスタイヤの距離が伸びるのは、柔らかいゴムがブレーキの力に負けて溝が変形してしまうことが主な理由です。
冬の道路を安全に走るためにはスタッドレスタイヤが不可欠
スタッドレスタイヤは、雪や氷に覆われておりスリップの恐れがある冬場の道路を、安全に走行するために製造されています。
雪が積もった道路や凍結した道路を走行する場合は、燃費よりも安全に走行することを優先し、スタッドレスタイヤに交換をしておきましょう。
スタッドレスタイヤには、雪が降り始める前のタイミングで交換しておくのがおすすめです。また、雪の降るシーズンが終わったら必ずノーマルタイヤに戻しておきましょう。その理由を解説します。
スタッドレスタイヤへの交換は早めがおすすめ
ガソリン代を節約するために、雪が降る直前までスタッドレスタイヤへの交換を控えるのはおすすめできません。
新しいスタッドレスタイヤに交換する際は、タイヤが持つ性能を発揮させるために、慣らし走行が必要です。慣らし走行の推奨距離はタイヤメーカーによって異なりますが、一般的には100〜200km程度です。
慣らし走行を考慮すると、雪が降り始める1か月前をめどにスタッドレスタイヤへ交換をするのが望ましいといえます。
また、初雪が降り始める1か月前であれば、タイヤの在庫も豊富である可能性が高く、交換作業がスムーズに進みやすいでしょう。
雪が降り始める時季は、気象庁の「過去の気象データ検索」で検索できる「霜・雪・結氷の初終日の平均値」を参考に判断すると良いでしょう。自身で交換するタイミングを判断するのが難しい場合は、早めにタイヤ販売店に相談することをおすすめします。
夏場はスタッドレスタイヤを使用しない方が良い
スタッドレスタイヤは、乾燥した路面や濡れた路面の走行も想定して製造されていますが、夏場はノーマルタイヤに交換することをおすすめします。
夏場は、スタッドレスタイヤよりも燃費が優れているノーマルタイヤに交換をしたほうが、ガソリン代は安く済むでしょう。
また、夏場はノーマルタイヤのほうが、ブレーキを踏んだときに止まりやすいです。走る・曲がるといったその他の運動性能も、夏場はノーマルタイヤのほうが優れています。
雪が降るシーズンが終わったあともスタッドレスタイヤを履き続けるのではなく、夏場はノーマルタイヤに交換しておきましょう。
スタッドレスタイヤの燃費を向上させる方法
スタッドレスタイヤを履いていたとしても、以下の方法により燃費を向上させられる可能性があります。
- 燃費性能が優れたタイヤを選ぶ
- 空気圧を適切に調整する
- 急発進や急ブレーキを避ける
1つずつ解説していきます。
燃費性能が優れたタイヤを選ぶ
近年はタイヤメーカーの企業努力により、転がり抵抗の軽減や本体の軽量化などで優れた燃費性能を発揮するスタッドレスタイヤが増えています。
燃費性能が優れたスタッドレスタイヤに交換をすることで、燃費を抑えつつ、雪が積もった道や凍結した道を安全に走行できます。
スタッドレスタイヤを選ぶ際は、雪道や凍結路の走行性能だけでなく、燃費性能も比較すると良いでしょう。
空気圧を適切に調整する
空気圧が低下していると、タイヤの接地面積が増えて、転がり抵抗が大きくなってしまいます。そのため、タイヤの空気圧を適正に調整することが、車の燃費を維持する重要なポイントです。
また、タイヤを適正な空気圧にすることで「タイヤが部分的に摩耗する異常摩耗を防げる」「走行安定性が向上する」などの効果も得られます。
タイヤの空気は自然と抜けてしまうため、少なくとも月に1回は空気圧を点検しましょう。タイヤの適正空気圧は、車の運転席側のドア付近または給油口で確認できます。
タイヤの空気圧を点検したいときや空気を充填したいときは、タイヤ販売店やカー用品店、ガソリンスタンドなどに相談すると良いでしょう。タイヤの空気圧を点検できるエアゲージや、空気の充填機を設置したセルフスタンドを利用する方法もあります。
急発進や急ブレーキを避ける
ドライバーの運転次第で、燃費は大きく変わります。燃費を良くするためには、急発進や急ブレーキを避けて運転をすることが重要です。
発進するときはゆっくりとアクセルペダルを踏みこみましょう。AT車の場合は、ブレーキペダルから足を離すだけでゆっくりと進みだす「クリープ現象」を活用することが、燃費を良くするポイントです。
信号や曲がり角で停止するときは、早めにアクセルペダルから足を離して減速をすると、燃費が向上しやすいです。
また、急加速や急ブレーキ、急ハンドルを避けることで、雪道や凍結路で滑りにくくなります。安全運転を心がけることで、交通事故を防ぎやすくなるだけでなく燃費の改善も期待できます。
まとめ
燃費性能は、スタッドレスタイヤよりもノーマルタイヤのほうが優れています。一方でスタッドレスタイヤは、ノーマルタイヤよりも転がり抵抗が大きい分、雪が積もった道路や凍結した道路で優れた走行性能を発揮します。
スタッドレスタイヤを履いたときの燃費を向上させたい場合は、燃費性能が高い商品を選ぶと良いでしょう。また、空気圧を適正な値に調整し、急発進や急ブレーキを避けて運転することで、燃費をさらに良くすることができます。
冬に雪道や凍結路を走行する可能性があるのなら、タイヤ販売店やカー用品店にも相談のうえ早めにスタッドレスタイヤに交換しましょう。また、夏場はノーマルタイヤに戻すことで、燃費だけでなく車の操作性も向上します。
※この記事は2022年11月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。