タイヤからワイヤーが出ている!原因や応急処置・対処方法を解説

車に乗ろうとしたとき、タイヤから細いワイヤーのようなものが出ているのを見つけて、このまま走っても問題ないのか不安になった経験をしたことがある人もいるでしょう。
しかし、本当にワイヤーが出ているかどうかわからない人も多いのではないでしょうか。
本記事では画像を使ってワイヤーが出ている状態を紹介します。さらに、ワイヤーが出ているときの対処法や、ワイヤーが出る原因について解説します。
そのほか、自分でできるタイヤのワイヤー露出防止策についても見ていきましょう。
目次
タイヤからワイヤーが出ている状態とは?
タイヤからワイヤーが出ている状態とは、どのような状態なのか写真をもとに見ていきましょう。
上の写真を見ると、タイヤから白い繊維状のものが出ていることがわかります。タイヤの種類によるものの、表面からゴム製のトレッド、スチールコードのベルト、化学繊維のカーカス、ゴム製のインナーライナーとなっています。
タイヤ構造にある化学繊維のカーカスが白い繊維状のものであり、写真ではタイヤのゴム部分が摩耗して、タイヤの内部構造であるワイヤーがむき出しの状態になっているのです。
なお、製品によってはベルトの上に補強帯としてカーカスが組み込まれていることがあります。
タイヤの中でもワイヤーが出やすい箇所として挙げられるのがショルダー部分です。左右いずれかのショルダー部分、または両側が摩耗してワイヤーが出るケースが多いです。
タイヤの構造とワイヤーの役割
タイヤには主にラジアル構造とバイアス構造の2種類の構造があります。
ラジアル構造のタイヤは、ベルトとカーカスがラジアル状(放射線状)に配置され、スチール製のベルトで締め付けられています。
一方、バイアス構造のタイヤはカーカスがバイアス状(斜線状)に配置されており、カーカスの形状が変わらないように複数のカーカスが逆方向に重ねられた構造です。
タイヤにベルトとカーカスが組み込まれていることで、タイヤの形状を維持することができ、高い強度を保つことが可能です。カーカスは、走行中の振動や衝撃、車両の荷重に耐えられるように設計されていて、タイヤの性能や耐久性を大きく左右する重要な構造のひとつといえるでしょう。
タイヤの詳しい構造については以下で解説しています。
タイヤの種類はどれだけある?タイヤを正しく選ぶ7つの基準を紹介
タイヤからワイヤーが出る原因

なぜタイヤからワイヤーが出てしまうのでしょうか。ここでは、タイヤからワイヤーが露出してしまう原因について詳しく紹介します。
トレッド面のワイヤー露出は摩耗・偏摩耗が原因
タイヤのトレッド面(路面と接地する面)にワイヤーが露出するのは、タイヤの摩耗や偏摩耗が主な原因です。
タイヤのトレッド面は路面との摩擦によって摩耗していきます。タイヤのスリップサインが出た状態で、さらにタイヤを使用した場合、摩耗限界を超えて内部のワイヤーが露出することがあります。
また、タイヤのトレッド面は均一に摩耗しないケースも珍しくありません。タイヤの取り付け状態や、アライメントによっては、偏摩耗というタイヤのトレッド面の一部分やショルダー部分が極端に摩耗することがあります。
偏摩耗が発生するということは、タイヤの一部分に負荷がかかっている状態であり、その部分の摩耗スピードが早まることからワイヤーが出る可能性があります。
タイヤのサイドウォール(側面)のワイヤー露出は空気圧不足や外部からの損傷が原因
タイヤのサイドウォール(側面)からワイヤーが出ている場合は、空気圧不足や外部からの損傷が原因として考えられます。
タイヤのサイドウォールはトレッド面やショルダー部分よりも柔らかく設計されており、空気圧の影響を受けやすい箇所です。空気圧不足のまま走行すると、タイヤのサイドウォールが大きく変形して、カーカスが損傷しやすくなり、ワイヤーが出ることがあります。
また、縁石などにタイヤが接触して、表面のゴム部分が削り取られてワイヤーが露出してしまうケースもあるでしょう。そのほか、砂利道などの悪路を走行して、タイヤが傷ついて、ワイヤーが出てくることもあります。
タイヤからワイヤーが露出している危険性

タイヤからワイヤーが露出する原因がわかったものの、そもそもワイヤーが出ている状態で走行できるのか疑問に思う人もいるでしょう。
ここでは、タイヤからワイヤーが露出していることの危険性として、「バーストのリスク」「走行性能の低下」「燃費の悪化」について詳しく解説します。
バーストのリスク
ワイヤーはタイヤの骨格部分であり、タイヤの形状を維持したり、強度を確保するための非常に重要な役割を担っています。しかし、タイヤからワイヤーが露出すると、ワイヤーが外気に触れてしまって、湿気や雨などの影響で錆びが発生する可能性があります。
一度ワイヤーが錆びると、タイヤ内部まで錆びが浸食してしまって、強度が弱まってしまう危険性があります。
そのような状態で車を走行させると、走行時の振動や衝撃に耐えきれず、タイヤがバーストしてしまう可能性も少なくありません。また、走行時だけでなく、停車中であっても、車両の重量に耐えきれずにタイヤが破裂してしまうケースもあります。
そのため、タイヤからワイヤーが出ている場合は、車を運転せずに早急にカー用品店やタイヤ専門店に相談しましょう。
走行性能の低下
タイヤからワイヤーが出ているときは、走行性能に影響を及ぼす可能性があります。
タイヤからワイヤーが露出しているということは、タイヤのゴム部分の摩耗限界を超えていて、タイヤの寿命を通り越していることを意味しています。
タイヤに十分な溝がない状態であり、タイヤ本来の性能を発揮できない状態ともいえるでしょう。とくに雨の日はスリップしたり、ハイドロプレーニング現象が起きたりするリスクが高まります。
また、ドライ路面であっても、タイヤのグリップ力が低下していることから、制動距離が伸びたり、カーブの途中でスリップしたりする可能性があります。
燃費の悪化
タイヤからワイヤーが露出している状態は、タイヤの溝がなくなっているということです。タイヤから溝がなくなると、路面との接地面積が増えて、転がり抵抗が増し、燃費が悪くなることがあります。
タイヤ本来の性能を発揮できないので、グリップ力の低下だけでなく、燃費性能にも影響するので、早急に対応することをおすすめします。
ワイヤーが出ている場合、どれくらいの距離を走行できる?
タイヤからワイヤーが出ていても、パンクしているわけではないので少しであれば走行しても問題ないと考える人もいるでしょう。
結論からいうと、タイヤからワイヤーが出ていることを発見したら、車を走らせてはいけません。ワイヤーが露出しているということは、タイヤがいつ破裂してもおかしくない状況です。
車検にも通らず、安全に走行できない状態なので、絶対に運転してはいけません。また、外出中にワイヤーが出ていることを見つけたときは、運転するのをやめて、ロードサービスを呼びましょう。
もしくは、スペアタイヤを積載している場合は、ひとまずスペアタイヤに交換して、最寄りのカー用品店やタイヤ専門店に行き、タイヤ交換の相談をしましょう。
ワイヤーが出ているタイヤの応急処置・対処方法
タイヤからワイヤーが出ているのを見つけたものの、近くにカー用品店やタイヤ専門店がなく、どうすればいいかわからない人もいるでしょう。
ここでは、ワイヤーが出ている際のタイヤの応急措置や対処法について紹介します。
スペアタイヤへの交換
車にスペアタイヤが積まれている場合は、車載工具を使ってスペアタイヤに交換します。スペアタイヤを装着すれば一定の距離を走行できるようになるので、最寄りのカー用品店やディーラー、タイヤ専門店まで移動し、タイヤ交換をしてもらいましょう。
ただし、昨今の車はスペアタイヤの代わりにパンク修理キットが車載されているケースが多いです。パンク修理キットではワイヤーが出ているタイヤの応急措置ができないので、次の方法を利用してください。
ロードサービスの利用
スペアタイヤがない場合や、パンク修理キットしかない場合は、ロードサービスに連絡してレッカーを手配してもらいましょう。また、スペアタイヤがあったとしても、安全に交換できるような場所が近くにない場合は、ロードサービスに相談することをおすすめします。
スペアタイヤが車載されている場合は、ロードサービスのスタッフが自分の代わりにスペアタイヤに交換してくれることがあります。スペアタイヤがない場合やスペアタイヤの状態が悪い場合は、レッカーにて指定の整備工場などまで牽引してもらえるのが一般的です。
タイヤからワイヤーを露出させないために
タイヤからワイヤーが露出してしまったら、応急措置はできないため新しいタイヤに交換するしか方法はありません。ワイヤーが出た状態で走行すると、バーストのリスクが高まり非常に危険です。
タイヤ交換には交換費用がかかってしまうことから、できるだけタイヤを長持ちさせたいと思う人がほとんどでしょう。
ここでは、タイヤを長持ちさせてワイヤーを露出させないために日頃からできるおすすめの方法を3つ紹介します。
空気圧の定期確認
ワイヤーが露出する原因のひとつであるのが偏摩耗です。偏摩耗はアライメントが狂っていたり、適正空気圧を維持できていなかったりする場合に発生することが多いです。
偏摩耗を防ぐためにも日頃から空気圧を確認して、適正空気圧を保ちましょう。空気圧は走行中に変化したり、気温などによっても変わったりします。そのため、少なくとも、1か月に1回の頻度で点検することをおすすめします。
タイヤのローテーション
乗用車にはタイヤが4つ付いていますが、すべてのタイヤが均一に摩耗するわけではありません。たとえば、前輪が駆動輪となるFF車は、リアタイヤと比べるとフロントタイヤの摩耗スピードが早いです。
4本のタイヤが均一に摩耗するように、定期的にタイヤをローテーションすることが大切です。ローテーションの頻度は約5,000kmの1回が目安となります。たとえば、FF車の場合、5,000kmごとに、フロントタイヤとリアタイヤを入れ替えるのが正しい方法です。
タイヤのローテーションについては、カー用品店やタイヤ専門店などでおこなってくれます。もちろん、タイヤ交換の経験がある人は、DIYでおこなってもいいでしょう。
ただし、車種によっては前後のタイヤサイズが異なる場合があります。そういった場合はローテーションできないので注意が必要です。
定期的な目視点検
定期的に目視でタイヤの状態や摩耗度合いを確認するのも、タイヤを長持ちさせてワイヤーを露出させない方法のひとつです。
車を運転する前に、ひび割れがないか、偏摩耗していないかなどを確認しましょう。万一、タイヤに異常が確認できたら、すぐにカー用品店やディーラー、タイヤ専門店にタイヤを点検してもらい、交換が必要かどうか判断してもらうことが大切です。
自分では問題ないと思っていても、プロから見るとタイヤの寿命が来ているといったケースも少なくありません。そのため、異常を感じたら、すぐにプロに相談することが大切です。
タイヤからワイヤーが出たらタイヤ交換が必要
タイヤからワイヤーが出ている状態は、タイヤのゴム部分の摩耗限界を超えて内部構造のひとつであるカーカスが露出している状態です。空気圧不足によって偏摩耗がおき、タイヤの一部分のみが著しく摩耗してワイヤーが出ることがあります。
ワイヤーが出た状態で放置していると、バーストする危険性があります。そのため、タイヤからワイヤーが出ている場合は早急に新しいタイヤに交換することが大切です。
フジ・コーポレーションでは、さまざまなメーカーのタイヤを揃えています。タイヤの状態が気になる方や、新しいタイヤへの交換を検討している方はぜひ、フジ・コーポレーションにご相談ください。
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※この記事は2025年1月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。