タイヤの選び方を押さえよう!種類・車種別
タイヤは車の快適な走行をするために必要なパーツです。現在のタイヤはさまざまな用途や種類に適した設計を取り入れたものが多く、乗り心地や走行性能を高める上でも欠かせません。
しかし種類が豊富になり、どれを選べばよいか迷ってしまうこともあります。そんなときはタイヤが持つ特性を理解すると、自分にあったタイヤの選び方がわかります。
この記事ではタイヤの基礎知識や種類などを紹介するとともに、タイヤの選び方を解説していきます。
目次
タイヤの基礎知識
車に装着されているタイヤは消耗品です。そのため本来の性能が発揮できる寿命や時期があり、適切なタイミングに交換する必要があります。
タイヤの寿命
タイヤは走行時に摩耗して磨り減っていくことで消耗します。摩耗によりタイヤのトレッド面に刻まれた溝が浅くなっていくため、雨天時の排水能力低下を起こし、性能が失われます。
新品時のタイヤの溝の深さは約8mmほどです。「道路運送車両法の保安基準第9条」によって車の溝の深さは1.6mm以上とされています。そのため、1.6mmを下回ると、「制御装置等の整備不良」となり車検にとおりません。また、公道を走ってしまうと道路交通法違反となり反則金9000円と点数が2点累積(加算)します。
タイヤの排水能力が著しく減少するのは4mm以下となったタイミングからで、おおよそ50%程度摩耗した時です。これはスタッドレスタイヤにあるプラットフォーム露出のタイミングとほぼ同じになります。
整備不良とはならないまでも、雨天の高速道路ではハイドロプレーニング現象よる事故のリスクが高まるので、残り溝4mm以下となったタイヤは交換をおすすめします。また、製造から5年以上経過したり、ひび割れや偏摩耗したりしているタイヤも点検してもらい、必要に応じて交換が必要です。
タイヤの交換時期
寿命を迎えたタイヤはなるべく早く交換が必要です。スタッドレスタイヤであれば、初雪が降る前に履き替えておくのが良いでしょう。
特に新品のスタッドレスタイヤは、タイヤの表皮を削ることで本来の性能が発揮できるようになるため、早めに装着して慣らし運転を終えておくのがベストです。
タイヤの選び方
各種メーカーからさまざまな種類のタイヤが販売されていますが、車に適合する大きさやタイヤに求める性能などの違いによって、タイヤの選び方が変わります。タイヤの選び方を詳しく解説します。
タイヤサイズは新車で取り付けらているタイヤを基準にする
タイヤのサイズは新車で取り付けられているタイヤが基準になります。車種によってホイールサイズから異なる複数のタイヤが選択可能ですが、これらは車両との干渉が無く、タイヤの外形が同じで、スピードメーターに狂いが生じない組み合わせになっています。
どのタイヤが適合するのかを判断するのにわかりやすいのが、運転席ドア部にあるタイヤ空気圧のステッカーです。ここにはメーカー指定のタイヤサイズごとに空気圧の記載があるので、これを基準にタイヤサイズがわかります。また取扱説明書にも同様の記載があります。
一方で自動車メーカーが指定していないサイズのホイールとタイヤを装着する場合には、ホイールとタイヤメーカーの車種別適合表を確認しながら選びます。この場合は、空気圧も自動車メーカー指定の圧力とは異なる数値になることにも注意が必要です。
車に求める性能や走行目的を考える
タイヤは車の走行性能を左右するパーツであり、車種によってその走行する目的やスタイルも変わってきます。
たとえば、街乗り中心であれば燃費性能や静粛性に優れたタイヤ、アウトドアで未舗装路を走るのであればオフロード向けのタイヤ、冬の雪道ならスタッドレスタイヤなどが挙げられます。
また、夏タイヤは、クッション性があって柔らかい乗り心地と、コーナリング時の安定感などの違いから考え、自分の好みに合うタイヤを選ぶのがおすすめです。
車種に合ったタイヤを選ぶ
タイヤは同一のゴム素材で作られているわけではなく、目的や車種によって素材の配合比率が変えられています。
近年では、タイヤの高速回転に合わせて耐摩耗性を向上させた軽自動車向け、車両重量に耐えられられるミニバン向け、オンロードとオフロード両方の走行を可能にしたSUV向けなどの専用設計のタイヤが登場しており、よりその車種の特性に合ったタイヤを装着できます。
インチアップするかどうか考える
ホイールのインチアップ・インチダウン、およびそれにともなう偏平率の変更もタイヤ選びのポイントです。
インチアップによる低偏平率化は見た目のドレスアップ効果が高く、タイヤ幅を広げる事で接地面が横方向に伸びて接地面積が増えます。これにより主に横方向に対してのグリップ力が強くなりコーナリング時の操縦安定性とブレーキング性能が向上します。その反面、サイドウォールが薄くなることでクッション性が低下し、路面の凹凸による衝撃やロードノイズを感じやすくなります。
一方のインチダウンによる高偏平化は、サイドウォールの厚みが増すことでクッション性が良くなるのが特徴です。振動やロードノイズが少なく、乗り心地が良くなります。一方で、クッション性が増すことでステアリング操作に対してのレスポンスが下がるため、スポーツ走行にはあまり向いていないと言えます。
予算を考える
タイヤは同じサイズでも、メーカーやブランドによって価格が異なり、購入したタイヤを交換するための工賃も発生します。タイヤサイズや装着する車のセッティングによっては作業難易度が変わるため、割増料金となっていることもあります。
ただし、価格の安さだけを求めてしまうと本来想定していた走行性能が得られず、耐摩耗性が低いタイヤの場合なら交換頻度が高くなるなど、逆にコストパフォーマンスが悪化してしまいます。
タイヤは消耗品で、数年にわたって使い続けるパーツなので、中長期的に見て予算と性能バランスの良い物を選ぶようにしましょう。また、1本だけで購入するよりも、4本セットで購入したほうが割安となることもあります。
性能や目的別のタイヤの選び方
次に各性能に特化したタイヤの紹介と選び方について解説します。
グリップ性能なら「スポーツタイヤ」
サーキットなどでの競技シーンで使用されることが多いタイヤ。多くはスポーツカー向けモデルですが、一般道でもその高いグリップ性能による安定感ある走りをしたいという要望もあり、現在ではさまざまな車種向けのスポーツタイヤが販売されています。
ミシュラン パイロットスポーツ4S
サーキットでの使用も考慮されたスポーツタイヤです。
内側と外側で異なるコンパウンド配合となる「バイ・コンパウンド・テクノロジー」を採用しています。ドライ路面ではタイヤの外側で強いグリップ力を発揮し、ウェット路面ではタイヤの内側でグリップ力を発揮します。
サイズも幅広く用意されており、スポーツカーだけでなく、セダンやワゴン車にも対応可能です。
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静粛性なら「コンフォートタイヤ」
スポーツタイヤとは対照的に、タイヤによるクッション性と、ロードノイズの低下による乗り心地を重視したタイプです。こちらは高級車向けのタイヤですが、現在ではさまざまな車種で、コンフォートタイヤがラインナップされています。
ブリヂストン レグノ GR-VⅡ
ブリヂストンのコンフォートタイヤ「レグノ」シリーズのミニバン向け仕様です。
騒音を低減させつつ、ミニバン特有のふらつき感を低減させる剛性も持ちあわせており、ミニバンの後部座席にかけて快適な車内空間を提供してくれます。
また、低燃費性能、ウェット性能も高いのが特徴です。
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燃費向上なら「低燃費タイヤ(エコタイヤ)」
燃費性能を重視したタイヤです。少ない力で転がり続けるように、転がる際の変形によって発生する熱エネルギーの発生を抑える工夫がされ、タイヤとしての寿命が長くなったのも特徴です。
ヨコハマ ブルーアースGT AE51
ヨコハマタイヤの低燃費タイヤ(エコタイヤ)です。軽自動車やコンパクトカー、セダン向けのラインナップが用意されています。
タイヤの内側と外側で異なるトレッドパターンを採用しており、タイヤの内側で乗り心地、タイヤの外側で操縦安定性を確保しています。レーンチェンジ時でもふらつきが少ないのも特徴です。
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履き替えの手間を省きたいなら「オールシーズンタイヤ」
オールシーズンタイヤは夏冬を兼用できる全季節型タイヤです。トレッド面の一部に冬タイヤ同様のサイプが施されており、降雪量の少ない雪道であれば冬タイヤ規制下でも走行が可能です。
一方で凍結路面では十分なグリップ力が得られないため走行できません。また全車チェーン規制については冬タイヤであってもチェーン装着が必要となります。
ダンロップ オールシーズンMAXX AS1
ダンロップのオールシーズンタイヤです。
深めの主溝と、サイプが施されたブロックを持ったトレッドパターンを採用しています。専用設計のコンパウンドにより、夏と冬の両方に対応可能です。また、ウェット路面では主溝の深さによる高い排水性があり、ウェット路面での高いブレーキ性能も実現しています。
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万が一の事態に強い「ランフラットタイヤ」「シーリングタイヤ」
走行中は路面の突起物によるパンクのリスクが常にあります。「ランフラットタイヤ」と「シーリングタイヤ」はパンクのリスクに対応したタイヤです。
ランフラットタイヤはサイドウォール部に補強材となる硬いゴムを採用しています。これによりパンクによって、空気圧を失っても硬いゴムが支えになり、タイヤの形状を維持し、時速80キロで80キロの距離を走行可能です。ただし、サイドウォール部が硬いゴムで補強されているため、乗り心地も硬くなる傾向にあります。
シーリングタイヤはトレッド面内側に穴を塞ぐシーリング材が塗布されています。突起物で穴ができても、シーリング材がその穴を塞いで修復し、走行の継続が可能です。ただし、シーリング材が塗布されているのは地面と接地するトレッド面だけなので、それ以外の部分にできた穴に対しては効果がありません。
PIRELLI P-ZERO RFT
スポーティーな走りも可能なピレリのランフラットタイヤです。
左右非対称トレッドにより、ウェット路面でも優れた制動性を発揮します。サイドウォール部が補強材の入ったランフラット仕様になっているため、高い剛性によってパンク時でも走行を可能としています。
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コンチネンタル ウルトラコンタクトUC6 コンチシール
ドイツのコンチネンタル社製のコンフォートタイヤです。
左右非対称パターンを採用しており、内側と外側で異なるグリップ性能を持たせています。UC6シリーズの内16~18インチの一部サイズで、トレッド面の穴を自動修復するシーリング材を塗布した「コンチシール」のラインナップがあります。
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タイヤの購入先
最後にタイヤの購入先について紹介します。
タイヤ専門店
タイヤ専門店は、扱うメーカーの種類も豊富で、店員のタイヤに関する知識量も豊富なため、タイヤに関する相談がしやすいのが特徴です。
また、タイヤに特化しているショップなので、確保している在庫の量も多く、さまざまな要望のタイヤが揃えられています。
カー用品店
タイヤを始めとしたカー用品を扱うショップです。タイヤに特化しているわけではありませんが、タイヤは主力商品の1つのため、取扱数や在庫数は多い傾向にあります。
また、タイヤ以外のパーツも扱っているので、タイヤ交換以外の作業も同時に依頼できます。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンド内の整備ピットでもタイヤ交換が可能です。ただし、ガソリンスタンドで確保している在庫数には限りがあるので、事前予約や取り寄せに時間がかかる場合があります。
ディーラー
ディーラーの整備工場に依頼をする場合です。こちらもガソリンスタンド同様に保有している在庫数に限りがあるため、事前予約や取り寄せに時間がかかる場合があります。
ただし車全般の相談に対応できるのも強みで、カー用品店などでは難しい重整備なども受け付けてくれます。
オンラインショップ
タイヤ専門店もしくはカー用品店がオンライン上で販売しています。自宅に配送してもらうだけでなく、取り付けしてくれる店舗への配送や案内などを行っているオンラインショップもあります。
フジ・コーポレーションでは実店舗だけでなくオンラインショップでの販売も行っております。また、ご自宅への配送の他、実店舗や協力店舗での取り付けに対応しています。
まとめ
タイヤには目的に合わせた種類やセッティングがあり、選択の自由度が高いパーツです。しかし正しいタイヤの選び方でなければ、理想とする走行性能が得られません。
走行性能で何を重視すべきかを明確にし、本記事を参考に自分に合ったタイヤを選んでみましょう。判断に迷った際にはタイヤ交換を依頼する店舗スタッフに相談しながら決めるのがおすすめです。
※この記事は2023年4月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。