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タイヤのサイドウォールとは?トラブル事例や損傷を防ぐ対策法を解説

2023.08.31

安全に車を運転できるように、定期的にタイヤの点検やメンテナンスをおこなうことが大切です。中でもタイヤのサイドウォールは、タイヤの性能に大きくかかわる部分であり、特に注意して点検したいところです。

とはいえ、具体的にサイドウォールとはどういったものなのか、どういう役割があるのかわからない人も多いでしょう。そこで、タイヤのサイドウォールとは何かに加え、トラブル事例や損傷の対処法を解説します。

タイヤのサイドウォールとは

Fragment of white modern car with wheel on steel disc, closeup photo

タイヤのサイドウォールとは、車を横から見たときに見える部分であり、メーカーや銘柄のほか、製造時期やタイヤサイズ、偏平率や速度記号などの情報が刻印されています。そのため、タイヤのサイドウォールを見るだけで、基本的なタイヤの情報がわかります。

タイヤのサイドウォールは、ショルダーとホイールとタイヤが合わさるビードのあいだの層であり、走行する際に最も屈曲が大きいところです。路面との接地面であるトレッドと比べると、伸縮性に優れているので、路面から伝わる衝撃を吸収する役割があります。そのほか、コーナリング時に大きくたわむことで、路面と接地する面が増え、グリップ力を維持する効果もあります。

さらに、タイヤ内部にはカーカスというタイヤの骨格を形成している部分があり、タイヤのサイドウォールはカーカスの損傷を防ぐための保護効果がある重要な部分です

【タイヤの基本構造】

タイヤのサイドウォールに起こるトラブルとは

タイヤのサイドウォールは、たわむことで路面からの衝撃を吸収したり、コーナリング時の安定性を高めたりできます。路面と接地しているトレッド面と比べると、ゴム自体の厚さが薄く、強度が低いといった側面もあります。タイヤのサイドウォールが損傷してしまうと、安全に走行できないだけでなく、事故につながる可能性も否めません。

サイドウォールにはどのような損傷が発生するのか、サイドウォールに起こりうるトラブル事例を詳しく紹介します。

擦り傷

縁石やタイヤ止めなどに接触すると、タイヤのサイドウォールに擦り傷が生じることがあります。軽く接触した程度であれば、深い傷がつく心配はほとんどありませんが、擦り傷の数が多い場合や傷が深いときは、タイヤ専門店に点検してもらいましょう。

切り傷

サイドウォールに鋭利なものが当たったときや、縁石に強く接触したときなどに、切り傷が発生することがあります。切り傷は深さによって深刻度が異なり、浅い切り傷であれば、早急に対応しなければならない可能性は低いものの、放置すると傷が深くなり、安全性を損なうリスクがあります。

一方、深い切り傷の場合、タイヤの骨格を形成するカーカスも損傷している可能性があり、空気圧の低下やパンクの原因となってしまうので、すぐに対応しなければなりません。ただし、カーカスまで損傷している場合は、修理ができないので、タイヤの交換が必要となります。

なお、切り傷の深さを素人が判断するのは難しいので、少しでも異変に気づいたら早めにタイヤ専門店に相談しましょう。

膨らみ

縁石に強くぶつかったときや、大きなへこみを乗り換えたときなどに、タイヤのサイドウォールが膨らむことがあります。サイドウォール全体が膨らむというよりは、一部にコブのようなものができるので、発見しやすいです。

サイドウォールに膨らみが生じているということは、カーカスが切断されてタイヤの骨格を維持できていないことを意味しています。そのため、空気圧が急激に下がったり、タイヤが変形したり、最悪の場合はバーストを引き起こしてしまうので、危険です。

サイドウォールの膨らみは、タイヤのトラブルの中でも特に警戒しなければならないサインの1つなので、膨らみを発見したら、すぐにタイヤ専門店に相談しましょう。

ひび割れ

close up of an old and cracked car tire passing old worn out time

サイドウォールのひび割れはタイヤの経年劣化を意味しています。ゴムでできているタイヤは、太陽光に長時間さらされていると、紫外線の影響で劣化してしまい、ひびが入ってしまうことがあります。そのほか、石油系のタイヤワックスなどの成分が化学反応を起こし、ひび割れが生じることも少なくありません。

変形

タイヤにくぼみが生じることは、とくに大きな問題ではないものの、サイドウォールが大きく変形している場合は、カーカスが損傷している可能性が高く、安全に走行することが難しいです。しかし、どれくらいの変形が許容範囲なのかを判断するのは難しいので、変形箇所を見つけたら、タイヤ専門店に点検してもらいましょう。

パンク

タイヤに釘などが刺さって穴が空いたり、空気圧不足により劣化が進み、クラックが生じると、タイヤがパンクすることがあります。路面との接地面であるトレッドの傷が原因でパンクした場合、傷の大きさによっては修理できるでしょう。

ただし、サイドウォールにパンクが生じたら、修理できないことが一般的で、タイヤを交換しなければなりません。

サイドウォールが損傷していたらどうなる?

Car Tires with Question Mark Sign. 3D Render

タイヤのサイドウォールに切り傷やひび割れ、変形などが生じている場合、パンクや走行中のバーストのリスクが高まります。とくに高速道路を走行しているときにパンクやバーストが発生すると、重大な事故につながりかねません。

また、サイドウォールが損傷していると、事故のリスクが高まるだけでなく、車検に通らない可能性もあります。サイドウォールに小さな擦り傷がついている程度であれば大きな問題になる可能性は低いかもしれませんが、カーカスが露出していたり、コブがついていたりすると、検査員の判断によって車検に通らないこともあるでしょう。

サイドウォールの損傷を防ぐ対策法

Business man putting up index finger

サイドウォールは日頃から損傷しないように対策を取ることが大切です。

ここでは、サイドウォールの損傷を防ぐための具体的な対策法を見ていきましょう。

定期的に空気圧を確認する

空気圧が不足していると、サイドウォールが変形したり、ひび割れが生じたりするので、日常的に空気圧をチェックすることが大切です。適正空気圧は、車の取扱説明書や運転席ドアのステッカーに記載されていることが一般的。定期的に適正空気圧を維持できているか確認しましょう。

縁石や大きな穴を避ける

走行中の衝撃によって、サイドウォールが損傷する場合があるので、損傷を受けないように運転に注意しなければなりません。たとえば、縁石に強く接触しないように気をつけ、大きな穴を見つけたら可能な限り避けましょう。ただし、周囲の安全の確認が最優先です。急なハンドル操作を避け、ほかの車の進行を妨害しないよう気をつけましょう。

運転するまえに点検する

日ごろからサイドウォールを点検していると、損傷や変形などの異変に早く気づくことができ、大きなトラブルになる前に対策ができます。月に1回程度の定期的な点検に加え、運転する前にタイヤを確認することが大切です。

石油系のタイヤワックスの使用を避ける

タイヤには油性の劣化防止剤が配合されていることがあり、石油系のタイヤワックスを使用すると、油性の劣化防止剤が流出してしまうので、ひび割れが生じる可能性があります。タイヤワックスを使用すれば、サイドウォールに色艶が出て綺麗に見えますが、石油系ワックスを使用するとひび割れの原因となってしまうので、できるだけ使わないようにしましょう。

なお、昨今は水性のタイヤワックスもあるので、タイヤワックスによる劣化を避けてタイヤを綺麗にしたい場合は水性タイプを選ぶことをおすすめします

サイドウォールの破損は修理できる?

summer tires are exchanged for winter wheels

サイドウォールのゴムの厚みはメーカーや銘柄によって異なるものの、トレッド面よりも薄くできており、強度が低いことから、サイドウォールが損傷している状態で走行はできません。サイドウォールの損傷は修理できないのが一般的です。タイヤの構造上、サイドウォールは伸縮性に優れており、タイヤのほかの箇所よりも薄くできているので、修理するのが難しいからです。

ただし、タイヤショップの中には、サイドウォールに穴が空いた場合でも、「焼き付け修理」という方法で対応してくれるところもあります。ただ、損傷状態によっては安全性を確保できず、破損リスクがあることから、原則修理できないと認識しておいたほうがいいでしょう。

修理できない場合はタイヤ交換が必要

タイヤのサイドウォールは、基本的に修理できないので、切り傷やひび割れ、変形などの損傷を発見したら、タイヤを交換しなければなりません。ただし、タイヤを交換するとき、損傷したタイヤのみを交換するよりも、4本とも新しいタイヤに交換したほうがいいでしょう。

なお、4本のタイヤを新品に交換したばかりで、ほとんど摩耗していなければ、1本だけ交換するほうが交換費用を抑えられます。ただし、1本だけ交換するときは、ほかの3本がほとんど摩耗していないことに加え、メーカーや銘柄を同じことが前提となります

4本とも交換したほうがいい理由

仮に1本だけ交換した場合、ほかのタイヤとのグリップ力に差が出てしまい、走行時のバランスが悪くなってしまうため、安定性が低下してしまう恐れがあります。

そのほか、交換していないタイヤの摩耗が進んでいる場合、摩耗の進行状況によって多少なりとも外径差が生じることから、車に備わっているVSCやVDCなどの機能が作動しなくなる可能性もあるでしょう。

なお、車の取扱説明書にも、タイヤ交換時は摩耗差のないタイヤに交換するように記載されていることに加え、メーカーや車種によっては4本同時交換が推奨されています。

まとめ

タイヤのサイドウォールに、ひび割れや変形が生じている場合、走行性能や安全性に影響を及ぼすことから、早急な対応が必要となります。サイドウォールは路面と接地するトレッド面よりもゴムが薄く、強度が低いので、基本的には修理できません。そのため、サイドウォールが損傷しているのを見つけたら、新しいタイヤに交換しなければなりません。

交換が必要かどうかは、損傷度合いによって変わるので、タイヤ専門店に点検してもらうことをおすすめします。タイヤ専門店のフジ・コーポレーションでは、専門スタッフがタイヤの状態をしっかりとチェックしたうえで、サイドウォールの損傷の対処法をご提案いたします。

※この記事は2023年4月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。